混じり合う一瞬
リージェント...あれが国名だとは思わなかった、偽王にしては良すぎる名前だ。...と、そんなことを考える暇は無さそうだな。このままだと確実に持っていかれる、全てを。
「早いなお前の攻撃は、それに一発一発が重い、だからこれで怪我ぐらいして欲しいものだ!"爆炎刀・焔"!!」
「効きませんよその程度の攻撃!"聖闇魔剣エクスカリバー、奴を切り裂け。"千切り"!!」
名前が千切りってキャベツでも切るんじゃないんだから本当にそんな数の斬撃...まずいっ!?
「"防斬刀・見切りの極意"、...いやなんだ、最初の数発は食らってもいいからと発動したがよかったな、ダメージも相当高い、簡単に勝たせて欲しいものだが無理だなこれは。それにお前俺を殺さないよう戦いながらレジリアと翔也をより苦しませようと戦っている、まだ本気じゃないだろ?やれやれ全く、せめてアビリティさえ戻ればなぁ。」
「そんなこと言っても戻らないんです、諦めて私たちと一緒に来てくださいねぇ!」
こいつの言っていることは嘘だ、俺のアポカリプスを出すための力を欲しがって俺たちに戦いを挑んできている。もう俺がアポカリプスを使えないんであれば用済みのはず、つまり殺すだろう。一瞬で、でもそれをしないということそれすなわちまだ治る可能性はある、なら諦めるわけにはいかない。
「やるぞレジリア!"対魔斬・栄枯盛衰"!!」
「わかりました、いつでもやれます!」
「援護は任せろ、"デトネート"!!今だ文也!」
「わかった、"無二の一刀・唯我独尊"!!」
一太刀、上から下に切り下げるだけのスキルだが特殊効果がすごい。同時攻撃なしかつ味方から強化効果を受けていない場合、そして俺の半径1m付近に味方がいない場合...与えるダメージ500%上昇、クリティカル確定クリティカルダメージ300%上昇!そして俺は味方と近ければ近いほどステータスがこのバトル中下がる弱体効果を受ける...がそんなのわからないぐらいにインフレが加速したソシャゲのようなてんこ盛り効果だ、流石にこれでは傷ぐらいは...いや、いいんじゃないのか。手で防がれていたらしい、それでも!
「関節近くは落とせたらしいな。どうだ気分は、最高だろ?」
「...ええ、まぁ、えもいえぬ妙な感覚です。が、初めての体験だ、感謝しますよ。腕なんてまた生えるんです、気にしないで続けましょう。」
...気持ち悪い、腕が生えるってなんなんだよ一体。だがまぁずっとこっちに意識を向けてろ、見えない一撃がお前を襲う!
「"爆炎刀・焔"!」
「そんなんじゃダメージすらはいりません、もうやめなさいくだらない!」
「"ペネトレイト"ォォォ!!」
「っ!うざったらしい雑魚どもが!"聖光魔衝撃"!!」
翔也っ!?
「構うな!致命傷じゃない!」
わかった、なら俺もやるべきことをしよう。
「"壊刃刀・朧月"!!」
「んなっ!?私のエクスカリバーが刃こぼれしちゃいましたね、恐ろしい力です。」
「まだ、終わらない!"無二の一刀・唯我独尊" !!...こいつは防げない、いや防げるほどの力がその剣にはない!その剣ごとお前を真っ二つにしてやるよおおおぉ!!」
数十回の金属音が鳴り響く。硬い、流石は聖剣エクスカリバーの名を持つだけのことはある。しかしそれでもこの一刀の前には無力!上からの一刀、いっけえええええええぇ!!!!
「んなっ!?エクスカリバーが!!」
「だから言ったろ、お前の負けだ!」
「まだ私はやられてはいない、直にその攻撃を受けたがまだ戦え」
「"瞬速刀絶"!!」
ナイス、最高のタイミングだ。ここで一気に決着まで持っていく、マイナス効果を度外視できるほどに協力な合体スキル、ぶっつけ本番、当たって砕けろ!!
