おわりに 「そっ閉じ」では物足りないあなたへ、「擬態」のススメ
作品に対しての、4パターンの批判を分析してみましたが、いかがだったでしょうか。
それぞれの対処法をまとめてみます。
1・愛のムチ→ほめてからうまいこと混ぜる、あるいはそっ閉じ
2・怒りⅰ)→そっ閉じ
ⅱ)→そっ閉じ
ⅲ)→出会わないことを祈る
3・悲しみⅰ)→ほめてからうまいこと混ぜる、あるいは離れる
ⅱ)→感謝を書いて待つ、あるいは離れる
ⅰ)亜種→ほめてからうまいこと混ぜる、あるいは離れる
ⅱ)亜種→感謝を書いて待つ
4・嘲笑→内心小バカにしつつそっ閉じ
煩雑に思われた場合は、こう覚えて下さい。
「何か批判したくなった作品は『そっ閉じ』」
ムリして作品に付き合ってやる必要はございません。
別の作品を読みましょう。
何の反応も示さない、一言も使ってやらない批判が、結局は一番効果的です。
それでは、あなたの読書ライフに良著が多からんことを。
――と、終われたら良いのですが。
「そっ閉じ」だけでは、不満がたまる方へ。
批判するってことは、何かしら、胸にたまってるんですよね。
伝えたいことがあるわけです。
「そっ閉じ」は、たしかに穏便にして効率的な手段ですが、それじゃああなたの伝えたい力がどこにも発揮されません。
一番良いのは、作品を書く側に回ることですが、労力がいりますからね。
といって、真正面からの批判は、泥沼です。
そこで。
悪かった作品の批判を頑張るのではなく。
良かった作品の評価を頑張るのは、いかがでしょう。
ポイントを入れる!? ハァ!? 何言ってんだ、結局それかよ、と思った方。
たしかに、絶対的な数字は増えますが、ひとつ、見逃せない効果が発生します。
コレを捨てるのは、あまりにモッタイナイ。
それが何かというと、「ポイントを入れたもの以外を、軒並みマイナス評価にできる」ことです。
はい、相対評価ですね。
ひとつひとつを批判していくのは大変です。どれだけ時間があっても足りません。
しかし、このやり方であれば。
あなたが引き上げてやったもの以外は、残らずマイナスとなります。
1作品について、最高得点はブクマの2点と評価10点の12点ですが、そんなものは関係ないですね。優れた批評の目を持つあなたの中では、12点を「0点」として考えればいいのです。
そして、「この作品は引き上げてやるか」と思ったものに12点をくれてやれば、「他の作品が、全てマイナス12点」になります。――ええ、「これから書かれる作品」まで全て含めて、自動的にマイナス12点です。
あるいは、あなたの目は厳しいですから、なろうの全てを見渡しても、「0点」にすら届かない、駄作だらけかもしれません。
ならば、10点だったり、8点だったり、あるいは2点だったりをくれてやればいいのです。
それぞれ、「マイナス2点」、「マイナス4点」、あるいは「マイナス10点」という評価になりますね。もちろん、他の全作品が「マイナス12点」です。
そうやって、次々と適度に引き上げてやれば。
いつの間にか、以前よりも、あなたの気に入った作品が増えていることでしょう。
なぜそうなるのかといえば、理由は簡単です。
ポイントを渋る読者が多いからです。
1つもブクマをつけてない読者が5割、1つも評価をしていない読者が8割だとか。
あなたがマイナージャンルをお好きであれば、より意識しやすいでしょう。ちょろっと評価をしてやるだけで、ジャンル別の日間ランキングがあなた色に染まりますからね。それはもう、ドラスティックに。
合わない作品を「そっ閉じ」しつつ、有り余る力を相対評価に回す。
これにより、「なろう」そのものを、じわじわとあなたの色に変えていくことができます。
自分1人で、どこまで変わるかって?
少し、計算してみましょうか。
ブクマと評価で、合わせて最大12ポイントですね。
1作品だと、これが最高点ですが、作品は無数にあります。
気に入った10作品に行えば120ポイント。
100作品に行えば1200ポイント。
1000作品なら、12000ポイント。
もっと多くなれば、これ以上のポイントを、1人で動かせるわけですね。
誰に遠慮することもなく!
堂々と、大手を振って行えます。
仮想戦記ものが好き? 評価しましょう。
テンプレ以外の正統派ファンタジーが好き? 評価しましょう。
本格推理が好き? 評価しましょう。
ちょっと人にバレると恥ずかしいけど、でも増えてほしいものがある? んー、ブクマは非表示にできますから(苦笑)。評価もしましょう。
エッセイ? うん。う~~~~ん。誘導になるんで言えません(苦笑)。
――とまあ。
あれやこれや批判する労力を考えたら、はるかにたやすく行えます。しかも、人から良く思われるというメリットつきで。
実は。
批判する方って、本当にすごいと思うんですよ。――ええ、皮肉じゃなくて、本気で。
だって、赤の他人相手に、労力を割いてるんですから。
義務でもなく、お金をもらってるわけでもなく。
そのうえ、嫌われるリスクまで負って。
だから。
なんとか、擬態する術を伝えたかったんです。
キビしい評価をしたうえで、しかも好かれるという手法を。
繰り返しになりますが、「そっ閉じ」が最強です。
ですが、何かアプローチをしたいと思ったら。
あなたが好きな作品を引き上げてやってください。
自分の中に、確固たる基準が存在するあなたなら、低いポイントの作品だろうと、面白いと思った作品には厳正な評価が下せるハズです。
もし、力作のレビューなどを書いてやったなら、一気に火がつく可能性もあるでしょう。
もちろん、腕によりをかけた感想を書いてみてもいいですね。批判ができるということは、あなたは優れた眼をお持ちのはずですから。素敵な感想で、やる気を盛り立ててやってください。
あなたの発掘により、無名の作品が日の目を見るかもしれません。
そして。
かつてあなたが、批判しようと思った作品――はい、「そっ閉じ」してやった作品ですね、それを尻目に、あなたの推した作品がランキングを駆け上がっていけば。
実に痛快ではないでしょうか。
この場合、他人から見ると、あなたは色々な作品に評価を下している優れた批評家になります。
実は、「その他全てをクソミソ扱い」にしているのですが、決して表には出ません。
また、仮にそんな因縁をつけてくるヤツがいたなら、「え、そんな考え方もあるんですね。ビックリしました」と、しれっと答えてやりましょう。
以上、「評価のススメ」ならぬ、「擬態のススメ」でした。
なろうを、自分流にカスタマイズして下さいませ。それでは。