21恋目~「スキ? キライ? それとも...」~
*「凛視点」のお話になっています。
月曜日ーー。
支度を終え、靴を履き、母に「行ってきます」を言う。
ドアを開けると、そこに悟史と千里が待っていてくれていた。
凛は昨日のことで二人というより、正確には悟史に会うのが少し気まずく、目を合わせられない。
「ふ、二人とも、お、おはじょ......っ! あっははっなんて、ね」
二人とも、挨拶してきていつも通りに「おはよう」と言えるように頑張った凛だったが意識し過ぎて変になり、笑って誤魔化す。
すると、触れてはいけないと思ったのか千里は聞こえなかったフリをする。
「......さっ! 行こっか、遅れると担任怖いからねっ」
「そ、そうだな。ほれ凛行くぞー」
「う、うん......(あっこれ隠しきれてない......)」
朝から変な空気で登校する。
(さっきより気まずくなった)
学校に着き、教室に入る。まだホームルームまで時間がある。
悟史と千里は二人で何か話しているようだった。凛はというと、あの言葉のせいでまだ悟史のことが気にかかって仕方がない。
(スキ......スキ? なのかなぁー? う~ん)
そのまま、複雑な気持ちでホームルームに入った。
放課後、生徒会で悟史と一緒に生徒会室に向かう。
すると中には他のみんなは既に集まって、二人のことを待っていた。「あの......」と、悟史より先に凛が口を開き、会長の紗綾に謝る。
「すいません、遅れてしまいましたか?」
「大丈夫~みんな早く来てただけだから、遅刻じゃないよ」
「そうでしたか~よかった。あっそういえば、先輩誕生日おめでとうございます! 本当は誕生日の日に言いたかったんですけど早く帰らないといけなかったので......」
「ありがとう~凛」
凛は百合主催のサプライズパーティが気になり、紗綾に聞いてみる。
「先輩、サプライズパーティどうでしたか?」
「何で知ってるの?」
「なんか、やるっていう話を耳にしてたので」
「うーん、サプライズは確かに凄かった。でも一番驚いたのは百合の料理が美味しかったという......」
「へー! 百合先輩、料理するんですね!」
「料理するのは知ってたけど、あんな美味しいなんて想像してなかったよ~」
紗綾は笑いながら今日使う資料に手を加え、パンパンと手を叩き、ひとこと言う。
「さて、早いけどみんな始めよっか~」
* * *
生徒会の集まりが終了して、あとは帰るだけ。千里は部活がある。まだ吹奏楽部の演奏が聞こえているから。そうすると、悟史と二人で帰ることになり、凛はいつもの帰りにはない緊張をする。
(何で、こんなに心臓がうるさいの......まさかこいつに!? こんなカッコつけの奴、誰が......それにしても寒い)
「なぁ、凛。俺、千里とホームルーム前に話してたんだけど......」
この静かな空気を終わらせるかのように、悟史が口を開く。
(ホームルーム前、二人話してたんだ......)
「凛、明日さぁ......昼休みちょっと時間くんねぇ?」
「え?」
「頼むっ! この通り!」と付けたし、凛の前に立って手を合わせ、頭を下げる。
急な言動に凛は無言。何度も何度も繰り返し、凛の答えを待つ。
「ダメ......か?」
「......ううん、大丈夫」
「えっ? てっきりダメかと思ってた。無言だったから......」
「それはっ、悟史がいつもしなさそうな事するから......」
「俺が......しなさそうな事?」
凛の了解が出たことに驚いた悟史はさっきの必死さで、凛がなんの事を指しているのか頭がまわらず、分かっていない。
空が黒に染まりかけて風が冷たくなってきたからだろうか、凛の頬はほんのり赤くなっていた。
「いつも頭、下げて頼み事しないから......さ......」
「あーそういうこと......まぁそれは凛のきちょーなタイムをもらうからさっ」
沈黙が数秒間続き「はぁー寒いっ、早くかーえろっ」と一人言をわざと大きく言い、早歩きをする。そのあとを「無視っすか......そうすっか」とボソッと小声で悟史が言ったあと、凛についていく。
(さっきはあんなに気まずかったのに......でも相変わらず、ドキドキしてる、止まらない。なんだろう)
「じゃあな! 良いドリームをっ」
「じゃあね、その最後の一言で、良い夢が悪夢になりそうだよ」
バタンとドアを閉める。閉めるときに「えっ?」という悟史の声が聞こえた。大体こんな顔で言ったなという予想はついた凛であった。
(さっきの最後の一言がなければなぁー、良かったのにぃー)
そう、悟史は残念な人間だ。そのカッコつけで、いくら人が良くても、いくらカッコいい事をしても、ほとんど......いや、必ず台無しになる。
(でも、しょうがないかぁー。昔からだもんねぇ~、英語がカッコいいと思っているし、それがいけないってわかってないし......しかも、英語カッコいいって言ってて英作文ダメダメ......ふふっ......はっ! 何であいつの事考えてるんだろう......)
