罪なき民と業ある国
「ここが...あの婆さんの言っていた...」
「そう...らしいですね。今となってはその片鱗も感じることはできませんが...」
荒れ果てている、そんな事で済ませることができないほどに崩壊している。陥落なんていうものでもない、跡形も無い。辺りを探索してみても人の気配どころか魔物の気配もない。家の跡地の様なところもあるがだからなんだという話だ、何も残っていない。どんな魔物が来たかも、どんな攻撃をしてきたかというのも、何もわからない、このままならばあさんの息子も生きているのかすらもわからな...
「こっちに地下室があります!鍵が掛かってて開きそうにないですが扉自体を破壊したら入れるんじゃないでしょうか?」
「...これか、鍵自体は破壊できそうだ。"ソウルライト"...よし、とりあえず鍵は破壊した、魂の灯で多少の光源を確保できるから俺が先に行く。気をつけろよ、足元は不安定だ。」
...螺旋階段、所々に脇道。まだ奥がある...上からとしたから順に見て行った方が早いだろうな。
「レジリア、上から順に何かないか見てくれ、俺は下から見てくる。灯りなら馬車に確か松明なりランプなりがあったはずだ、すまないが取ってきて上から見てくれ。俺は下に行ってくる。」
「わかりました、お気をつけください、何かありましたらお声がけを」
「大丈夫だ、俺のことより自分の体を最優先して行動しろ。大丈夫、死にやしないさ。」
と、言ったものの最下層までの道は長い、どれほど歩いただろう、どれだけ同じ階段を見ただろう、この時間が有れば緑のキツネは最高の瞬間を迎えていただろう、カップ麺で有れば二杯は食べれていたであろう、それほどまでに延々と続くこの螺旋階段は終わりを感じさせない何かがある、意識が飛びそうだ。いや、飛びそうというよりかはボーッとしてくると言った方がいいかな、こうやって誰に話すでもなく馬鹿みたいに頭の中で1人喋ってないと暇で暇で仕方がな」
...痛い、扉...?ったく、やっと終着点か。さて、この先には何が...いや鍵が掛かってて開かないな。全くどうして外側から鍵をかける、中に籠るなら中からだろ普通。それになんだこの鍵、全然開かない、一回きりのマスターキーでも無理なら壊すしかないよなぁ!?本気で殴ればいくら頑丈な材質でも傷ぐらいはつくだろう!!...多分!
___________________________
...はぁ、俺は今何を殴っていた?何を切っていた?これはそもそも物なのか?幻覚の類なんじゃないのかねぇ...そうだ、喰えばいいんだ、無機物なら抵抗の二文字は俺にはない!喰らえ、ソウルイーター!...よし、鍵は消えた、後はこの扉を開けるだ...け...重い、こんなの蹴ればいいんだよオラァ!!
「安心しな、別に喧嘩を売りにきたわけじゃあない。どっちかというと助けに来た、上がやばい状況だったから地下に逃げ込んだんだろ?安心しな、もう大丈夫だ。だから...おい、なんでそんなにみんな俺を恐れる...?あぁ、この腕か。ほい、これでいいだろ?別に俺はお前らに危害を加える気なんて一切ないんだ。なぁ、大丈夫だって、もう上も」
「あなた...見えるんですね、'彼等'が、といってもまともには見えないでしょう。安心してください、幽霊の類じゃありません。どちらかと言うと...はい、あなたと同じ救世主の方々...といってもここにあるのはその外殻、本来の魂は別の場所にあります。母から何かをもらったりしてませんでしたか?」
「あぁ、あんた宛にこれを...」
「...ありがとうございます、あなたは...はい、色々あったらしいですね。もしそれでも我々に力を貸してくれるなら、4人の勇者とこの世界を救ってください。はい、そうですね...あなたがこんな早くにここにくるなんて思っていなかったのが本音です、ですがここに来たんだ、来てしまったんだ。せめて、悲観しないで。これがこの世界...いや、この国なんです。あらあら、僕の方はどうにも限界の様です...僕を見つけてくれて、本当にありがとうございました...頑張ってしがみついていた意味がようやく...わかりました。それでは僕は一足先にこの地獄に別れを告げます...さようなら、幾万年ぶりの救世主様...。」
____________________________________
「...様!文也様!」
「痛いなぁ...そう叩かなくてもいいだ」
