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私の周りは恋愛絡み  作者: 癒月サクラ
21/27

18恋~「これこそ本当、知らぬが仏......だな......」

 

「さっ、早くお昼食べないと時間ないよぉ~」


と嫌な空気を察した百合が明るくみんなに言う。

「それもそうだな」と先に冬斗が食べ始め、それが合図のようにみんなも食べ始める。

ただ、今日の学食はさっきの出来事があったせいか誰一人も喋らず無言で食べ進めていた。


食べ終わったあと、みんなそれぞれの教室へと向かうとき、要と紗綾は別々に教室に入っていき、クラスメートは帰ってきた二人の空気が気まずいことを気付いた。

午後の授業が終わっても二人は会話をせず、部活がない紗綾は要や冬斗たちより早く家に帰っていく。

(二人の仲、大丈夫かなぁー)

とこのとき百合と真里は同じことを考えていた。



紗綾は家に着くといつもと変わらないように母に声をかけ、自分の部屋がある二階に向かう。部屋に入るとカバンを机の上に置いて祖母から貰った手紙を探す。


「たしか......ここら辺に......」


机の棚に入れた覚えがあり、そこを隅々まで探すと茶封筒が出てきた。宛名は自分になっている。


「うん、これだ......」


茶封筒を持って母のいる一階へと降りる。

(要のこと、お母さん何て言うかな......)

不安が大きくなる。

(......大丈夫。深呼吸......よし)


ドアを開け、リビングでソファーに座ってくつろいでいる母に声をかけた。


「あの......さ......」

「あら、どうしたの? あっそうだ、冷蔵庫食材ないって言ってたから言われたものとテキトーに買ってきたわよ」

「う、うん。ありがとう......」

「ん? 本当にどうしたのよ、紗綾」


「紗綾らしくない」と続け、不思議そうに見る。

後ろで隠していた茶封筒を見せ、「おばあちゃんが一緒に読めって」と説明する。


「そう......お母さんがねぇ。なにかしら......宛名は紗綾だから紗綾が先に読みなさい」


母の隣に座って、開ける。

内容は、やはり要のことだった。読み終わったあと無言で手紙を母に渡す。母も読み終わったあとは「そういうことね」とぼそっと言った。


「紗綾にも知る権利はあるのよね。簡単に話すわ全部、双子の兄だったその子のことを。十六年前のあるお話、九月二十八日に双子の子が産まれました......」





ー十六年前ー


九月二十八日にふたつの命が誕生した。

その子たちは双子で最初に出てきたあとすぐ泣き止んだおとなしい男の子。次もおとなしい女の子。

(はじめての女の子! 可愛い......名前は女の子が紗綾。男の子は......要ね)


しばらくして、母親は悩む。

(双子はいいけど子育てが大変そう。でも透に任せて......)



そして、月日がたち三年後。

ガッシャーン.....

なにかが割れる音がした。

(あの人、またやってるわ。透、ごめんなさいね......助けられなくて)

さっきの音で驚いたのか要が鳴き始める。


『まんまぁ~うっ......うわぁん』

『どうしたの、どこか痛むの?』

『ぱぁーぱがね......こあいのぉ』


そういうと紗綾が立ち、「だいじょーぶだお、がなめ」と要と同じく言葉がまだきちんと言えてないが要に伝わった。


『つおいね、さやは』

『しょーだよ、つおいよ?』



その後要は泣き止んだが、紗綾より泣くことが多い要はよく父に怒られていた。

(あの人、すぐ手が出るんだから。もう見てられないわ......もうこれしかないの、これであの子が助かるなら。すぐの方がいいわ......)



次の日、母親は男の子連れ、近くの孤児院に入れる。


『では、お預りします。要君行こうか』

『まんま、は?』


(ごめんね、要......)


『ママね、これからお仕事が入るの。あとでね......要』

『おしごとぉ? うん、ボクちゃんと待ってる!』


家に向かうため歩き始める。気になって後ろを振り向くとバイバイと大きく手を振る我が子の姿があった。

(本当にごめんなさい、これはあなたの為なの。勝手なママを許して......)





「......でね、その双子の男の子は紗綾のいった要よ。生きていたのね......これが全てよ。本当に手短に話したけれどだいたいわかったかしら?」


全てを話した母は立ち上がり、「隠すつもりはなかったのだけれど話すタイミングがなくて......ってこんなのただの言い訳よね」と言いながら、台所に行き冷蔵庫からビールを出してコップに注ぐ。


「......っぷはぁ~、あ~おいしっ。紗綾ぁ~ご飯つくって~」

「あ~あ、お母さん酔いやすいんだからぁ~。もう、飲んじゃって~。待ってて、今作るから......あっその前に水飲んで酔い覚ましといて」




次の日ー教室にて。


「おはよー」

「おはよーさん」

「おっはー、ねぇー昨日のテレビ見た? ヤバかったよねー」


挨拶が飛び交っている。

(うー入りづらい......)

紗綾はまだ、教室の前で入るか入らないかで迷っていた。

すると、後ろから声をかけられる。


「おい、入らないのか?」

「......冬斗。あっえーと......は、入るよっ」

「ん? なんだ? あいつ......」


自分の席の隣席に要の姿があった。

(いる! ってそうだよねー)

まだ紗綾の存在に気づいてないようでゆっくりと自分の席に近づき座る。すると......


「あの......」

「はい? (気づかれてた......だよね~)」

「おはよう」

「っ! お、おはよう......(昨日のこと、話してみようかな......)」


そして、昨日母と話した"双子"のことについて話す。


「......本当だったでしょ? 紗綾のお母さん......じゃなくてお母さんに会いたいな。それに、兄さんにも」

「お兄は......どこにいるかわからない」

「えっ? ......行方......不明?」

「お兄のことお母さんに聞いても話逸らすし、教えてくれない」


「そっか」とこちらに向けてた顔を前に戻し、要は紗綾や前にいる優などに聞こえないよう呟く。


「......双子のこと知らなければ良かった。知らなければ......僕は、キミの隣に......。これこそ本当、知らぬが仏......だな......」

「何か言った?」

「いいや、何でもないよ」



キーンコーンカーンコーンとホームルームが始まるチャイムが鳴る。

~みんなの誕生日~

紗 「みんなの誕生日っていつなの?」

百 「私、8月 7日~。真里っぺは10月 23日だよね」

真 「百合、過ぎてる(笑) って真里っぺゆーなっ!」

冬 「俺は5月 10日。優は......2月 13日だっけ?」

優 「そう......」

凛 「せんぱーい私の誕生日覚えてます?」

紗 「うん、覚えてるよ。12月 15日だよね。あと、翔が1月 26日で悟史が4月 1日。芽衣子が3月 24日、晴武が3月 8日、秦冶が6月 9日だっけ?」


凛 「先輩、凄い! 全員合ってます!」

 * * *


次回『鈍感少女と転校生にサプライズ』です。


*誕生日の人もそうじゃない人もHAPPY BIRTHDAY!

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