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異常な災難(まあ災難に異常もクソも無いけど)

前回の続きです。


 庭は彼が思っている以上に、じめじめとしていた。奥へ行くほど徐々に植物などで空は覆いかぶされて行き葉と葉の間からはかすかながらの光が入り込んでくるのが分かる。

 このゲームのシステム上、有害動物、モンスターなどは町に入らないように結界が張っている。しかし、ラルフは不思議な事にここの場合通常のジャングルエリアと大層似ていたためか、どこからかモンスター出てくんじゃないかという恐怖感に襲われていた。同時に一歩踏み込むたびに、まるで濡れた靴下を履いて泥沼の上で歩くような気持ち悪い独特な感覚が生じ寒気が発生する。

「おいおいおい、ここのノーセンスお嬢様ってこういうシュミだったのか!? ドレス選びのセンス無いくせしてこういうものに対しては再現度高過ぎね!?」

 喚くラルフ。彼の背中には、不機嫌こじらせた金髪残念少女――レクティア――が背負われていた。

「仕方ないじゃない、この一家はただ国事に携わっているだけじゃなくて自然に関しても積極的に活動しているらしいんだから」

「とは言っても少しは『きれいにする』という意思は無いのかよ……あの木とか見てみろよ、もう全体的にコケで埋め尽くされてるじゃん……」

「まあ、この館の主人によると4年に一度は掃除するらしいわよ」

「4年、って……オリンピックみたいにすんなよ。まるで庭掃除が、国挙げての一世一代スポーツイベントみたいに聞こえるじゃん」

「ラルフ、オリンピックって何(、、、、、、、、、)?」

「ハァ!? お前一応核石人種(プレイヤー)だろ!? あまりにもメンタルヤラれすぎて今度はまさかの記憶能力までもイったのか?」

「うん、まあ……」

 ラルフは言うだけ言うとなんとなくであったが、ジャングル(庭)の奥へ目をやった。奥はさらに樹木が密集しておりほとんど真っ暗で見えなかった。

 何もなかった事を確信し元の向きに直す……その時だった――

「!?」

 ゾクッ、と何者かの視線が寒気と共に彼を襲う。

「……なあ、レクティア……一つお前に聞いて良いか?」

「ん?」

「おまえが過去ここに来たとき、この庭に何か不法侵入する奴とかっていた?」

 レクティアはラルフの質問に対して一度両目を右上に上げると首をかしげるような様子で、

「聞いたことがないわよ」

「そうか、気のせいか……」

 ラルフは安心したのだろうか、大きく息を吐く……のだが、

「ラルフ、あれ何?」

 レクティアはラルフから見て東の方角に指を指した。

「あれって……ん?」

 ラルフも彼女の言葉に反応してその指した方角に目をやる。

 すると――、

 突如赤い光が発生した。

 奥の方――光の入らない真っ暗なジャングル――から赤い二つの光が発生しまるで二人を見つめるように鋭い光をギラつかせていた。

「ラルフ……あなたの言っていた事って、まさかと思うけど――」

「ああ、たぶんそのまさかかも知れないな……」

 鋭くギラつかせた赤い光は、徐々に彼らに近付いてくる。同時に光に触れたのか徐々にその鋭い光の正体が露わになっていく。まず最初に顔が見えた。次に体が見えるのだが、所々に傷があった。細菌が入ってしまったのか知らないが、その傷はとにかく酷く悪化していた。

 その瞬間ラルフは、はっきりと確信した。そして呟く。

「これは……ちょっとヤバいぞ……」

「え?」

(このゲームのシステム上、町に有害動物、モンスターは立ち入りできない。だがそれはあくまで立ち入らせない(、、、、、、、)事であって、この場合この町の中で誕生しちゃった場合は……)

 二人の前に現れた二つの光の正体は――、デッドリードッグ、所謂ゾンビ犬の目から放たれたものだった。

(話が変わる――ッ)