「っぐ...貴様ら矮小なる分際の癖に生意気だ、散れ。"散光命瞬っあぁぁぁ!!?」
「ただのSRだ、特別な弾は入れてなんかない。この距離なら風とかも大して考えなくていいからな、やれお前ら!」
ありがとう、助かった。礼は後でちゃんとしよう。
「やるぞレジリア!」
「はい!」
「「かの罪人には身の丈合わないほどの豪華なる埋葬をし、この世界の贄とする!無意味な程に過ぎたる埋葬を!"過ぎたる鎮魂歌!!!」」
埋葬のやり方を教えてやるよ、全てを切り刻んだのちに燃やし尽くしてやる。
「燃え尽きろクズ野郎!"焼却砲"!!!」
......豪華な埋葬...か、本当に豪華すぎる。まともに棺に入れられて、火葬だ。こいつに相応しいのは永遠の苦痛だったんだろうが...俺には無
「火、もう少し強めでいいですよ。」
...これで普通のやつなら意識を保つまもなく昇天の筈なんだが本当に過ぎたる埋葬をしなければならないようだ、このスキルは本来ここで終わるはずなんだ。これで終わらないなら追加で発動するスキルがある、これは誰が発動するでもないからかとどめを差した場合そのスキルなら経験値もない。だがそんなこと言ってる場合でもない、さぁ、よろしく頼むぞ。
「やれやれ、少しは期待したんですけどね。何かに引っ張られましたが簡単に振り払えちゃいましたし...もう何も無さそうでなんだかがっかりです。」
...まさかとは思ったが抜け出してきたか、だが何かに引っ張られたとは言ってた。だからそのままどことも言えぬ場所まで引き摺り込んでやる、その棺がどこに続いてるかなんて俺が知るわけないだろう。だが考える必要性は限りなく無い!故に今ここで今度こそ終止符を!!
「唯刀・霧雨、お前の全てを俺に委ねろ!"秘刀・焔"!!叩っ斬れええええ!!!」
「だからその程度痛くも痒くも無い一げ...っ"離れろ愚民"!!」
っ...!、大丈夫、大丈夫だ。確実に斬った、これなら...勝てる!
「援護は任せろ!"コメットシューティング"!!」
「ちっ!お前らが私に傷をつけるなど未来永劫許されることじゃ無いんだよおおおぉ!!」
「それは違います、あなたは償い切れない罪を背負った。文也様から課せられた義務からも逃げた、なら残るは'死'のみです!儚く散り、意味を見出せぬ魂よ、私に力を貸してください!今ここで、これ以上の被害を出さない為に、今ここで私のために今一度、力を!"融魂の一刀・重なり合う刹那"!!この一撃でいい、私の全てを込めて放つ!」
「なら俺は翔也と時間を稼ぐ、任せたぞレジリア!"秘刀・雷電"!!」
「そういうことなら俺の得意分野だ、任せろ、俺だってレジリアに遅れは取れないからな。"ラストオーダー、眼前の敵を屠れ、ファイナルバースト"!!!」
なんだ、こいつら言ってることが不吉すぎるぞ、ラストオーダーだか全てを込めてだとか。一人でもかけさせるわけにはいかない、サポートが仕事じゃないのかお前は。あぁわかった、俺がやる。
「"秘刀・不飛の意識"!!意識を飛ばしてくれるなお前ら、死んでくれるなお前ら、一人でも欠けることがあるならそれは俺たちの負けを意味する。だから頼むから、お前らこそ格好つけて自己犠牲の精神で死にに行ってるんじゃねぇよ阿呆ども!!お前らは誰一人として殺していない、俺とは違う、罪を受けるのであれば俺一人で十分だ!」
「...なに俺たちの勝利だムードにしてくれてんですか、私を踏み台に絆を高めようって魂胆ですか、許せませんねぇ流石にそれは!エクスカリバー、彼らの絆ごと、全てを断ち切ってしまえ!この痛みとともに!"破絆の聖光爆裂衝"!!」
お前ら二人に危害は加えさせない、俺が一人で耐え切ってやる、それが一番の結末だ!
