第31話 念願のユニーク
本日2話目。
ネズミダンジョンの中。
僕は大広間でリングラットを数時間、狩り続けていた。
床の上が指輪で埋まりそうになっている。
それでも僕は蛇剣を振るい続け、指輪を集め続けた。
――と。
リングラットが床に倒れた瞬間、いつになく強い光が発生した。
青く透明な光。僕の方へと飛んでくる。光りすぎてて形がわからない。
「まさか! ユニーク!?」
僕はすでに開いてあるアイテム欄に注意を払う。
一番最後の欄に表示されたのは特徴的な形を持つ指輪だった。
「バトルリングだ!」
僕は残りのリングラットを無視してアイテムボックスから指輪を取り出した。
指にはめる手が震える。
初めてのユニークドロップ。
『バトルリング 筋力+25 筋力比率上昇×2 攻撃25%』
一見、運キャラに関係なさそうな指輪。
ただ近接攻撃職向けの装備だけど、筋力はHPと攻撃力に直結する。
比率上昇は、現在のレベルに倍率を掛けた数値が上昇する。
現在のレベルは25。この指輪一個で筋力が75も上がる。HPは150上がる。
雑魚の攻撃を一発ぐらい食らっても余裕で助かるようになった。
正直、めっちゃ助かる。
僕は満面の笑みで饒舌にしゃべりながら、剣を振るって残りのネズミを倒す。
「いやー、嬉しい! 狩り初日でユニーク! この世界、運キャラがいないのかな? 僕にレアドロップ運が集まってるのかな? なんでもいいや、さいこー!」
もう僕はネズミの姿もよく見ずに、蛇剣をぶんぶん振るいまくった。
――レアドロップし放題。
これこそ運キャラの醍醐味だよね!
もう内心ウッキウキで次の隅へと向かう。足取りも軽い。
そして大きく剣を振った瞬間、半分ぐらいのネズミが死んだ。残りには毒と風ダメージが入る。
どうやらダブルクリティカルが出たらしく、攻撃力が100以上も上がったのもあって一瞬で倒せるようになったみたいだ。
「すごい!」
ここまで強くなったら、このダンジョンの下層を目指すのも視野に入る。
予定より早く装備が整いそうだ。
そんな嬉しさに満ちあふれていたときだった。
突然、目の前が金色に光った。
「――え?」
強い光を放ちながら光が飛んできてアイテムボックスへ収納された。
訳がわからず剣を振るいながらもアイテム欄を確認する。
その瞬間、叫んだ。
「まじでぇぇぇ! ユニークレア、フォルトゥナリングきたぁぁぁ!」
僕は発狂した。せざるを得なかった。
運命の女神の名を冠した指輪。
その効果は!
『フォルトゥナリング 運+50 運比率上昇×3 回避50% スキルレベル+2』
運キャラの最終装備の一つ! それがこの短期間で手に入るなんて!
Lv25の時点で、運が125も上がる。回避率も50%とバカみたいに上がる。さらにスキル+2付き!
MISOですら、最終装備。しかも運キャラは全員サブで使うので、プレイヤー全員がほしがる装備。MISOでは3億から5億ゴートで取引されていた。
現実だとどれぐらいの金額になるか想像も付かない。そもそも金を出しても手に入らない。
だからこそ、僕は嬉しい! 喜ぶ!
「いひゃったぁぁぁ! うひゃぁぁぁ!」
僕は奇声を上げ、踊り狂いながら、速攻で指輪をはめた。
リングラットが攻撃してくるけど気にしない!
これで運が201を超えて、表記がCになった。
運による回避率も致命打率も命中率も上がり、初級のネズミダンジョンでは恐れる敵はなくなったと言い切っていい。
僕は破顔しながらリングラットを攻撃する。
効果付きの指輪がごろごろ落ちた。
それから30分は大広間を周回した。
でももうユニーク以上は出なかった。
さすがに冷静になって、戦う速度を緩める。
次の隅へ歩きながら思う。
ていうか、興奮しすぎてて忘れてたけれど、だいぶ疲れが溜まっていた。
――今、何時頃だろう? もう夕方ぐらいかな?
一度帰った方がいいのではないだろうか?
でも後1レベル上げれば、ボックスハイドのレベルを31にして『消滅』が使えるようになる。
透明の最上位スキルで、気配や存在を完全に消滅させられる。透明だけでは足音や衣擦れの音、匂いまでは隠せないからだ。
――『消滅』があれば明日からの狩りがもっと楽になる……どうしよう?
僕は少し悩んだ。
レベルが上がるまで、さらにぐるぐる回るか。
でもレベルが上がりにくくなっていた。あと何時間もかかりそう。
本来ならレベル10台が適正レベルの場所だから。
地下二階に行くかな?
そこなら適正レベルが20台なので、一時間もしないうちにレベルが一つ上がるはず。
僕は襲ってくるリングラットを蛇剣の遠距離攻撃で払いつつ考えた。
「よし、行こう! サクッとLv上げたら今日は帰ろう」
そう決めたあとは、タゲを取ったリングラットだけを倒して、通路に避難。
木箱を出してボックスハイドを発動させると、僕は下に降りる階段を目指した。