「しっかり掴まってろよ!!」

 レクティアにその一言を掛けると次の瞬間ラルフはその場から爆せるように地を蹴り出し――

「ヴヴヴォォォォォ――!!」

 デットリードッグも彼らを標的にしたのか大きく雄たけびを挙げ同時に足で地を蹴り上げ二人を追いかけ始めた。

「くっそおおおぉぉぉぉぉ!! なんで自然を大切にしているくせに動物愛護についてはこんなに意識薄いんだよ!! いつか動物愛護団体に訴えられてしまえ!!」

「ひゃっ!? ちょっとラルフ!! 無駄なクレーム言ってないであの犬どうにかしなさいよ!!」

「お前もグチグチ言ってないでどうにかしろよ!? お前もさっきまでは俺の背中に乗っかって道案内しているだけの簡単なお仕事だったんだから、一つ、二つ仕事が増えたとしても何も問題ないだろ!!」

「じゃあ何しろっていうのよ!!」

「お前はもはや魔法の存在すらも頭にないのか!? 火炎(フレア)以外の魔法だったら何でもいい、あの犬に向かってぶちかませ!!」

大風(ストーム)でもいい?」

「お前、俺の話聞いてたか!? だから火炎(フレア)以外なら何でもOKって言っただろ!? いいから早く撃てよ!? さもないと俺らが犬にとっての最高のドッグフードにされちまう!!」

「確認として聞いただけじゃん!? 分かったわよ。撃てばいいんでしょ!? 撃てば!?」

 レクティアは片腕をルイスの肩にフックのようにしてかけバランスを整えながらもう片手を後方にいるデットリードッグ達へ向ける。

 そして紡ぐ――、

 移動による揺れの影響で手先がブレながらも必死に彼女は魔法公式(プログラムルーン)を空書きする。

《「風の御霊よ――風の塊、形成し『放て』!!」Ⅲ=Ⅰ/LvⅡ/a.0.Ⅲblow》

 完成すると、空書きした公式(プログラム)は光に包まれ『起動言語』を添えると同時に彼女の手のひらを中心にマナが一点集中、直後一つの魔法陣が発生する。同時にその中心から風エネルギーを圧縮した一つの『塊』が発生する。

 直後レクティアは完成した魔法――【ウィンド・ランブル】は彼女の口から言い放たれた魔法(ルーン)の言葉と共にデットリードッグの体目掛けてその『塊』を放った。

 彼女の掌から放たれた『塊』は一直線に突き進み見事デットリードッグに着弾する。

 ゴゴーッ!! という暴音が発せられると同時にデットリードッグは遥か後方に大きく吹き飛ばされた。

「ナイスショット!! ざまあみなさい!!」

 レクティアはデットリードッグが吹き飛ばされた事を目で確認すると片手で盛大なガッツポーズを決める。

「ラルフ、あの犬ぶっ飛ばしたわよ!! もう大丈夫よ」

 レクティアはラルフに向かって安心させるように言う。しかし彼は、未だにスピードを落とす事無く全力疾走していた。

「ラルフ!! もう大丈夫って言ってるじゃない!? もう走んなくていいのよ!!」

「この馬鹿!! 犬が1匹なんて誰が言った!? 相手も一応脳ミソあるんだからバカじゃねぇ!! そう簡単に俺らという最高のドッグフードを諦めるわけないだろう!?」

「え!?」

 ラルフにそう言われるとレクティアは再度後方に目をやる。すると――

「ちょっ、これ、……え!? さ、さっきよりも増えてるじゃない!?」

「言わんこっちゃねぇ、だから言っただろ!? 一匹いたら100匹いると思っとけ、敵にも『愉快な仲間たち』位はいるんだ

よ!! 文句言ってないで早く撃て!! さっきみたいにいいいぃぃぃぃ!!」

 デットリードッグはさらに数を増やし息を荒がせたまま彼らに向かってくる。

「ああああ――っもう!!」

 レクティアはヤケクソになったのか、『下手な鉄砲数撃ちゃ当たる』的な感覚で【ウィンド・ランブル】をひたすら発動させる。

《「ウィンド・ランブル、ウィンド・ランブル、ウィンド・ランブル――――ッ!!」》

 先程、詠唱にて彼女は《風の御霊よ――》と言い放ったが一度唱えた魔法は1分間の間なら同じ魔法を唱えた場合、魔法名を言うだけで、消費するMPは同じという条件の下、簡単に詠唱することができる。

