『帰還』
衝撃と共に、俺は地面に背中から落下する。
「痛ってえ!」
背中に走る激痛に、顔をしかめる。何とか耐え、そして顔を横に向けると、目に映ったのは公園の芝生と遊具だった。
「戻って、来れたのか……」
最初は半信半疑だった。けれど目に見える風景や肌に感じる夜風の涼しさ。
間違えようがない。俺は無事に、現実世界に戻ってくることができたのだ。
安堵の喜びと共に俺は歓声を上げ立ち上がる。そして俺の脇に倒れていた少女に気が付く。
「大丈夫か!?」
俺は少女に声をかけると、少女はゆっくり目を開けて俺の方を見る。
俺は少女に手を伸ばす。少女が手を掴むと、ゆっくり起こす。
立ち上がった少女は首を振り、周りを不思議そうに眺めていた。
俺は少女を、改めて見てみる。
小学校高学年か中学生くらいの背丈で体が細く、8才である妹の陽芽よりは年齢は上に見える。
淡く瞬きながら煌めく、星の光のような色合いの金髪のショートの髪型。
見られていることに気づいたのか、少女は俺の方を見つめる。
瞳の翠は変わらず吸い込まれそうな程、透き通っている。
だが、最初に見た時のあの神々しさはどこか身を潜め、衣服は見慣れないものの、年相応の少女のようだ。
この子は一体何者なのか?どうしてあの樹の中にいたのか?
あの怪物の正体に関しても、何もかもわからないことだらけだ。
疑問が頭の中を渦巻くも、今考えるべきことじゃあない。俺はゆっくりと息を吐く。
「色々話を聞きてぇところだが、まずはとにかくここから離れ……」
と俺が少女に向かって話していると、少女が微かな悲鳴を上げ、突然しゃがみこむ。
「おいっ、どうした?!」
少女はそのまま両手で頭を苦しそうに抑え、地面にうずくまる。俺はしゃがみこんだ少女を起こそうとするも、あまりの痛がりように躊躇する。
少女が頭を上げ、後ろを振り向きながら呟く。
「来る……」




