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(なろう版)新米薬師の診療録  作者: 織姫みかん
Karte19:大切な存在

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今年も3人で

 雪が降り続く12月。今年は本当に雪が多く、先週末から続く雪は村中を銀世界に変え、雪搔きが日課となった村では腰痛患者が続発。毎日のように患者さんがやってきます。お店的にはありがたいことですが、村の人たちのことを考えるとこの辺りで雪雲にはお休みをしてほしいものです。

 少し早めにお店を閉めた今日は大樹祭です。神様に感謝を伝える大切な日であり、みんなで楽しくご飯を食べる日でもあります。

 「ソフィー殿。そっち様子はどうだ?」

 「はい。もう少しで完成です。エドそっちは?」

 「もうちょっとで終わる」

 去年に続きウチで大樹祭を祝うことにした私たちは分担して食事の準備をしました。キッチンを荒らすことしかしないエドにはお店の掃除を任せ、私とアリサさんは大樹祭に欠かせない“ウサギの丸焼き”の仕上げに入りました。

 「良い感じに焼けましたね。ちょっとかわいそうな気もしますけど」

 「丸焼きだからな。美味しくいただくことにしよう」

 「そうですね。エド出来たよー」

 ウサギが乗ったオーブン皿に付け合わせの野菜を盛りつけ完成。うん。今年も上手く焼けたみたい。必要以上に焦げることなく、こんがりと食欲をそそる焼き色を付けたウサギをテーブルの中央にセットして準備完了。あとはお店の掃除をしてくれているエドが来るのを待つだけです。

 「それにしても良かったのか?」

 「なにがです?」

 「エドだけでなくアタシまで泊って。布団の用意とかもあるだろ」

 「この雪の中で帰ってもらうのは危険ですからね」

 街とは違って街灯などない村なのでただでさえ夜道は危なく、雪が積もった中では尚更です。アリサさんの家は比較的ウチから近い距離にありますが今夜はお泊り会に付き合ってもらいますよ?

 「まぁ、確かに小さい村の中と言っても出歩くのは危険だな――エド。掃除は終わったのか」

 「はい。戸締りも完了です」

 「ありがとね。さ、座って」

 お店の掃除を終えてリビングに入ってきたエドにはアリサさんの隣の席へ座ってもらい、私は二人の向かい側に座りました。テーブルの上にはメインとなるウサギを中心にご馳走が並んでいます。その中には寒い夜にはもってこいの一品もあります。

 「ソフィー、このシチューってもしかして?」

 「うん。師匠と同じレシピで作ってみたの」

 「ルーク殿の得意料理だったのか?」

 「得意と言うか、私が一番好きだったものですね。レシピはある人から教えて貰いました」

 師匠の件で王都に滞在していた時にバーのおじさんから教えて貰ったレシピで作るのは初めてだけど、たぶん上手く出来たはずです。幻になりかけた味なのだから私がちゃんと受け継がなきゃだよね。

 「さ、冷めないうちに食べましょう」

 「その前に、神へ祈りを捧げるのが先ではないか」

 「そ、そうでした。それでは、この世界を創った神に感謝を――」

 胸の前で手を組み、神へ感謝とこれからも平穏に過ごせるよう静かに祈りを捧げます。それか私はもう一つ、師匠が黄泉の国でこれからも安らかに過ごせるようにと少しだけ神様に我儘をお願いしました。きっとこの願いは神様も叶えてくれるはず。それ願って二人より少し長めに祈りを捧げました。


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