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道化の僕が勇者の君を救いたい~追放された転生遊び人はゲーム知識で無双する~  作者: 藤七郎(疲労困憊)
第二章 カスティーニャ編

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第92話 別れと旅立ち


 朝。

 平原の夜明けとともに僕は街に帰ってきた。朝帰り。

 徹夜でゴーレムダンジョンを二周した。

 レベルは62になっていた。ミスリルのインゴットも拾えてウハウハだった。


 まずは冒険者ギルドに行って、拾った素材を売却。大理石やらなんやらで250万ゴートになった。

 ほくほくしながらお金をアイテムボックスにしまっていると、受付嬢が話しかけてきた。

 深刻そうな顔で言う。


「あの、ユートさん。エスパーダパーティーを見かけませんでしたか?」


「エスパーダ? ――ああ、ミスリルゴーレムが出る場所でテント張ってた人たちかな? 元気にしてたと思いますよ?」


「そうですか。連絡がなかったのが心配で。生きてるなら良かったです」


 受付嬢は、ほっと胸をなで下ろしていた。

 ――称号『殺人鬼』持ちが一人いたけど、そっちの方が心配だった。近寄りたくない。

 


 その後、冒険者ギルドを出ようとしたらカタリナたちに出会った。

 僕は気軽に話しかける。


「おはようございます、カタリナさん」


「おはようユートくん。朝から元気ね」


「いやぁ、空元気ですよ。徹夜でダンジョン攻略してたんで」


「無茶はダメよ」


「気を付けます。――今日はどうされたんですか?」


「みんなで話し合ってレハーノ村へ行くことにしたの。ただ行くのもあれだから、商隊の護衛を受けてね」


「なるほど。じゃあお別れですね」


 ルシアが不満そうに顔をしかめる。


「ユートさんも一緒に来たらいいのに……」


「ごめん。僕も今日出発して王都へ向かうんだ」


「残念だなぁ……ルシアちゃんと仲良くなれるチャンスなのに」


「唐突な上から目線! やることあるからごめんね?」


「えへへっ、わかってるから大丈夫だよっ」


 ルシアは笑顔を泣きそうなほどゆがめて元気に答えた。けなげなぐらい、目の端に涙が光る。

 その時、僕の頭の上にいたミツコが羽音を立てて飛び上がった。ルシアの頭に停まると、ぶーんぶーんと心地よい羽音ともに、8の字を描いて歩き回る。

 ルシアが驚いて首をすくめる。


「ひゃっ!? なに? くすぐったいってばぁ~」


「元気出しなよ。ミツコも慰めてるみたい。レハーノ村に行けばハニービーもたくさんいるから」


「えっ、ほんと!? すごい楽しみっ!」


 ルシアがはにかむような笑顔になった。

 元気になってくれたようでなにより。

 力になれて嬉しかった。



 僕も笑顔で言う。


「じゃあ、行きます。皆さん元気で」


「頑張ってね、ユートくん」「助けてくれてありがとうな」「ユートさんも気を付けてくださいねっ」


 別れの挨拶を交わして、僕は冒険者ギルドを出た。



 それから宿屋へ行って部屋を引き払い、フェルディナンド王子との待ち合わせ場所へ向かった。

 領都の城へ行き、門番に来訪を告げると外壁沿いの広場へと案内された。

 すると僕は驚いた。王子だけじゃなくミーニャまでいたからだけど、それよりもっと驚いた。


 濃緑色をした体長5メートルほどのドラゴンがいた。尻尾の長さも同じぐらいありそうだった。

 ドラゴンの胴体から伸びた鎖が車輪のない馬車の客車に繋がっている。

 頭の上のミツコも、ブブッ!? っと驚き途惑っていた。


 僕は内心驚きつつも、貴族の知識で考える。

 ――竜車だ。

 MISOには存在しなかった移動手段。そもそも町に課金ゲートがあって、町から町へと瞬間移動出来たからなんだけど。



 僕は王子とミーニャのそばへ行く。


「遅れてすみません。竜車で行くんですね」


「王国中部の丘陵地帯は馬車だと時間がかかるからね」


「乗るの初めてです」


「空からの景色を楽しむといいよ。雲の上を飛ぶからね」


 王子様が爽やかな微笑みを浮かべつつ言った。

 ミツコがブブッと驚いたように羽根を鳴らした。どうやらそこまで高く飛んだことはないらしい。

 楽しみなのか、僕の頭の上をせかせかと忙しなく歩き回った。


 

 僕はミツコの動きを気にせず、ミーニャに話しかける。


「ミーニャは見送りに来たの?」


「私も行くニャ」


「支店はいいの?」


「北部のルート開拓はほとんど終わったニャ。次は王都のある南部ニャ!」


 ミーニャは猫耳をピーンと立てて勢いよく言った。販路拡大の決意を感じた。

 王子が客車に向かいながら言う。


「それじゃ、行こう。夕方には着きたいからね」


「あ、はい」「行くにゃ」「ブブッ」


 僕らも客車に乗り込んだ。

 中は意外と広かった。十人ぐらいはゆったりと座れそうだった。

 空間拡張の魔法がかかっているのかも知れない。


 三人と一匹が乗り込むと、外から扉が閉められた。


「あれ? 護衛は乗り込まないんですか?」


「君は強いだろう? 王国騎士10人相手でも勝てそうだ」


「いや、弱いですよ。手加減出来ないから」


 実際、下級職しかいない王国騎士団なんて、千人いたって勝てるけど。

 皆殺しにしてしまうから、その後が悲惨なことになる。指名手配ぐらいならいい方。遺族に恨まれて、寝てる間に刺される可能性だってあった。


 とりあえず魔物に襲われたときのことを考えて、アイテムボックスに入れているハーデスリングを一番取り出しやすい場所に移動させた。


 王子は窓の外を指さしながら言う。


「まあ、冗談だよ。護衛はちゃんといるから」


「そりゃそうですよね――って!」


 僕は窓の外を見て驚いた。別の竜車があるのかと思ったら、青空のように青いドラゴンがいた。

 『鑑定』で見ると上位腫のドラゴンだった。


--------------------

種族:スカイドラゴン Lv35(従魔:マルコ)

