木材を得るために磨製石器を作ろうか
さて、サピエンスの女性が無事に妊娠して行くとともにフローレス人にも妊娠したらしい女性?が出てきた。
おそらく月経がホルモンによって誘発されるように妊娠も誘発されるものなのだろう。
時期が重なっていたほうが都合が良いからな。
「ふむむ、そろそろ、木を切り倒すための丈夫な石斧が欲しいとこだな」
地面へ直接寝転がるといろいろ問題があるので、今は落ち葉やココナッツファイバーを敷き詰めているが、これはこれで昆虫が入り込んだりする。
なので木を使ってベッドのようなものが作れれば一番良いのだが、木を切るには打製石器では無理なのである。
磨製石器が使用されるようになった新石器時代は西アジアなどのヨーロッパ周辺では約一万年前からとされているが、スンダランドやサフルランドでは5万年ほど前から磨製石器を用いて木を削ってカヌーを作っていた可能性が高いと考えられているのだけどな。
「まあ、対岸が見えてる程度まではスンダランドとサフルランドは近かった可能性が高いってことだよな」
で、磨製石器は黒曜石やチャートのように割れて鋭い断面を造り得る特定の場所でしか取れないガラス質の岩石ではなくかんらん岩のような割りと普遍的に存在する岩をハンマーで割ってある程度形を整え、刃となる部分を砥石になる岩で削って磨き作ることができ、やがて全体を磨いて形を整えつつも大きくて重い石斧を作ることができ、打製石器のような黒曜石を使った場合でも刃に磨きを入れることでナイフは鋭利さが増して切れやすくなるし、石皿を作るのも簡単になったわけだ。
大型で重くあまり刃の鋭利さのない石器は土を掘るのに使われ、比較的鋭利な石器は木の伐採に使える。
「んじゃ、まあみんなで石を磨いて石斧を作るとしようか」
フローレス人がバンザイしながら賛成する。
「つくるー」
「つくるー」
サピエンスは意味がよくわかっていないようだ。
「石を磨くですか?」
俺はうなずく。
「ああ、とりあえず俺のやってることをみて真似してくれ」
サピエンスは頷いた、意味がわからなくてもなにかの役に立つとは思ってくれてるのだろう。
「分かりました」
まずは手頃な大きさのかんらん岩を探すわけだが、黒曜石を探すのに比べればすぐ見つかった。
砥石には堆積岩を使うがこれも別に珍しくないから見つけるのは簡単だ。
「まずはこれとこれを探して手にしてくれ。
できれば最初から斧の形に近いほうが楽だぞ」
フローレス人もサピエンスもともに頷いて探し始めた。
「わかったー」
「わかりました」
そして割と早く見つかったようだ。
「みつけたー」
「ありましたー」
割りとみんな早く見つけることができるのは原材料が希少でない磨製石器のメリットだな。
俺達はそれを持って洞窟に戻る。
「じゃあ、まずはかんらん岩を石槌で叩いて打ち欠いておおまかな石斧の形に整えるぞ」
俺がやってみせるとフローレス人もサピエンスもともに頷いて同じようにやり始めた。
「ととのえるー」
「わかりました」
皆がある程度作業を進めたところで俺は打ち割るための石槌から砥石に持ちかえた。
「で、ある程度が形になったら、こっちお研ぎ石を水で濡らして刃部になる部分に研ぎ石の平らな部分にあてて研ぎ石の上で前後に動かして、削って刃を作る」
俺がやってみせるとフローレス人もサピエンスもともに頷いて同じように持ち替えて刃の研磨作業をやり始めた。
「つくるー」
「刃を作るですね」
さらに作業をすすめる。
「で、ある程度削って、刃の面ができたら裏返して反対側も削る」
「はんたいー」
「反対を削る……ですね」
「で、最後に木の棒に穴を開けてそこにはめ込めば完成だ」
「かんせーい」
「できました」
石斧は紐でギュッと縛り付ければ石斧になるわけではなく石のナイフで木の棒に穴を開けてそこにはめ込むようにしないと駄目だったりするのはちょっと面倒だが、こうしないと十分に打撃を与えられないのだ。
柄に石斧を紐で固定しただけでは強度や耐久性が不充分なんだよな。
「よし、これで木を切ってみよう」
「みよー」
「わかりました」
早速石斧を木に入れてみる。
”かこーん”
石斧の丸っこくて鋭くはない丸い刃先でも以外に木は削れる。
むしろ石は鉄と違って、強度はないので薄い刃を作ると折れてしまうが、厚く丸みを帯びた形の刃だとその丸みで木の繊維の摩擦を少なくして入っていくことで切り口が広がっていくのだな。
「きれたー」
「おお、これで木を切り倒せるとはすごいものですな」
「ああ、とは言えあんまり切りすぎてもまずいから必要な分だけな」
これで木を利用することが今までより楽になるはずだな。




