消えし力
真王を喰ってから早二週間、どんなスキルがあるかは使ってみないとわからない。それを試すために民の頼みを聞くついでに敵と戦ってみたりダンジョンに潜ってみたり...と色々試してみたもののどうもしっくりこない、そもそも戦闘中に作っていた偽神器の類も作れない、一体どう作っていたんだか...はぁ。
「どうしたんですか?そんな顔して...もしかして連戦の疲れがとれてなかったり...」
「いや大丈夫だ、ダンジョンに入ってまだそれほど経ってないだろう。それに疲れたんじゃなくただ考え事をしてただけだ。心配しないでくれ。」
「わかりました...。」
俺が与える影響は大きいらしい、国王になったせいかは知らないが新しいパッシブも多少増えた、しかし依然としてあの3バカはどうにもできない。俺の方に何か問題があるのか...やっぱり無理矢理にでも記憶を見せるべきなのか、それともあいつらは諦めて数合わせを...多分無理だろうな。とりあえずやたらめったらに喰ってみてこの際催眠でも洗脳でもなんでもいいから記憶の弾丸を当てる暇が...時を止めるか?いやでも流石にそのためだけに時を止めていたら俺の身がもたない、確実に。何かいい方法はないものか...。
「おい文也、道分かれてるぞ、そのま
ま行ったらぶつかるぞ、おい。」
考えろ、まず現実的に考えるならあの3バカの中じゃ玲が一番まだ話はできそうだ、あの弓持ってるやつは多分プライドが高そうだ。宗教女は聞く耳持っちゃくれねぇから全員を仲間に引き入れたあと数でおしてなんとか協力関係になってもらう、これが一番まだよさそゔ!?...痛い...
「だから言ったのに、大丈夫か文也?お前今日というか王様になってからずっと上の空だぞ。大体のことは戦帝がしてくれてるんだ、あいつ結構信用できると思うけどなぁ。」
「それとも何か別のことでもあるんですか、文也様。」
「いや、大した考え事じゃないから気にしないでくれ。大丈夫だ、すまないな、心配かけて。とりあえずここを攻略しないことには始まらないからな、それまでは集中するよ。」
そうだ。もっと、もっと俺がちゃんとしないといけないんだ。とりあえず別れ道は...流石にヒントもないしどうしようもない気がする。
「ヒント...とかそういった類のものはなかったのか?」
「ないな、ここまで一本道だったからさ。」
...となると大して進んではいない、ならまだこの選択に重要な点はないだろう直感でいこう。
「なら左にするか。」
「...その理由は?」
「直感。」
「まぁそりゃそうか。」
仕方ないだろ、ヒントも何もないんだから!それともなんだ、答えを知ってるっていうのか!?全く...それにしてもずっと下りだ、何があるかもわからないしずっと降りるのは正直ちょっとしんどいな。それにしても時を止めた代償がまだ続いてる、未だにアポカリプスどころかレプリカすら出せないときている...早めに対策を練らないとな...ん?明るい、いままではところどころに灯が置いてあるだけだったがここは異様に...いや何かいるな、自ら発光する魔物か?発光して寄ってきた獲物を捕まえるような感じの魔物なら多分心配はしなくてもいい、弱いだろうからな。
「武器を構えろ、なにかいる。...あれ、......あれ?」
手が...異形化しない!?だとしたら俺どう戦えばいい、多少の体術はあるが相手が人間じゃないならどうしようもないぞ。
「翔也、レジリア、俺...武器がない。手は異形化しないし武器は出せないんだ、あのいつも使ってる鎌なんだが...」
「なら構わんさ、俺たちだけで終わらせるまでよ。な、レジリア。」
「そうですよ、文也様!」
なら俺は任せて武器が出せないから試しながら観察でもしてみるか...
「はえー、これまた厄介そうなのが。頭が三つの犬はケロベロスだろ?こんなところにいるってことはただのケロベロスだろ、多分。」
「よく分かりませんがとりあえず勝てばいいんでしょう、私が前線を貼ります、翔也さんは」
「後方支援、わかってる。当たり前だろ?任せなって、一級品の支援をしてやるよ!」
俺たちよりも大きい魔物に対してはそうやって堅実に行くべきなんだろう、ただやっぱり2人じゃ心配なわけだ。早く俺も武器を出せないと2人がやられた時どうしようもなくなっちまう、1秒でも早く戦えるようにしないとな。それにしても一体どうしていきなり使えなくなったのか...
