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次の日の朝は、期待外れの曇り空だった。
木々の間から遙かに見える山の向こうからは雷の轟きが聞こえ、今にも雨が降り出しそうだ。
「……おはよう」
不満そうなロンレイが起きてきて、用意されていたソーセージを口のくわえて出窓に飛び乗る。
「最悪な天気だな」
ホットミルクを手に持った星喇もロンレイのいる窓に近づき、外を眺める。ガラス窓が、不気味な風でがたがたと揺れた。
「雨の日は結界が弱まるから有利っていえば有利なんですけど……、見つけづらくはなりますからね」
台所に立ってスープを温めていた萊兎が日を消し、皿によそいながら心配そうに言った。
「じゃあ、収集源の近くまで来ても目の前を素通りしちゃったりする……?」
「というか、多分素通りしちゃいますよね」
「……厳しいね」
苦虫をかみつぶしたような気分になり、ホットミルクをw喉に流し込む。
「ていうか、お兄ちゃんは?」
起きてきた時から姿が見えない兄のことを思い出汁、最後に起きてきたロンレイの方を向く。
「起きるとき一応声はかけたんだぞ。返事はなかったからまだ寝てるんだと思う。今日は大変だから寝かせといてやろうと思ったのさ」
「おかしいな。お兄ちゃんいっつも早起きなのに」
「中は見てみなかったんですか?」
「お兄ちゃん基本部屋に鍵かけてるもんね。小さい頃は部屋の扉全開だったのに」
萊兎が盛ってきた卵スープを受け取りながら、ロンレイの答えを聞く前に口を挟んだ。
「紋太さんはそっちの方がなんか想像できますよね」
苦笑いしながら言う萊兎に、皆も苦笑いで同意する。
「いつからなんだ? 紋太が鍵かけるようになったの」
「う~ん……。これ言って良いのかな」
「?」
少し迷う暖香。
ロンレイと星喇は、自分のことを話してくれた。萊兎も言いたくなかっただろうに、自分のことをしっかり話した。
だからきっと、紋太もずっと秘密にしているわけにはいかないだろう。
だけどそれを紋太の口からでなく、暖香が言うのは間違っているような気もした。




