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都平阿坂5

真代さんの待つロッジにたどり着くとそこからも大変だった。

捜索隊が編成されていた。

両親が来ていた。

血の気が引いた。


僕らの親には真代さんが連絡を取ったらしい。

らしいなのはもう真代さんが泣いて泣いて手に負えなかったからだ。

連理とはぐれて、連絡がつかず。探しに行った僕とも連絡が取れなくなったからだ。

捜索隊はもうすぐにでも出発できそうな雰囲気であった。

僕らが到着したのを確認して解散となったようだ。

年かさの人には怒られたというかたしなめられた。

こういう時は素直に大人を頼っていいと。


素直にコースを外れてしまったことを告げたので連理は少し怒られていた。

真代さんにも詰め寄られていた。

理由を聞かれ散々渋った後

「ちっちゃい子供にこっちに面白いものがあるよと言われてちょっとだけと思って入ったら道に迷ってしまったの…」

と連理は言っていた。

ふと引っかかるものを感じた。

「子供ですか?あんな上に……どんな子でしたか?」

真代さんも同様だったみたいだ。

「赤い帽子に…」

まさかと思った。

「もしかして赤い毛糸で編んだボンボンがついている帽子をかぶってた?赤い手袋の。」

そういうと連理は驚いたように僕を見て。しばらくしてうなずいた。

なので僕も、雪山で連理がコースの外に行ってしまったと赤い帽子をかぶった子供に言われたと説明した。

僕たちの反応から示し合わせて嘘をついているわけではないと感じたのか、

そこまで大事になったらもうしないだろうと思ったのか、

日頃の行いがよかったからか、

大人たちはその説明で許してくれたようだった。

もともと連理が好奇心旺盛で誰にでもほいほいついていきそうな性格なのは親も真代さんも知るところだし、小さな村だ。捜索隊の中には見知った人もいて妹のお転婆具合は知っていたのだろう。

いくら子供に言われたからと言って危ないことはしてはいけないということで解散となった。


結局すべてが終わったころには夜もだいぶ更けてしまい。

真代さんのお母様に連絡し、真代さんは僕たちの家に泊まってもらうことになった。

申し訳ない限りだ。

それでも真代さんは泣きはらした目でとてもうれしそうに笑っていた。

我が家について、母の作った手料理を食べ。

普段あまり話さない父に怒られ。

お風呂に入り。部屋に戻ったときにようやく僕は安心して息が履ける気持ちになった。

よかったと安心した。

誰にも気づかれなかったのだ。


そうとも誰も気づかなかった。

だから僕は誰にも知られることもなく。

真実を胸の奥底に抱え込むことに成功した。

あの時。

連理を探していた時。

僕はゴーグルと帽子をしていて、雪除けのフェイスカバーもしていた。

連理も発見時に同様の格好をしていた。

なのにあの子供ははっきりと

「お兄ちゃんとお顔がそっくりな女の子」

といった。

わかるはずがない。

ゴーグルと帽子、フェイスカバーをしている状況で、

僕たちの顔がそっくりであることを知ることはできない。

ではどうして知っていたか。

バスで一緒になった。いや違う。バス子供は居なかった。

ロッジで僕たちの顔を見ていた?

近くに子供はいなかったように思う。

遠くから見ていたのであればどうして僕たちが兄と妹、男女の兄弟であると気づけるか?

分厚いおそろいのスキーウエアを着ているせいか僕たちはこのスキー場ではずっと姉妹に間違えられていたというのに。


あの子供は開口一番に、

「お兄ちゃん」といった。

僕が男であると認識した上でということになる。


答えは僕が気づかなかっただけなののだ。

自分は気づけないものになったと思い込んで、

見ないふりをしていたのだ。

すべての違和感を飲み込んでしまった

あの子もまた連理と、クルミと同様のものだったのだ。

いやむしろここまで来たのであれば気づかなかったことがよかったのかもしれない。


そもそも僕たちを誘い込んだ意図は……

わからない。

連理を自分のもとに呼んで何がしたかったのか。

そのうえで僕を呼んで何がしたかったのか。


僕の持っていた物語を改変する力はもうない。


あそこにいたかもしれない何かに何もしてあげることはできない。

そもそも僕はあの子を知らない。

僕が創作した物語にはいなかった存在だ。

連理に何か…


ふと息を吐く。

考えをやめることは責任を投げ出すことだ。

あの子を自分の妹とした。僕にはそれだけの責任がある。

だからこそ考えなくてはいけない。

逃げてはいけない。

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