『苦戦』
「やべえっ!」
俺は咄嗟の判断で、剣を両手で盾のように構えた瞬間、放たれた光線と剣が衝突する。
「ぐっ」
光線の衝撃で体が吹き飛びそうになるも、地面に剣を突き刺し、その場で踏みとどまる。
剣に弾かれた光線が鎧をかすめると、鎧に焼け焦げた跡がつく。
異形の怪物、その全身の眼から放たれる光線は、濁流のように止まることなく放たれ続ける。
何とか耐えているものの、その勢いに押され身動きが取れなくなる。
辺り一面に弾かれた光線は、公園のあらゆる物を焼いていく。
「くそがっ!このままじゃ埒が明かねえっ!」
俺は焦るも、剣を持ち上げた途端に、光線が鎧を直撃することがわかりきっていた。
鎧の焼け焦げた跡が増えていき、遂に何度も光線を受けていた両肩の部分が、破裂音を響かせ砕ける。
「嘘だろっ!?」
変身したものの、この鎧の強度がどれくらいなものか全くわかっていなかった。
俺は変身さえすれば勝てるもんだと、思い込んでいた。
怪物の苛烈な光線に、鎧が保たなくなる。そうなった時、生身で光線を受ける姿を想像し、鳥肌が立つ。
すると、眼から放たれ続けた光線の照射が、ようやく止まる。
「っつ。行くしかねえ!」
俺は体を大きく前に倒し、前傾姿勢のまま怪物に向かおうと、右足で地面を思いっきり蹴り、一気に走りだす。
すると体が浮いたと思った刹那、俺は砲弾のように飛んでいた。
「うぉおあああああああああああ」
気づくと目標である怪物から外れて、怪物の横にあるジャングルジムに激突する。
鉄でできたジャングルジムがひしゃげ、その中にめり込んでいた。
「何だっ、この速さ!」
一歩踏み込み、走り出しただけなのに、凄まじい勢いで体が動いていた。
生身の人間を遥かに超えた、鎧のパワーに、俺は振り回されていた。
「こんなことしてる場合じゃ……」
俺はすぐさまジャングルジムから抜け出そうとするも、触手が足首に絡みつく。気づくと俺の体は一気に空中に持ち上げられ、そのまま勢いよく地面に叩きつけられる。
鎧を通して、衝撃と痛みが体に響く。
「痛ってえ!」
再び頭上に持ち上げられ、何度も地面に叩きつけられる。
叩きつけられる度に、鎧が軋み、罅が入る。
空中に持ち上げられた時、下に見えたライオンに助けをもとめようと手を振る。
だが、ライオンは微動だにせず、悠然と俺を見ていた。
まるで、俺を試すかのように。
それに気づくと、俺は恥ずかしくなる。勇者に変身できたっていうのに、俺は何て無様な真似をしてるんだ。
怪物に飲み込まれた彼女を救いだすためにも、俺はこんなところで……
「こんなところで、やられてたまるかっ!」