 が……。

 狙ったデットリードッグはヒョイ、と向かって来る『塊』を縄跳びするような感覚で飛んでかわされた。

「馬鹿者おおおおおぉぉぉぉぉぉ!! とんだクソエイムだな!! 何ちゃっかり全弾外してんだよ!! 少し落ち着けよ!? 今のお前の精神状態じゃあ、まともにあの犬どもへ【ウィンド・ランブル】という最高のプレゼントを届ける事なんて出来ないぞ!!」

「逆にこの状況で落ち着けなんて言われても出来るわけ無いじゃない!? それってうるさいライブ会場で、静かに無心になって座禅組めと言ってるようなものよ!? 私に向かってとんだ無理難題押し付けてんじゃ無いわよ!!」

「俺にはお前持ってひたすら逃げるという重大な任務を課せられているんだ!! そもそも俺は初期のスキル割り振りをどっかの誰かさんのおかげで全くやっていないんだよ!! だからお前の魔法スキルが全てかかってるんだよ!!」

「でもおんぶじゃ唱えずらいわよ!! 抱っことかもっとこっちにとってやりやすくしてよ!!」

「お前はガキか!? しかも会って数分の人間に抱っことか何言ってんだ!?」

「あなたは犬の餌になりたいの!? こっちも腕の力がもう限界なのよ!!」

「くっそおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!」

 ラルフは彼女の返答に対して自棄になったのか、背中に乗せているレクティアをひょいと肩へと担ぐように、彼女の顔をラルフの方から背後へ向けて持ち替えた。

「これでどうだ!!」

「きゃっ! た、確かに狙いやすくはなったけれど、ちょっと雑よ! 女の子には紳士にって親から教えられなかったの!?」

「一体お前は俺を何処の英国紳士と思ってるんだよ!? 俺はこれでも男女平等主義だっつーの!! じゃなかったらあの時、お前は頭にたんこぶ出来ずに済んでたぞ!」

 レクティアは、サラサラとした綺麗な髪をたなびかせながら右手と左手フルで詠唱を始める。

 今度こそ正確に狙いを定めていく。

《「風の御霊よ――」Ⅲ=Ⅰ/Ⅶ/――》

 心の底から指先にマナを集中させ念じる。

 そして――

《「――『放――』」――a.0.Ⅲblow》

 ――詠唱していた魔法を完成する。

 ……その時だった

 突如異変が起こった。

 二人にとって最も起きて欲しくなかった事が……


 ザザッ! と、レクティアの耳に足と土が摩れる音が聞こえた。

 やがて、その音は徐々に細かくなる。同時にスピードも落ちてゆき……停止する。


「はッ!? ちょっ、馬鹿じゃないの!? 私まだ魔法撃ってないのよ! この状況でまさかの我を忘れて匙投げちゃったわけ!?」

 停止して最初に文句を吐いたのはレクティアだった。

 唱えるはずだった【ウィンド・ランブル】をキャンセルしラルフに向かって吠えるレクティア。だがそれに対してラルフは彼女の放った言葉に動じる事は無かった。故に彼の耳に何一つ傾ける事も無かった。