次の日ーー。
いつものように二人が凛のことを待っていた。
この日は異常気象で昨日より寒く、息を吐けば白い煙が空へと昇る。
(まだ10月始めなのに何でこんなに寒いの? 12月じゃないよね......)
凛は赤チェックのマフラーで、できるだけ顔を隠し、黒のコートで暖める。コートのポケットの中に手を入れ、カイロでさらに暖める。
そして、二人を見ると二人もこの寒さには勝てないのか、手袋とマフラーをしている。悟史は、青に近い紺色の手袋に黒のマフラー。千里は黒の手袋に緑と白のチェックのマフラー。さらに濃いベージュのコートを着ていた。
「おはよう」と千里は白い煙を吐きながら言った。それに続くように「おはよ」と悟史も凛に向かって言う。凛は二人に「おはよう」と挨拶を返す。いつものように挨拶をする。そしていつものように一緒に登校する。
そして、昼休みーー。
「「凛、ちょっといい?」」
二人が同時に話しかけてきた。凛は「うん」と返事をするが、どこか不安な気持ちあった。教室を出て、二人についていく凛。「どこに行くんだろう?」とか「大切な話なのかなぁ」とかそんなことをずっと考えていた。靴を履きかえ、外に出る。
(外? 校庭で遊ぶのかなぁ?)
二人が止まったと思ったら、そこは”生徒フリースペース”という場所だった。そこはこの学校だけにある。
校門を「東」とすると、体育館は「南西」。校庭は「南東」。校舎は「西側」にあり、生徒フリースペースは「北西」にある。
(ここ、「フリースペース」なのにみんな全然使ってないっていう......まぁそりゃここ日当たらないし、暗いし、わざわざこんなところ使わず校庭で遊べばいいし......って何でここ?)
外に出る理由は外で遊ぶと思っていた凛は二人を見る。
「ねぇ、凛」と千里がいつもとは違う声のトーンで、真剣な眼差しで見てくる。悟史を見ると悟史もそうだった。
「な、何? ど、どーしたの? 二人ともそんな真剣な顔して......」
いつもとは違う雰囲気の二人を見て、混乱する凛。すると二人は重ねるように言う。
「俺、凛が好きだ。付き合ってくれ」
「僕、凛が好きなんだ。付き合ってくれない?」
二人が言った内容は凛にちゃんと届いた。が、さっきまで混乱していたのにさらに混乱し、どうにかなりそうだった。
しばらく答えられず黙っていた。
そして千里が「ねぇ、スキ? キライ? それとも......」と言いかけたとき凛が口を開く。
「私......は、まだ......好きとか分から......なくて、その......」
「じゃあ、どっちのことも好きになってないのか......」
「......じゃあこうしようぜっ! 分かんないならさ、今度土日に一日デートってどうよ、千里」
「あっ! それ、いい案だね! 珍しくいいこと言うじゃん」
「え!? あっ、デ、デート!?」
「”珍しく”は余計だ」
(デートって何でそーなったの!? えっ? お、おかしくない? ねぇ! ......ってもしかして、私の拒否権ってない感じ?)
心の中で叫びまくった凛は、心の中で頭を抱えた。
「僕、土曜がいいな~」
「じゃあ俺、日曜でいいよ」
「いいの? 悟史が優しいなんて、明日雪でも降るのかなぁ~」
「おいっ! お前、日曜にすんぞ......」
「あははっ~ごめんって、ありがとう、悟史」
「おうっ」
(なんか向こうで勝手にデートの日決めちゃってるし......私、行くなんて一言も言ってないし)
「じゃあ、そういうことでチャイム鳴るから教室帰ろっか~」
「そーだな、行くぞ~、凛ー」
「あ゛ーう゛ん......(やっぱり拒否権ないんですねー、はい、薄々気づいてました~、はぁ......)」
~学校について~
百 「うちの学校って”フリースペース”っていう
場所あったんだね」
紗 「あったみたいだねぇ~」
百 「忘れてたの?」
紗 「忘れてたっ(笑)」
百 「そーだよね~暗いし、分かりずらいし。
私あそこ嫌いだわ~」
紗 「うん、私も~。あっそうだ、
うちの学校ってプールあるじゃん?
プールの授業って......」
百 「したことないよね(笑)」
紗 「うん(笑)」
百 「プールのある意味って......」
紗 「ないね(笑)」
* * *
次回『22恋目~デートってなんですか?ー千里編~』です。
いつもより早めに更新しました。
*書きたいハロウィン! イベント追いつかない...まだ体育祭や文化祭も残っているのに...
*いいな~恋、したい。。。「変わってほしーい!」というのが本音です(笑)




