30レイン救出作戦
まだ寒く辺りは暗く村の住人が寝静まり町全体には静かな時。そんな中聞こえてくるものは虫の声とある人物が歩く音のみ。
「こんばんは・・・」
その人物は立ち止まり挨拶をした、知り合いにするような雰囲気ではなく何処かか細く、不安を抱えた用な様子で。
「うへっ、お嬢さんどうしたんだい?こんな遅くに一人で出歩いて」
挨拶をされた男性は夜遅くに誰かが歩いて来ていたのは足音で分かっていて、腰に下げているナイフに手をやり警戒をしていたが、その顔が見えるくらいに近付いてきた人物を見てその警戒心をといた。
見るからに若く、白色と珍しい髪色の綺麗な女性だ。
そんな女性が近づき挨拶をしてきて男性は気持ち悪いくらいにやけた笑いをし話しかける。
「はい・・・門限ギリギリでラザト村に入れたのは良いのですが・・・宿屋が一杯で泊まれなかったから、今晩泊まるところを探して居たのですが・・・もう、村の端で人目につかず野宿をと思いまして」
「そいつは難儀だったな、ちょっと待ってろよ。こんな所でも泊まれるか頭・・・じゃなく、雇主に聞いてくるからよ」
その男性は何処か焦った状態でその女性を引き止めようとしてきた。
「そんな!それは申し訳ないです。私は野宿でも大丈夫です」
知らない所に泊めて貰うのは申し訳ない、そう伝えるが更に焦ってやや早口になる男性。
「いやいや、いくら村の中だって外れなら魔物が出るかもしれねぇ。そんな危ないとこにお嬢さんを行かす訳には行かない。時間は掛からねえ、待ってろよ」
家?それより創庫と言った方が分かりやすい建物に入っていた男性だが余り時間がかからずに出てきた。
「ああ、待たせたな。雇主は大丈夫と言ってくれたぜ!ささ入んな。外は冷えるからよ」
もう焦った様子はなくなった男性だったが、嫌らしい目付きで全身を見てくる感覚を覚えながら丁寧に建物の中に案内される。
「何から何までありがとうございます。お礼にこちらをどうぞ」
泊めてもらえる対価として女性は男性に小さな石を渡す。
「んっ?これはなんだ?」
魔石に似た石を眺めていたが普通の魔石と違うのは流石に男性も気付いたのか不思議と眺めていた。
「魔物の魔石みたいです。私も知り合いに貰ったのですが・・・どうぞ、何やら珍しい魔石見たいで高値で売れましたよ」
「本当か!そりゃありがてぇ、ささ入んな!」
高く売れる。
そんな言葉に過剰に反応した男性だったが建物に案内しているのを思いだし言葉にする。
「失礼します」
「お前か?宿無しのお嬢さんは?」
建物に入りると正面の奥に座っていた男性に声を掛けられた。
先程の男性が言っていたこの男性が雇主だろう。
その身体はあちこち古傷があり図体もガッチリしていた。
「ハクと申します。今晩は泊めて頂きありがとうございます」
その女性はハクと言う。
ハクは正面の男性以外に横に三人の男性が居るのを見た。
「でっ、ハクさんは一人でラザトに来たのか?」
「いえ・・・弟と来たのですが・・・何とか弟だけは町の人の好意で今晩だけ泊めてもらいました」
「でっ、ハクさんだけは泊まるところが無かったと?」
「はい、そこの家主が女性が極端に嫌いみたいで何とか弟だけはと・・・」
何故この時間にここへ来たか質問をされたがそれは当たり前だろう。
しかも、女性一人でなら尚更だ。
ただ、この男性はそう言った質問の時に何処か怪しい笑を浮かべていた。
普通女の子ならここで不安になり逃げるかするだろうがハクは普段と同じくマイペースだった。
「そうか、そいつは良かった」
男もハクの態度なんか全く気にしていなく会話を進める。
「えっ?良かった?」
良かった?何が良かったのかハクは疑問に思うも次の言葉でやっと予定通り(・・・・)にことが運んだ。
「ああ、良かったぜ。やれ!」
「きゃあ!」
ハクは後ろからいきなり縄をかけられ束縛されてしまう。
「暴れるな!死にたいのか?グヘヘッ」
少し抵抗するも後ろの男からは気持ち悪い声と笑いがもれハクは多少の嫌悪感を覚える。
「運がなかったな、馬鹿なお嬢さんだぜ。ここに来なければ何もなかったのにな。心配すんな、必ず高く売ってやるからよ!がははははっ!」
椅子に座ったままの男性がようやく立上がり壁の前の棚を動かした。
動いた棚の先には暗い通路がありハクはそのまま連れていかれてしまった。
「大人しくここにいろ、明日の朝にはまた出れるから。レイブンについたら奴隷落ちだがな!グヘヘッ!」
連れてこられたのは牢屋だった。
