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こぼれた魔法  作者: 亜架 耀太
第四章 何かを
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♢32♢


 次の日の朝は、期待外れの曇り空だった。

 木々の間から遙かに見える山の向こうからは雷の轟きが聞こえ、今にも雨が降り出しそうだ。


「……おはよう」


 不満そうなロンレイが起きてきて、用意されていたソーセージを口のくわえて出窓に飛び乗る。


「最悪な天気だな」


 ホットミルクを手に持った星喇もロンレイのいる窓に近づき、外を眺める。ガラス窓が、不気味な風でがたがたと揺れた。


「雨の日は結界が弱まるから有利っていえば有利なんですけど……、見つけづらくはなりますからね」


 台所に立ってスープを温めていた萊兎が日を消し、皿によそいながら心配そうに言った。


「じゃあ、収集源の近くまで来ても目の前を素通りしちゃったりする……?」

「というか、多分素通りしちゃいますよね」

「……厳しいね」


 苦虫をかみつぶしたような気分になり、ホットミルクをw喉に流し込む。


「ていうか、お兄ちゃんは?」


 起きてきた時から姿が見えない兄のことを思い出汁、最後に起きてきたロンレイの方を向く。


「起きるとき一応声はかけたんだぞ。返事はなかったからまだ寝てるんだと思う。今日は大変だから寝かせといてやろうと思ったのさ」

「おかしいな。お兄ちゃんいっつも早起きなのに」

「中は見てみなかったんですか?」

「お兄ちゃん基本部屋に鍵かけてるもんね。小さい頃は部屋の扉全開だったのに」


 萊兎が盛ってきた卵スープを受け取りながら、ロンレイの答えを聞く前に口を挟んだ。


「紋太さんはそっちの方がなんか想像できますよね」


 苦笑いしながら言う萊兎に、皆も苦笑いで同意する。


「いつからなんだ? 紋太が鍵かけるようになったの」

「う~ん……。これ言って良いのかな」

「?」


 少し迷う暖香。


 ロンレイと星喇は、自分のことを話してくれた。萊兎も言いたくなかっただろうに、自分のことをしっかり話した。

 だからきっと、紋太もずっと秘密にしているわけにはいかないだろう。

 だけどそれを紋太の口からでなく、暖香が言うのは間違っているような気もした。


 

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