「魂よ、我が求めに応じ具現化せよ。"魂の一刀"!」
レジリア...いままでは作ってもらった刀に魂を乗せて追加効果を付与した形だったが今となっては一から作り出せている...やるな、その状態を保てるようになれば鼓動の二刀も十分実用的なものになるだろう。
「行きすぎだレジリア、少し距離を取って耳塞いどけ。"ミニチュアエクスプロード"!!」
...なかなかに強い爆発だ、流石にHPは2割ほど削れているだろうな。それにしてもこの攻撃を受けても平然とできたんだ、やっぱり真王は強かったんだろうな。それにしてもいつになったら武器が出せる、破片すら出てこない。
「雪を斬り、月を堕とし、花を咲かせろ。"雪月花"!!」
「俺には詠唱だとかそういうのはよくわからん、だからそのままでスキル名にするんだよ!"行動不可領域展開"!!...一応行動できないでもないがその領域の外に出るとダメージを受け続ける。そこでレジリアの雪月花を全部余さず受けることだな!」
...正直なところ流れるように進んでいっていた、すごいなこれは。これなら本当に俺が多少戦闘に参加しない程度じゃ大丈夫だろうな。
「さて、終わりましたので素材の回収とついでにここら一帯の探索など...」
「そうだな。なぁ文也、素材回収とかはできるのか?できないんであれば俺が代わりに採っておくけど...どうだ?あ、そうそう、レベル後どれぐらいで上がりそうだ?時間はあまり経っていないしな、このままもう一つ探したり山だ森だに行ってボス倒すってのもいいと思っているんだが。」
「...そうだな、素材回収はできると思う。いざって時のためにナイフは持ってるから、後はレベルだがそうだな...たしかにいってみてもいいかもしれな...危ない避けろ!!...振り向かず左右でよかったのにさ、いや俺の言い方も悪かったな、うん。とりあえずこうなったんだ、俺の左腕の分しっかり働けよ...お前ら。」
...まさか壁から石が突いて来るなんて思わなかった、誰かがここにいて俺たちを殺そうとしている...が妥当か。一体どうしてだ、俺たちがなぜここにいるとわかっていた、...いやもしかしたらデリモみたいなやつかもしれない。不穏な気配はこのケロベロスだけだった、なら一体どこでどうやった、壁との距離は相当離れてる、後ろには水溜りやら鉱石...後ろから覗き見るは不可能、そうなことより貫かれた左腕が...待てよ、相手はこちらの位置はわからないんじゃないか?そもそも筒抜けならあのまま俺もろとも翔也を串刺しにだって出来た筈、となると生命反応だけわかるといった感じか。相当厄介そうだ、やってられない、明らかに不利すぎる。デリモと同じサタンズサーヴァントとかいうやつなら場所にもよるが全て整えば勝てるやつはいないんじゃないかってぐらいだ、とりあえず武器すら出せない今の俺は...そうだな、レジリアから刀借りるか、それより次の攻撃をしてこないのは何故だ?今ので一人殺したと仮定してるのか?...わからない、とりあえず武器を借りるか。
「レジリア...その刀を借してくれ、俺は今武器が出せないからな。何かあった時に戦えるように」
「何いってるんですか文也様!その怪我で戦わせるわけには!」
「この攻撃に真っ先に気付いたのは俺だ、お前ら避けるどころか気配すらわからなかったんだろ、一番立ち向かえるのは俺だ、俺が戦えなくてどうするってんだ、教えてくれ、レジリア。」
「...でも!」
「いいから、それともなんだ、俺が片腕使えないぐらいで死ぬとでも?」
「...分かりました。」
結構意地悪な質問だったな、しかし許せ、今は状況が状況だ。悠長にはしてられない!
「文也、ここら一帯...とはいってもこのダンジョンの範囲ぐらいだが強大な生命反応は見つからない。隠しているとしたら相当厄介な敵だ、先に止血兼回復しておこう。"ヒーリングフィールドⅢ"!!...まともに考えたら進行方向は一箇所、だがさっきの岩の使い方は相当な力を持った敵だ、どこから来るかもわからない。警戒を怠るな、俺これが終わったら告白するん」
「まてまてまてまて、お前一体全体どうして死亡フラグ、しかも特大品を作り出す!?笑い事で済ませれないぞこの状況下で。」
「悪い悪い、それでもいくつかわかった事がある。まず相手は俺たちの会話は聞こえないという事、そしてこれが一番重要だ。」
「一体それはなんだ、早く教えてくれ。対策が立てれるかもしれない。」
「...いや、対策も何もない。一番重要な点、それは...」
それはなんだ、勿体ぶるなよこんな時に!
「「もうここまできているということ」」
っ!?誰の声だ、入り口からなんの気配もしなかった!
「すごいですねそこの銃使い、私の極々微小の気配を探り当てるなんて、褒めてあげます。」
こいつ、なんなんだ、デリモと似た様な気配がする。というよりなぜここまで近づかないと気付かないっていうことはこいつすでに死んでいる、いや死んでいるわけはない、こいつはここにいる。
「...あなた、デリモを喰いましたね?いやあ嬉しいですね、あいつ大っ嫌いだったんですよ、人間風情で魔王様に取り入ろうとしやがってあぁ許せない!」
...揺れている、尋常じゃない。天井降ってくるんじゃないかこれは、いやそれよりも仲間が死んで喜ぶって...魔王軍の中枢は終わってるらしい。...なんでだ、どうしてこいつがサタンズサーヴァントの一人だってわかっ...いやそうか、俺はあいつの9割を喰った、そう考えると当たり前か。
「あなたがアポカリプスを使う人ですか、仲間を庇ってるとはまたらしくない。まだ自我を保てているあたり厄介ですねぇ、さて私と対峙したからにはみすみす逃す気もありません。あなた以外を殺してあなたは魔王様のところへ連れて行く、それが私の任務です。」
「そうか、なら俺は全員生きてる状態でここから出る。やるぞレジリア、翔也!俺がこれを抜くのは初めてだな。唯刀・霧雨、頼むぞ、せめて耐えてくれ、この戦いに!」