「・・・・・・」
六人・・・この中にレイン様が居らっしゃるのね。
男達に捕まったハクは牢屋の中に居た少年少女達を見渡す。
まず見た目的にどれだけ怖かったか、どれだけ泣いたかハクは少し見渡しただけでも分かってしまった。
目が腫れ、皆元気も無く、ただ入ってきたばかりのハクを見つめているだけだった。
良かったわ。取り敢えず皆ここに捕まっているものの大きな怪我はしていないみたいね。
「この中にレインと言う名前の女の子がいるはずなんですが?もし居たら返事してもらえると助かります」
そう、ハクが少年少女達に問いかけると一人の少女がピクッと反応した。
「レ、レインは私、です・・・何故私を?」
ハクはレインの前に近づき方膝をつけ
「まず、レイン様に伝言があります」
「レイン・・・様?・・・伝言?」
レインは自分が様と呼ばれ訳がわからなくなっていた。
知らない女性がいきなり捕まって牢屋に入ってきたと思いきや、初めてあったにも関わらず私の名前を呼んでいて、尚且つ様付けに伝言・・・一体この女性は何者だろう。
ただ、その女性は初めうちらを見て心配した顔から私を見つけた?時から凄く安心できる笑顔をしてきてくれる。
コープルで捕まった私はミリルとも離れ離れになって寂しく、不安だったけど・・・この人を見ていたらその感情が少しだけ和らぐ・・・なんだろ?この感じ・・・似ている?アイツに?
「はい、伝言は【助けに来た】です」
「た、助けに・・・来た?お父・・・さん?」
「いえ違います。私の主ハンス様です」
私の主?ハンス・・・様?レインは気になる言葉もあったが【ハンス】その名前が聞こえただけでレインの目から沢山溢れるものがあった。
「うっ、ハ、ハンス、ぐすっ、ひっく、ハンス・・・ぐすっ・・・」
「レイン様、それに皆さん安心して下さい。私の主と仲間が皆さんに酷いことをした人を懲らしめに来ています。その間私は皆さんに怪我が無いようにお守りしますのでこちらに集まって下さい」
その言葉に他の少年少女達は皆ハクを見るが何処か不安が残っているようでハクの言うことを聞いてくれない。
だが、一人だけ反応した少年が
「守るって・・・どうやって?お前も捕まってるじゃないか!」
少年少女達から見ればハクも自分達と同様、体と手をロープで縛られ歩いたり走ったりしか出来ない。
それでいてハクの口からは安心?守る?そんな事が出来るようには見えないのだから少年の言葉で回りの子供達もうつむき視線を外し誰もが泣いていた。
「・・・すみません、配慮が足りませんでした。これならどうですか?」
「なっ!」
ハクに言葉をぶつけた少年はいきなりの出来事に言葉が詰まる。
ハクがしたことはレインの前で方膝を着いていたが立ち上がると同時に手や体を拘束していたロープをちぎり立ち上がる。
※※※
一方ハクを捕まえた男達は
「頭、今日は付いてるぜ!あんな上玉が最後に転がってくるんだからよ~」
「ははっ、違いないなぁ、良く小屋の中に連れ込めたアハザラグ。もし、あの女が高く売れたら幾らかお前にもやらないとな」
「頭!マジですかい!ヒャツハーめっちゃついているぜ!頭見てくれよ!この魔石」
「んっ、魔石?・・・なんだこりゃ・・・こんなん見たことがないぞ?大きさはコボルト位の魔石に見えるが・・・これをどこで?」
「さっきの女が渡してきやがったんですよ。お礼にだとか、ぷぷっ、捕まるとも知らずによ!頭、あの女の持ち物を探したらまだあるかもしれねぇ」
「アハザラグ本当か!よし、ザーサルバとナガルフは女の持ち物を見に行って来い」
頭と呼ばれた男は後に立つ二人の男に命令をした。
そんな中
トントン トントン
「すみませーん!」
急に扉を叩く音と男達が知らない少年の声がした。
ザーサルバとナガルフは棚をずらし奥に行こうかとしていたが扉を叩く方が気になりその行動を中止する。
「子供?」
こんな夜更けに子供?そんな疑問を浮かべたアハザラグだった。
まぁ、どうするかは頭に任せよう!と、視線を頭に向ける。
「なんだ、なんだ?声からするに子供だろ?やけについてるな・・・よし、ナガルフはさっきの女の身ぐるみを剥いでこい。
ザーサルバは外のガキを見てこい。で、怪しかったら追い帰せ、怪しく無かったら捕まえる良いな?他のやつらは待機だ」
「任せろ!」「分かったぜ!」「おう!」
頭に命令された三人は行動する。
「すみませーん」トントントン
「ああ?何のようだ?」
外に出てきた男はそそくさと扉を閉めた。
