38.ただいま時空城に戻りました。
おはようございます!
第38話
ただいま時空城に戻りました。
時空城に、連行、いや戻りました。ハイ!
まずは、ボスの大魔女:ハンネ様のもとにダッシュだ!
警備員が何か言っていたが、時空城に着くなり、大慌てで、ハンネ様の執務室へ行った。
“コン、コン”とドアをノックすると、秘書が、返事をし、取次いでくれた。
「キーナ・コスペル、ただ今戻りました」
「エマリー・アインコーン、ただ今戻りました」
しっかりエマリーも付いてきていた。
しばらくして、秘書から、
「どうぞ、お入り下さい」と返事があった。
そして、恐る恐る、ドアを開けて入ることにした。
いつも、にこやかなハンネ様が、無表情なのは、やはり、無報告でテスラコイルをふっ飛ばしそうになったことか……
ハンネ様は、何も語らない。
こちらからも、話し掛けられない。
これでは、まずい。
秘書達は、敢えて知らぬ存ぜずという感じで、忙しなく働いている。
「キーナ、ここは、日本の土下座よ」
「そうか! それしかないか!」
二人は、意気よいよく、掛け声でも掛けたかのように、ピッタと地面に這いつくばるように、額を付け、
「「申し訳ございませんでした」」と、謝るのでした。
ビックリしたのは、秘書達だ。
自分達の遥か上の上司である上級魔女が、土下座をしているのだ。
固まっている者、お茶をこぼした者、反応は様々だ。
「面を上げぇ」と、ハンネ様が、冗談ぽく言ったが、目が笑ってない。
これ、ヤバいって!?
「まあ、二人のお話を聞きましょうか?」
「「はい」」
私達は覚悟を決めた。
***
一方、イリーゼは?
「所長、ただ今、戻りました」
「おー、イリーゼちゃんやないの? 大変やったのぉ。怪我はないか? 怖かったやろ?」
「はい、すごく怖かったです。先生」
「皆、モニタ、見ていたで! しっかし、キーナさんは、無茶しよるな。テスラコイルの外壁シャッターをぶっ壊しよったで、精密機械やで、アレは!」
「ホンマや、滅茶苦茶やな」
「そうなんですよ。何度も注意したんですよ。わたしッ」
「私、モニタ越しに見ていて、怖かったですよ。イリーゼちゃん、マジで無事で良かったわ」
「皆さん、ありがとうございます♡」
***
さて、エマリーとキーナのいるハンネ様の執務室では!
「二人のどちらが説明しても良いのですよ」
「「はい……」」
私は、出来れば話したくない。
何故なら、“エマリーの無報告を理由に暴れた”と言い訳をしそうなのだ。
なので、エマリーの方を見て、“頼む”と、アイコンタクトしたのだが、顔から汗が吹き出している。
話せるとは思えんな、こりゃ!
あぁ、汗は顔だけでなく、脇からも流れとるわ!
脇汗シミが出来ているわ。
なんか、エロいな! エマリー君!
まあ、私も、時間の問題か?
「じ、自分の、は、箱庭を守る為に、テスラコイルに乗り込みました。はい」
「箱庭から撤退の指示が出ていたはずですね」
ぐうの音も出ない。
そうだ、撤退指示が出ていた。スッカリ、忘れていた。
もうダメだ。今度は、本物の次元牢屋入だ。
「うちの看板である上級魔女二人が、これでは……」
そうなのだ、上級魔女は派閥の看板なのだ。
我々、二人が牢屋入りなどとなると……
あわわ!
そこに、通信コールがなった。
秘書の1人が、対応している。
「ハンネ様、警備隊長様から、ご連絡です」
あの隊長さんか? なんだろうか?
音声オンリーで良かったよ。土下座を見られずにすむからね。
あわわ!
ハンネ様は、警備隊長と何を話しておられるのだろうか?
「まあ、そうですの。大手柄ですか。有難うございます。では、そちらに、二人を行かせますので、後ほど」
と、ハンネ様は通信を終えた。
なんだ? 大手柄とは?
「二人とも、よくやりましたね。警備隊長様から、連絡がありましたよ」と、ハンネ様が、ご機嫌になった。
すると、秘書達から、安堵の声がした。
そうとう緊張していたようだ。
「二人とも、こちらへいらっしゃい」と、隣の応接間に呼ばれた。
三人だけになり……
「エマリー、キーナ。大手柄というのは、私の出任せよ。そうでもしないと」
「分かっております。申し訳ございませんでした」
ハンネ様は、ウンウンと頷いている。
「さて、本題よ。
二人には警備室の警備隊長のところに行って、彼らに協力してあげて。何やら、犯人の目的を吐かせたところ、とんでもない事を言ったらしいの。
実際、犯人と接触した二人の意見も聞きたいらしいわ」
「「わかりました」」
「頭の痛い話よ。テスラコイルの外壁シャッターを壊したどころの問題ではないようよ」
と、ハンネ様は頭を抱えてしまった。
一体、なんだろうか???
読んで頂き、ありがとうございます。
次回もよろしくおねがいしますね!