 しかしそれでも彼は震えていた。

 ラルフは額に濃い汗を流しながら震えた声で、

「……やべぇ……っ」

「え? 何!?」

「完全に……詰んだわ、これ」

「はっ!?」

 レクティアはラルフの見ている方向に体を捻りながら向ける。そこには、――

「ちょ、何言ってるのよ!? まだ走れるでしょ……なああぁぁぁ――――――――ッ!?」

 直後、彼女が悲鳴を上げた。しかしその声は徐々に悲鳴を超えて見事に干上がってゆく。

 とんでもない光景だった。

 彼の口から発せられた詰みの原因、それは今二人の目線の先にいる5体ほどのデットリードッグだった。

「また、ふぇ、増えてるううぅぅぅぅ!?」

(畜生ッ! 昔なら良しにしても今になって考えてみればステータスの差なんてあっちが圧倒的に上だぞ!? それ故レクティアもさっきの連続詠唱(スペルラッシュ)でMPをほとんど消費しているし、どうすれば……)

 ラルフは強く歯を噛み締めながらデットリードッグ達を睨めつけこの状況の突破口を考えていた。

 このゲームの核石人類(プレイヤー)にはもちろんながらMPという存在がある。それは、ご存じ通り魔法を詠唱するときに必ず消費する物であり、詠唱には必要不可欠のものである。それにおいて魔法にも一応『Lv』が存在する。それは、それぞれの魔法の威力を設定するものでありLv1~Lv10までが存在する。唱える魔法のLvが高ければ高いほど威力は徐々に上がってゆくがその分の代償として消費するMPも上がってゆく。

(まあ、彼女のこのステータスでLv2の同じ魔法を連続詠唱(スペルラッシュ)するのもどうかと思うのだが……)

 彼が考えている間にも1秒1秒と時間が過ぎてゆく、そうしている間にも10体程のデットリードッグが2人の周りを360度囲っていた。

 まさに今、この状況は四面楚歌という故事成語が最も相応しかった。

「グルルルゥゥゥ!!」

 デットリードッグ達は二人に向けて呻くようにして吠える。同時に、二人の囲う面積をじりじりと縮めてゆき、近付く度によだれを垂らしながら喰う事しか考えていない生々しく真っ赤に汚染された口を開いてゆく。

「ひっ、ひいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!? やめて!! 私は美味しくありませんよ!? この世には私よりもっとおいしい物なんて幾らでも在りますよ!! 例えば私を担いでいるこの人で――――」

「「グヴヴヴォォォォォォ!!」」

「ひいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!! ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさい! ――――」

 レクティアは、担がれながらもデットリードッグへ向けて力強く手を合わせ涙目のままひたすらペコペコと頭を上下に振ってゆく。

 正直、ラルフ自身も彼女の様子を見てそもそも謝っているのかも分からなくなっているのだが……

「おい、バカ!? 今コイツ仲間売り飛ばしやがったぞ!?」」

「違うわよ!! 売り飛ばしてはいないわよ!! これは救命目的とした致し方ない犠牲よ!!」

「だからって、俺を犬どもにメニュー提供するのか!? とんだ自己中だな!!」

 二人は、デットリードッグしかいない360度をひたすら見渡す。

 いつ襲われてもおかしくないこの状況、

 二人が10体程のデットリードッグの内1体に目を合わせた瞬間、

 目を合わせた一体のデットリードッグが突如大きく上空に飛び上がった。

 それが奴らデットリードッグ達にとっての合図だったのかもしれない、直後他の9体がそれに釣られるようにしてまた大きく飛び上がった。

「「「「グヴヴヴヴヴゥゥゥゥゥゥゥォォォォォオオオ――――ッ!!!!!!」」」」

 口以外の空気抵抗をなるべく小さくしたその体制はまるで一種のミサイルのようだった。

 犬の生態構造を無視した真っ赤に裂けた口が一つ一つ彼らに向けて襲いかかる。

「「いやああああああああああああああぁぁぁああぁぁあぁぁぁぁぁあああああああああ――――ッ!?!?!?!?!?!?」」

 2メートル――、

 1メートル――、

 そして――――、

 デットリードッグと二人の距離との差が50センチを切った時、覚悟を決めたのかラルフはイチかバチかの思いでレクティアを降ろし腰に掛けてある一本の木刀を引っこ抜きすくい上げるようにして剣を振る。