「これを!これを見てください!!文也様が急に爆音立てたので何かあったのかと思いすぐ行ったんです!そしたらこの本の山、それにこれ、文也様が届けると言っていた箱が1人でに開き始めているんです!私が開けようとした時には何かでくっついてるんじゃないかって感じだったのに!」
「とても...ゆっくりだな、まるでサーバーが混み合ってる時のMMOのロード時間の如く」
「えむえむ...?」
「いや、気にしないでくれ。それよりもここの本、全部読んでみよう。レジリアは言葉は読めるか?俺は読めなくてな...」
「私も多少なら読めるのですが...ここまで難しい文字が綴られていると時間がかかりそうです...」
「そうか...ならこの本は何冊か持っていって後は置いてい...読める、俺読めるぞ、この文字が!」
「本当ですか!?なんて書いてあるんです!?!?」
「...いや、大したことは書いていない。問題はこの箱だろうな、箱を見ておいてくれ。俺は何か大事な文がないか本を探っておく。」
「わかりました!」
...レジリアにはああ言ったが箱なんかどうでもいいレベルでこの本一つ一つに馬鹿みたいに情報が綴られている、これはこの世界...いやこの国が何を隠そうとしているか、何があいつらにとっての最悪かが幾千...いや幾万と綴られている。ダミーもいくつか存在するがそれは文字と呼べる代物ではないのかわからないからな、判断がしやすい...おかしくないか?そもそも俺はこの世界の文字を知らない、短剣の本を読む時だって使うだった。つまりこの本は今この世界...いや違うこの国に広く一般的に使われている言葉じゃあない、いやそれすらも違うかもしれない、この文字が...本来の文字!!もし万が一一般人に見つかってもそもそも上の鍵すら開けれんだろう、やっぱりそうだ、俺たちみたいな特殊な人間のみに来れる様制限をかけた場所...ダミーじゃない本からの情報はきっと確かだ、これが翔也がいなければそうは思っていなかっただろう、そして駄王と呼んだ時の周りの反応も鑑みて出した答えだ。そう、ここの本は読めるものこそ少ないがそれには真実のみが綴られている、俺が見るのが早すぎたと言われる所以、それが...真王は...神の上の奴の傀儡故の警告、そして俺が敵対視された理由!翔也はただのとばっちりだったのは本当らしい。国ぐるみで真王を神と崇め、永遠に最高の状態でいることが可能な人間...絶華族を迫害の対象とした、俺はどうして迫害をされた、一体...どうして、他にも世界のこと、色々あるはずだ、一度これをもっていって、
「文也様!後もうちょっとで開きます!」
ちっ...先にこの箱だ、この箱がどんなものか見てから...いやまずい、これは!
「レジリア!全速力で上まで走れ!俺は後から行く、ここの本何冊か持っていきたいからな、先に馬車の用意を頼む、この箱...なんかやばい気配がするからな!」
「わかり...ました、何かあればすぐ読んでください!行きますから!」
「あぁ、頼りにしてる!さぁ何がく」
____________________________________
「やぁ、君が確か...文也君、頭の回転が早い様で、いい機転の利かせ方だ、死ぬのが君だけで済むんだから。」
「何の話だ、あの箱は何だ、いきなり食われたんだが。それにお前はなんなんだ、どうしてそうも血気盛んな上すぐに煽るんだ?」
「いやね、箱っていいものだと思うんだ。何かを封じ込めるのに最適なモノだ、君が無理矢理こじ開けちゃった僕は禁忌、君もよく知っているだろう、"パンドラの箱"を...。何が言いたいってあの外殻は僕に食われてパンドラの箱の一部になった者達だ、さて、君で...何人目だったかな?いつしか数えるのも忘れちゃったな。」
「お前は命をなんだと思ってる、俺はフェミニストじゃあないからな、命を取るなとは言わん。何かを喰って生きていく、それは生物として至極真っ当な事だ。だがお前はなんだ、命をまるで弄ぶかの様に!!」
「それはあいつらが僕に負けたからだ、君みたいなことを言う人間は大量にいたよ!みんな'負けたら俺の命を食え!'みたいな決め台詞を言って僕に食われたよ!!さぁどうする!?黙って食われるか!?それとも格好つけて食われるか!?どっちがいい!!!」
「俺はそうだな...お前を喰ってここから出る!!!来な、ソウルイーター!!俺は生きて帰って真実を伝える義務がある、魂だけになりながらも世界にしがみついて責務を全うした英霊の為に!!こい、思い上がりの禁忌の箱、人間を舐めるなよ、愚図が!!!」