「"秘刀・誘傷"!!お前ら気にせず叩っ斬れ、絶対に俺のことは気にするな、何があっても俺は死なない!だからお前ら、俺のことは気にするな!だが俺とて防戦一方なわけないだろうデリモ、最大の私怨と憎悪を持ってこの一刀で殺す!"無二たる秘刀・唯我独尊"!!!」
「それをまともに受けてはまずい!"混沌暗黒光輝烈断"!!」
「「はあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」」
混じり合う剣と刀、火花が空を舞う、金属音が鳴り響いてまるで俺とこいつ以外この世界にはいないのかと錯覚するほどに...衝撃と影響がある、二人とも飛ばされている、でもそんなことを考える余地は俺の頭にはない。今この瞬間、この時が、'永遠に続くよう'に思えた。そしてそれと同時に'この時間がずっと続けばいい'とも思った。この世界で俺は散々な目に遭ってきた、だがこの二人と一緒にいる時はそれを忘れることができた。そしてもう、迫害が終わった今でも原因はわからない。だからまだ安心はできない、でもそんな不安をこいつは、このクソ野郎は忘れさしてくれた。ここで刃が交わる唯一の点、それはどう足掻いても一箇所しか生まれない、どちらかに刃が食い込めばその時点で終わる儚い一瞬の時間。それがこうも無限のように錯覚する引き伸ばされた時間になって、俺を楽しませてくれる。あの時のパンドラの放った言葉、意味がようやくわかったよ、俺はどうやら戦いが好きらしい。それもこんな...
「手に汗握る生と死を行き来するような命をかけた死闘が!少なくとも俺は傍観者だった、どこかで憧れていたのかもしれない、'主人公'に。この世界なら、今この瞬間なら、俺は'主人公'だ、この世界の歴史を紡ぐ救世主なんだ、だからデリモ、すぐにくたばってくれるなよ!」
「...面白い、面白い!それでこそ、それでこそアポカリプスの使役者でありソウルイーターの器だ!死闘が面白いなどよく言ったものだ、ならばくれてやろう、死の恐怖を!」
「「死ぬ覚悟で、その手に力を込めて続けろ、愚民!!」」
飛んで、上から斬り下ろす。それでこの体制、上からの方が重力もかかり有利なはず。それを止めるこいつ、あぁ。俺はこいつが嫌いだこれ以上ないほどに、それでも俺は一人の人間として賞賛したい。その力を、その覚悟を!
「耐えろ、霧雨ええぇぇぇぇ!!!」
「斬り開け、エクスカリバーァァァ!!!」
軽っ!!...一瞬だった、ストンと...いや、重力がかかってるんだ、もっと勢いがあるかな、だが自然と俺は...地面にいた。高く鳴り響く金属音、刀身が宙を舞い、地に刺さる。それはまるで英雄が愛用した武具を墓に供えるように...俺は地を向き、デリモは空を見る。一瞬、それに反応する間もないように。止まった時が動き出す、その感覚は人生で二度あった、今日で三度目だ。結末を除くなら...いい日だな、今日は。
「これが、死闘を望む者の哀れなる末路。故に私は好まない、私より強い者との戦いを。それでも、楽しかった、ひとりの人間として、貴方に賞賛を送ろう。侮っていたわけではないがここまで強いなんて思わなかった、久しぶりに楽しかったよ、救世主文也。物語が違えば、君は主人公だっただろう、世界をも救っただろう。ただ少し、君には運がなかった。君に敬意を払って、野蛮なことはしないように魔王様に言ってみるよ、無茶を承知で。僕の命を対価としてでもだ、あなたは...強かった、誰よりも。僕が戦ったことのある人の中で誰よりも、本当に楽しかった。もう、休んでくれ。」
...飛んだ、俺の刃の刀身が。折れた、霧雨が。不思議と互いに体を動かすも、大して変わらない。あぁ、面白かった、本当に、最後の最後ぐらい、華々しく散りたかったが...もう、無理...か。