「すみません。こちらの方に女性が来ませんでしたか?」
「女性?・・・いや見てないが、こんな夜更けにお前は一人か?」
「はぁ・・・一人ですが・・・本当に来てませんか?」
「来てないな、それとも何か?お前は俺が嘘言っているって言いていのか?」
「んーっ、そうですねー。そうだ、あんたには言葉が通じそうにないから他の人と代わってくれません?」
「こ、この糞ガキが!舐めるんじゃふべらぁ!」
ハクは無事に潜り込めたみたいだ。
それならもう動いてもいいだろう。
ハンスは相手の腹を勢い良く殴り付ける。
男は腹を殴られそのそのまま気絶し、後ろの扉に体がぶつかり座り込むように崩れ落ちた。
そのはでな音を聞いて男がもたれ掛かった扉が無理やり押され新たに男が出てきた。
「なっ、何があっ・・・おい!大丈夫か!くそっ。お前がやったのか?ちょっとおいたが過ぎるんじゃないかい?ああ!」
残念!俺だけじゃないんだよねここに居るの。
右手を不意に上げると其処らの物陰に隠れていた俺の仲間達が一斉に姿を現す。
「!?ま、魔物!何でこんなとこに・・・」
油断は良くないよ?おじさん。
ハンスは隙だらけになった男の顔面を回し蹴りで横に蹴り飛ばす。
「ぶふぁ!」
「よし!中に入るぞ!ゴータは俺と来い!他の皆はこの小屋を包囲しててくれ。もし、逃げる奴等を捕まえるんだ!やれキラーエイプ!」
バァァァン
ハンスに命令されたキラーエイプは扉をおもいっきり殴り破壊した。
小屋の中には破壊された扉に驚き固まる男が四人居た。
その格好を見るとどの男も皮の鎧を来ていて真ん中の図体がでかい男が柄の短い斧が2本装備している。
他の三人は短剣1人にロングソード2人だった。
こんな狭い小屋で斧とロングソードって意味があるのか?
ロングソードなら突いて攻撃したらいけるが、動きが単調にならないか?
あの斧もそうだが・・・やけに柄が短くね?それならこの中でも振り回せるのか。
「なっ!なんだ!」
「どうも初めましておじさん達」
コイツらかレインを攫った奴等は。
見た感じはあのデカイのがコイツらのボスだろうな。
「魔物に子供?・・・おい、外を見に行った奴等はどうした?」
「さっきの二人なら仲良く外で寝てるけど?」
「ガギが・・・何しやがった?」
「教えてほしい?教えてやろうか?体でね!」
「ガギが!調子にのるなや!やれ!」
やはりアイツがここのボスみたいだな、それならアイツは俺が倒す。
斧の男に命令され一番近くに居たロングソードの男が剣を上から降り下ろしてきた。
「遅い!」
まぁ、なんだ?振りかぶりは遅いし、体捌きはお粗末・・・なんだコイツ・・・。
これならここに来る途中で戦った魔物達の方が手応えはあったんじゃないのか?本当に。
「ぐぁ!」
振りかぶってきたロングソードの腹を手を沿えるように受け流しその隙だらけの腹に向けて拳をめり込ませる。
「はい!一人目、ゴータ邪魔だから外に投げて来て」
「了解すっ!」
なんかかる様に気絶した男をゴータに渡し外へと投げ飛ばしてもらう。
「くっ、油断すんなや「ギャャャャッ!」ななんだ!今度は!」
突然壁の向こうから男の叫び声が聞こえてきた。
「おっ、ハクもやってるみたいだ。さてそろそろ終わりにしようか・・・ゴータは雑魚を俺はあの図体がでかい奴をやるから」
「出番無いまま終わるかと思ったっすよ」
「それでも良かったんだがな、流石に皆が出番無いままに終わらせると可哀想だと思ったんだよ」
「それなら1人くらい外に逃がしてもいいんすかね?」
「ん?それでもいいぞ!」
ハンス達は残りの三人を前にゴータと何も無かったかのように喋り出す。
「ぐっ!舐めやがって・・・少しは出来るようで勘違いしているガギが調子にのるなや!俺を誰だと思ってやがる!」
「うちのゴブリンより雑魚のおじさん」
「糞ガキが!」
男は俺の挑発で手に持っていた柄の短い斧を投げ飛ばしてきた。
げっ!投げる事が出来るんだあの斧って・・・っと!
「何?いくら俺が良い子だからって、こんなプレゼント喜ばないよ?」
男は斧を投げハンスを殺ったと思ったが、難なく身体を横にズラしたと思ったら回転しながら飛んできた斧の柄を掴み取り、何事も無かったかの様な振る舞いのハンスに言葉を無くした。
「なっ・・・!」
そのまま近づき斧の腹で図体がデカイ男の顔を叩きつける。
ゴッ!「うべっ!」そのまま小屋の端の方へと弾き飛ばされるが流石にデカイだけあってこれだけでは気絶しないみたいだ。




