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サッカー少年が吹奏楽部に入ったら  作者: 夏目 碧央


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7/9

勉強合宿

 8月上旬に、1年生は勉強合宿がある。今後の授業と家庭学習のリズムを作るためだそうだ。体育クラスは、一緒に宿泊しながらも、勉強ではなく運動をする。山道マラソンなどだ。進学クラスは一日中勉強である。授業を受け、自習時間に復讐をする、の繰り返しだ。

 東京にある学校の前からバスに乗り、神奈川県の葉山にある宿泊施設へ向かった。この4日間は部活もお休みだ。朝のラジオ体操以外は、ずっと施設内にこもって勉強だった。

 しかし、夜になると自由時間があった。部屋は2人部屋が横にずらりと並んでおり、ベランダがあって、ベランダはずっと続いていた。なので、皆ベランダを歩いて移動していた。他の学校の生徒も来ていて、廊下に出ると先生に見つかって怒られてしまうからと、ベランダをずらずらと歩いて友達を探したりするのだった。

 吹奏楽部のメンバーも、クラスがバラバラなので部屋もバラバラだったが、何となく佐々木の部屋に集まった。よく8人が集まれたものだが、ベランダを伝いながら部員を見つけると声をかけて連れて出て、いつの間にか全員集まったのだ。

「なあ、練習しない?」

佐々木が言った。

「練習って言っても、楽器がないじゃん。」

と城之内が言った。

「だからさ、口笛でよ。」

と、佐々木が言った。みな、口笛もいつの間にか上手くなっているのだった。

「角谷はボイパか?いや、その辺の物をドラムにするか?」

と佐々木が言うと、

「俺は、ちゃんとスティック持ってきたんだぜ。」

と角谷は言った。いつの間にかスティックを2本両手に持っていた。

「すげえ!」

牧瀬が感嘆の声を出した。

「よし、じゃあやろう。まずは何にする?ドラクエ?」

和馬が言うと、皆が賛成して角谷がスティックをコツコツと叩いた。

「ワン、ツー、ワンツースリー!」

皆が、それぞれ自分のパートの音を口笛で奏でた。低い音はつらいが、何となく曲になった。

「いいじゃん!」

「けっこうできるね!」

と、みんなでワイワイと喜んでいると、先生がいきなり扉を開けて入って来た。

「こら、静かにしなさい!」

入って来たのは沢口先生だった。先生は集まっているメンバーを見ておや、という風に目を見開いた。

「君たち、何をしてるんですか?」

「部活の練習ですよ。今ドラクエをやったところです。」

と、城之内が言った。

「先生もやりましょうよ。」

と角谷が言って、また勝手にスティックを鳴らしてカウントを始めた。

「ちょっとちょっと、どうやってやるんですか?」

沢口先生は当然戸惑ってそう言った。

「まあ、見ていてください。」

そして、またドラクエをみんなで吹き始めた。いつの間にか沢口先生もその演奏に加わっていた。沢口先生はユーホニウムを担当しているのだ。さっきよりも更に重厚な演奏になって、みんな満足。だが、みんながワーッと喜びの声を上げる前に先生が手で制した。

「口笛はいいが、その後騒ぐのが良くない。静かに練習しているように。」

と、沢口先生はちょっと笑みを浮かべながら言った。

「先生はまだ仕事があるから参加できないけど、しっかり練習して、消灯時間にはちゃんと自分の部屋に戻りなさいね。」

「はーい!」

みんな、こういう時には素直でいい子である。実際、悪い事をせずに部活の練習をしているのだから十分いい子であるが。パイレーツは難関で、口笛でやってもバラバラになってしまった。こりゃ、まだまだ練習が必要なようだ。

 彼らは3泊の間、夜は毎晩練習した。時には沢口先生も交えて。楽しい合宿のひと時であった。


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