攻撃力2500 防御力3000

HP7000 MP1200

スキル:『牙砕』『爪撃』『尾旋撃』『竜撃破《ドラゴンブレス》』『高速飛翔』『瞬間転移』『反射竜鱗』『念話』

--------------------


「スカイドラゴンの竜車だなんて……て、そうか。御者がテイマーなんですね」


「そうさ。しかもドラゴニアから有効の証として働きにきてくれているドラゴンなんだよ」


「ドラゴニアかぁ」


 中央大陸のさらに南にある大陸がまるごとドラゴンの国になっている。

 勇者の剣の能力を引き出してくれる竜皇がいるけど……行けるのは船を手に入れてからだから、まだまだ先の話だなぁ。



 そんなことを考えていると、客車が一度、ぐらりと揺れた。浮き上がる感覚が伝わってくる。

 窓の外を見れば、青空の割合が増えていく。

 一気に上空まで飛び上がった。すごい勢いでコメルシアの街が遠ざかっていく。

 

 そして煙のような白い雲を抜けて上空に出た。見下ろせば遙か遠くの地上が地図のように広がっている。

 異世界には工場もなく空気が澄んでいるせいか、細部まで見える。

 思わず、感嘆の声が出た。


「うわぁ……すごい景色ですね」


「なかなかだろう? 私も気に入っているよ」


 ブーンブーンと羽根を嬉しそうにならしてミツコが車内を飛ぶ。右の景色を見て、また飛んでは左の窓へ行く。

 とても楽しんでいるようで何より。


 南へと目を向ければ、米粒のような遠くに丘陵地帯が見えた

 丘というより、千メートル級の山が屏風のように連なっている。

 木々の緑に覆われて、青く輝いていた。


 ――この中央丘陵地帯が天然の防波堤となっていて、王都のある南側は安全になっていた。 その分、北部側にしわ寄せが来ているのだけど。



 しばらく外の景色を楽しんだ僕は、窓から離れて座席に深く腰掛けた。

 そして思う。

 なんだかいろいろあったけど、きっと王都に行ってもまたいろいろあるんだろう、と。


 イーリスを助けるために草薙の剣を作って、フェルディナンド王子に王位継承させて、勇者の情報貰って。

 裏技のためにテイムブック買って……あ、王都なら『自動補填』の付いたベルト買えたりしないかな?


 いろいろ考えていたら徹夜した疲労が押し寄せてきた。

 僕はフェルディナンド王子に断りを入れる。


「すみません、少し寝ます」


「構わないよ。ぐっすり眠るといい。私の相手はミツコくんにお願いするさ」


「ブブブッ」


 ミツコが8の字を描いて飛んだ後、王子の頭に乗った。

 それを見ながら僕はおかしみを感じつつ静かに目を閉じた。




『第二章カスティーニャ王国編・終わり』

最終ステータス

----------------------------------------

名前:ユート(ユーティウス・プエル・コムス・ド・ラランティウム)

種族:人間 性別:男 年齢:15歳


職業:遊び人 Lv:62

筋力:S 敏捷:B 智慧:D 運:SS

HP:3073 MP:212

攻撃力:1470 防御力:648


スキル+12(SP101)

攻撃スキル:

下級:『突きLv10』『投擲Lv10』

中級:『マジックスライスLv30』『ラッキーショットLv15』


補助スキル:

下級:『みかわしステップLv15』『口笛Lv5』

中級:『ボックスハイドLv30』『ジャグリングLv10』『アクロバットLv10』『コミカルダンスLv10』


その他スキル:

『鑑定』『創造』『気配探知』『危険感知』『状態異常攻撃25%』『HP吸収』

『攻撃75%』『防御50%』『HP増加60%』『魔防25%』

『攻撃速度100%』『回避115%』『移動速度260%』『回復率50%』『魔力回復上昇25%』

『状態異常抵抗30%』『毒抵抗10%』『火抵抗55%』

『筋力+78』『敏捷+140』『智慧+100』『運+102』

『筋力比率上昇×5(310)』『敏捷比率上昇×2(124)』『運比率上昇×7(434)』

『即死25%』『2の倍数即死25%』『3の倍数即死25%』『5の倍数即死25%』

『毒攻撃:毎秒96ダメージ』『火攻撃+65』


装備:

『毒竜の蛇剣』『エルフの礼服』『熱血鉢金』『疾風怒涛のマント』『鱗ベルト』『イダテンブーツ』

『力の腕輪』『第六感』『まごころチョーカー』『マジックバッグ(ポーチ)』

『ハーデスリング』『フォルトゥナリング』『ラクシュミリング』『アポロンリング』『イダテンリング』『ブラフマリング』『【鑑定】【状異抵】スピードリング』『【茫漠】バトルリング』『【運+19】【MP吸収】ハピネスリング』『【運+19】【運+16】ファイアリング』『命の指輪』


称号:下級ダンジョン踏破2(土抵抗2%闇抵抗2%)中級ダンジョン踏破1(筋力+3)

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第二章完!

ここまで読んでいただきありがとうございます。

ブックマークや★★★★★評価、感想や誤字報告などしていただいてとても励みになりました!

ちょっと公募用の作品を書いているので、第三章開始までしばらく時間が空きます。すみません。

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