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私の周りは恋愛絡み  作者: 癒月サクラ
17/27

15恋~やがて消えてしまうお兄との記憶~

更新遅くなりました(涙)

すいませんでした。

 

 

紗綾は母方の両親の家へ向かうため電車に乗っていた。


「今どこで何をしているのかな......」


窓から見える空を見て呟いた。


「この空の続くどこかで笑って過ごしていたらいいのだけれど。お(にい)......」



ガタゴトと電車内が揺れるなか、小さいあの頃を思い出す。


『ほら、あれが蝉だよ。あっちには風鈴が鳴ってる』

『お兄! あれは?』

『これはね、風車』

『ふ~ん、じゃあ、じゃあ......』




「......腑利田(ふりた)駅~腑利田駅~お出口は右側です」と電車のアナウンスで、はっとなる。

(危ない、危ない。どこで降りるか忘れてた)



電車を降りて駅前にあるバスを待つ。


ミーンミンミンミーン......

蝉が五月蝿いくらい鳴いている。

数分後、バスが来ると紗綾は乗り込み少し走ると景色は田んぼ一面。「田舎っていいな」と思う紗綾は目的のバス停が近づく。



(早くおじいちゃん、おばあちゃん家に向かわなきゃ......)

バスを降りて急ぎ気味で向かう。

(予定より遅くなっちゃった。心配するかも)

着くと、おばあちゃんが待っていてくれていた。


「紗綾や、よく来たね。さぁ上がりなさい」


中に入り、居間に行くともうおばあちゃんがキンキンに冷えた麦茶を出してくれた。

ありがたく頂いていると風鈴がチリリンと鳴り、なんとなくその風鈴を見ているとおばあちゃんが紗綾の隣に座った。


「覚えているかい? 紗綾。あの風鈴はあんたが小さい頃、(とおる)と行った近くの祭りで買ってきたものなんだよ」


透とは兄のこと。

一緒に祭りに行った記憶はもうない。思いだそうとしても全然思い出せない紗綾はモヤモヤしていた。


「あ! そうじゃった。紗綾、何でもいいからアイス三つ買ってきてくれんか? なくて買うのを忘れておった、ほれ」

「あっうん......わかった、買ってくる」

「頼んだぞ」


おじいちゃんはそう言ってどこかに行ってしまった。もらったお金をもって近くのお店に向かう。お店といっても昔ながらの感じがする小さなお店だ。


「道って覚えているもんだね。まぁ、一年前にも来たけど」



アイスを買った紗綾は家は戻る。そしてふと思い出した。


小さい頃の記憶はあやふやで覚えていても途切れ途切れ。でもただきちんと覚えていることがあった。遊び疲れた夕暮れ、家に一緒に兄と帰ったこと、笑いあって「また、遊ぼう」と約束してたこと、あのときは楽しかった。

(あぁ......そんなことあったなぁ~)


泣きそうになったが目の周りを赤くして帰ってきたらおじいちゃん、おばあちゃんが心配しまうので必死にこらえる。


「あ~もう! 泣くなっ、えい!」


自分に喝を入れ、歩き出す。



家に着く頃には涙なんてどこかにいってしまっていた。


「ただいま~、買ってきたぁ~」

「おかえり、ありがとなぁ~紗綾。」


「ううん、いいよ」と渡し扇風機で涼む。

すると、おじいちゃんが「ほれ」と抹茶アイスを渡してきた。


「え? いいの?」

「そのために三つ買ってきてもらったんじゃよ」


アイスを貰い、食べる。

何故かこのアイスはいつもと違うほんのりと苦くてあとから甘い味がした。

アイスを食べ終わるとおばあちゃんが「そうだわ」と話しかけてきた。


「お隣、スイカを貰ったんだったわ。お礼をしないとねぇ」

「隣? って(かなめ)......」

「そうだよ、要君よ」


要は昔、こっちで仲良くなった男の子。よく兄と要の三人で遊んでいたものだ。


「そ~れに、要君家引っ越すみたいだしねぇ。寂しくなるわぁ」


おばあちゃんの一言で一瞬耳を疑った。

(え? 今何て......要が引っ越す!?)


「よかったわね、引っ越す前に来てて。挨拶行ってきなさい」

「うん......」


(引っ越すなんて。もう会えないのかなぁ)

隣に着きインターホンを鳴らす。するとインターホンから「はい」と男の子の声がした。

(要だ。)


「あの......紗綾、なんだけど......」


小声で言ったが聞こえたらしく、慌てた様子で「すぐ行く!」と言われた。


ガチャッとドアが開くと要は紗綾に近づく。

そして紗綾は思いきって引っ越しのことを聞いた。


「ねぇ、引っ越すって本当なの?......」

「......まぁね、でもまた会えるよ」

「そっか」


   *        *       *


要と色々話をして家に戻る。

辺りは夜。虫の音が響く。


「おかえりなさ......紗綾、ご飯は?」

「ごめん、考え事するからいらない。」

「そう......お腹、すいたら降りてきなさい」


「ありがとう」そう言って借りた部屋に入る。





空は星がたくさん宝石のようにキラキラ輝いている。

紗綾は兄のことを考えていた。

(お兄、帰ってきて......昔のように笑いあおうよ......)



夜風が紗綾を励ますように吹き始める。


兄は優しい人だった。今どこで何をしているのか、そもそも生きているかもわからない。小さい頃の紗綾はとても寂しかった。


でも今は、寂しくはなくなった。

学校生活で友達と楽しく過ごせているから。


(お兄、私ね、決めたんだっ! お兄が帰ってくるまで笑っていようって、私のこと心配してるかも知れないからねっ。そして帰って来たら泣いて喜ぼうって。だからね、お兄......いつか「ただいま」って笑って帰ってきて? 私はいつまでも待ってるよ......ずっとね)






「でも、いつか、あぁ......やだ、忘れたくない」


空を、星を見つめ泣いた。










「ごめん、一人にしてごめん紗綾......」


そう聞こえた気がしたー。

~要との会話の一部~

要「...え? 好きな人? いるよ」

紗「へぇ~そうなんだ。意外~」

要「紗綾、ひどい」

紗「ごめんっ、ふふっ」

要「笑うなっ。紗綾は?」

紗「いないけど、恋愛じゃない"好きな人"は...いるよ」

要「...あっわかった。兄さんでしょ」

紗「せいかーいっ」


 * * *

次回『父は怖い、だから母と兄だけが頼りだった』です。

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