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サッカー少年が吹奏楽部に入ったら  作者: 夏目 碧央


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8/9

2学期

 新学期が始まった。8月の後半は、吹奏楽部は毎日朝から晩まで練習だった。そして、始業式の日は、例によって1時間早く登校し、楽器を体育館へ運んだ。校歌の演奏をするためだ。校歌の演奏は1年生も2回目になり、だいぶ板についてきた。以前より人数が増えているのだけれど、他の生徒たちがどう感じているのか。あまり関心のある生徒はいないようだ。

 9月の23日、24日が文化祭である。学校全体としても、準備に余念がない。どこか浮足立っているような、そわそわ感が漂っていた。クラスの出し物の準備も、毎日放課後を使って行われた。文化部の生徒はそれを抜けて部活に参加するのだが、抜けられずに部活がおろそかになってしまう場合もある。なので、吹奏楽部は普段はない土日の練習を9月はずっと設けて、これまた朝から晩まで練習だった。

 ところで、文化祭の目玉として、毎年女装コンテストが行われる。1年生は各クラスから1名ずつ参加することになっていた。和馬のクラスでも、実行委員がくじを持ってきた。そして、全員でくじを引いたところ、なんと和馬が当たってしまった。

「あ・・・。あの、俺部活があるから無理、なんだけど。」

和馬は唖然として、けれどステージの時間が重なるかもしれないし、今それどころじゃないし、という思いで実行委員にそう言ってみた。というか、女装なんてとんでもないし。

「これは、強制ではないので。渡辺君、いいですよ。」

と、実行委員はあっさりと言った。すると、今までそれほど騒いでいなかったクラスが、急にソワソワし出した。これで、誰が参加することになるのか、まさか自分かと、あちこちでざわざわし始めた。

「俺、やるよ。」

と、川野良哉が手を挙げた。クラスはシーンとなって一斉に川野に注目した。

「いいんですか?」

実行委員が聞いた。和馬も、

「川野、悪いな。」

と、すまなそうに言った。川野は、

「これ、優勝すると賞金が出るらしいよ。しかも、真面目にやれば大抵優勝できるらしい。」

そう言ってニッと笑った。

「でも、すね毛剃るんだろ?」

と言うクラスメイト。みんな、いろいろ先輩から聞いているようだ。

「まずは、女子の制服とウイッグを用意しないとなあ。」

川野、相当やる気である。

 さて、吹奏楽部の練習だが、パイレーツがやはり大変。皆、まずは黙々と個人練習。そして合わせて演奏してみるものの、なかなかきれいに合わない。休憩になっても皆無口だった。毎日の長時間練習に、皆疲れていた。部活は夕方6時に終わるのだが、最終下校時刻の7時ギリギリまで、個人練習を続けた。3年生も陣中見舞いに来てくれた。

「君たち、頑張っているようだねー。」

「先輩、ありがとうございます。あ!差し入れっすか?」

「そうそう、これ食べて頑張れー。」

「すげー!シュークリームだあ。」

シュークリームを食べながら、部員に笑顔が広がった。

「渡辺、何見てんの?」

シュークリームを食べながら、和馬が窓の外をじっと見ていると、佐々木が声をかけてきた。

「虹。」

そう言って、和馬は外を指さした。

「あ、ほんとだ。」

「どうしたの?」

他の部員もこっちを注目した。

「ほら、虹が出てるよ。」

皆で窓の外を見た。雨が上がった直後で、夕焼け空に大きな虹が掛かっていた。

「うーん、もうひと頑張りするかー。」

「よーし!」

皆、それぞれ腕を伸ばしたり首を回したりして、また楽器を手にした。


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