 しかし――、

「な、何ぃ!?」

 外れた。動物の生態的直感という物だろうか、当たる直前に向かってきた剣をまるで風圧によって舞う埃のようにヒュルリとかわされる。

 この瞬間ラルフは確信した。『終わり』という自分にとって信じ難い事実を自身の胸に言い聞かせながらゆっくりと目を瞑った。

だが……その時であった。


 ヒュン――ッ


 一瞬であったが遥遠くから風を切る音が聞こえた。

 直後――一閃、一閃、また一閃、青白い光に包まれた数本の細い何かが、我々に襲い掛かってきたはずのデットリードッグ達一体一体をこめかみへ向かい丁寧に貫いてゆく。

 貫かれたデットリードッグたちは地に体を付けた瞬間、真っ赤な口を開けたままぐったりと命の灯が消えた。

「……なっ――」

 腰を抜かしたラルフは一瞬何があったのか分からなかった。数秒後ぼーっとしていた意識を我に返すとさっきのあの青白い光が向かってきた方向に目を指した。

 するとそこには、

「いたいた……、やっぱ迷ってた……」

 力が入っていない妙な日本語が聞こえると共に、奥の方から一人の少女の包まれていた影が晴れて行き、姿を現す。

 艶の入った綺麗な長い銀髪と、紫の透き通ったしょんぼりとした目が特徴的だった。左手には、一本の弓が握られており身につけている服は黒寄りの灰色で初期の『布の服』に多少の装飾が施されていた。

 少女の言葉に気が付いたのかレクティアは、少女に顔を向けるとまるで待っていたかのように涙目で叫ぶ。

「ナイスタイミング、セピア!! 良かったああああっ!! 助かったああああっ!!」

「た、助けてくれた……?」

 セピアは二人の方へと近付いて行き腰を抜かしたラルフに手を差し出し立ち上がらせるとまたあの弱弱しい日本語で話しかけてきた。

「……遅い、あまりにも遅いから外出てブラブラしてた……そしたらBダッシュで全力疾走してるあなたたちを見かけた……けっこう分かりやすかった」

「ははっ、良い目印で結構。……どうも助けてくれて、おれの名前はラルフ、なんとか命拾いしたよありがとう」

「ラルフ、よろしく。私セピア……別にお礼はしなくていい……わたしは人としてやるべき事とやっただけ……お礼言われたりすると、ちょっと照れる……」

 ラルフの言葉に対してセピアは頬を赤くし照れ隠しなのか片手で真っ赤な顔を隠し下へ向けた。

 すると、二人の間にいたレクティアが二人の会話に対して割り込んできた。

「あの、たのしいトークタイムの所悪いんだけど、二人ともそろそろここから一旦離れない? 私のMPも正直やばいし」

 数分前、あのデットリードッグたちに向けてLv2の魔法を連続詠唱(スペルラッシュ)していた。そのため彼女の残りMPは2ケタ切っていた。

「レク、MP使い過ぎ……それじゃ、消費アイテムのMPポット……(いく)らあっても足りない……」

「うるさい! うるさい! 仕方ないでしょ!? まさか状況知らないで助けてたの!?」

「……うん、全くわからない」

「うそでしょ――――――!?」

 あまりに単純なセピアの回答に対して咆哮するレクティア、すると二人の会話を聞いていたラルフが二人の会話を切り落とすかのように話に割込んできた。

「あのー!! そろそろ、悪いが案内してくれない?」

「……まあ、確かにそうよね」

「……わかった、こっち」

 突然の大声によりビクッとセピアはラルフの方に顔を向けこくりと頷くと、ラルフの走ってきた方の反対側に歩き始め、二人もそれに付いて行くのであった。



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