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人の持つ牙  作者: 赤胴貫介
都市ロメオ編
56/105

現れた騎士団

 ジャックとラスク、マーシュとサラの計4人が、ホンバットと合流しつつあることを、リレイラス・ハンデンは魔力探知によって確認していた。

 グレンジャーはまだ都市内に戻っていないようだが、いずれ4人分の救援がホンバットに訪れるだろう。


 『間に合えばいいのだが』


 ホンバットの身を懸念するハンデンは、都市の南東部に位置するレン教会の鐘楼に上がっている。この教会の辺りは都市でも上流の人々が住む地域だが、ハンデンの眼下に広がる光景は見る影もなく荒らされていた。

 至る所に瓦礫とガラスが飛び散り、血が雨に流されて石畳に広がっていく。死体も多い。教会近くの死体は警備隊や冒険者が回収したが、遠目に見ればちらほらと骸が転がっている。


『せめて安らかに……いや………俺は馬鹿か。あの人狼が生きていれば、安らげるはずがない……』


 避難所として使われている教会には、今も沢山の人々が居る。ハンデンの階下からは、雨の音に紛れて生き残った住民のすすり泣きが聞こえてくる。逃げてくる間にも、家族や近しい人を亡くした者がほとんどだった。


 ジャックとラスクを見送った後に、ハンデンとクレアも宿屋を後にした。クレアに警護されながらハンデンはこの教会に到着したが、教会内もギルドや他の避難所と同じく散々な有り様だった。

 また、教会の敷地内にも血のついた武具が所々に散乱し、魔物と人間の激しい戦いがあったことが伺えた。押し寄せる魔物たちから、冒険者や警備隊は命を賭して教会と人々を守ろうとしたに違いない。


 今の時点で魔物は教会近くにいない。ハンデンとクレアが到着する直前に、4匹のはぐれウルフが敷地内に侵入してきたらしい。避難してきた人の話を聞けば、その襲撃の際にビルガー・バインという青年が指揮を執って、見事に犠牲者を出さず狼どもを撃退したそうだ。

 エイドス・セイルズの手下の魔物は数が多すぎたのだ。ビルガーの他にもホンバット、ダリア、サラ、そしてソル・グレンジャーを要するロメオ側の人間が、ここまで追い詰められたのは、無理もないことだろう。


「ハンデンさん、ここにいましたか」


 声がした方をハンデンが振り返ると、跳ね上げ戸を開けてクレアが顔を出していた。クレアは腕を出して鐘楼の床に手をつき、ぐいっと力を入れて体を上げた。そのまま立ち上がると、鐘楼の中心にぶら下がる鐘に頭をぶつけるので、クレアは注意して体を曲げて立ち上がった。


「よいしょっと。ふう、狭いけど結構しっかりした鐘楼なんですね。……えっとその、魔力を探知していたんですか?」


 ハンデンの緩みのない表情でクレアは察した。

 この初老の元騎士もまた、前線に出ずとも都市ロメオの人々ために立ち上がった人間である。今も休まず出来ることをしてくれているのだろう。


「ホンバットさんやジャックは無事ですか?」


「まあな。ギルドから真っ直ぐマーシュ君ともう1人が移動している……ジャック君とラスク君は、東側から回り込んで北へ向かっているよ………後少しで4人全員がホンバットと合流するだろうな」


「エイドス・セイルズの様子は……?」


「憎たらしいがまだまだ元気だ。一度……一度は、ホンバットの魔力が天まで達する程の爆発力を見せたのだが……それも不発に終わったようだ。目に見えてホンバットの勢いは弱まった」


「そんな……」


 落胆するクレアの気持ちも無理はない。ギルド長グレンジャーの姿が無い中で、ホンバットがエイドスに敗れ去るならば、ロメオの命運は一気に傾いてしまう。戦える人員がいるいないという問題ではなく、エイドス・セイルズを『止められない』という話になってくる。


「どこにいるんだ、グレンジャー……」


 ハンデンが歯噛みして呟いたその時、隣にいたクレアが東の空を指差して声を上げた。クレアに肩を叩かれて気づいたハンデンは、驚きの余り絶句した。


 東の空の果てより、いくつもの黒い影が曇天を突っ切って、この都市へ真っ直ぐ迫ってきていた。集っているそれらは全て翼をはためかせ、まるで悪魔の軍団が飛来してきたかのようにも思える。

 クレアは背中の荷物から遠眼鏡を取り出して、空を飛んでこちらへ来る何かを詳しく見ようとした。だが、その前にハンデンが口にした。


「そんなバカな……なぜ、なぜここに………帝国の竜騎士団が来ているんだ…?!」


 帝国。その単語を聞いたクレアはおうむ返しにハンデンに問いかけた。


「帝国って……ハンデンさん、あれはディーセント帝国の?!」


 夢にも思ってなかった事態にクレアは声が半分裏返った。頷いたハンデンは固唾を飲んで、こちらへやって来る竜を従えた騎士団を観察していた。

 竜騎士団は真っ直ぐ都市に向かってきたが、竜の背に跨った騎士が目視できるかどうかというところで、突如先頭の竜騎士が旋回して都市の南方へ回り込んだ。


 『なんだ?この都市を攻撃するわけではないのか?』


 ハンデンとクレアは揃って視線を南に移す。先頭の竜騎士に続いて、全ての竜騎士は都市の中に入らず、南の空を通って西へ向かっていく。そして、都市から1キロほど西のところで、移動を止めて空中で滞留した。


「もしや……グレンジャーはあそこにいるのではないか?」


 竜騎士の集団のうち、先頭を切っていた竜騎士がゆっくりと高度を下げていった。都市ロメオに攻撃をしかけて陥落させるつもりならば、わざわざあんな所に止まる必要はないだろうと、ハンデンは考えた。

 もしも今の予想が当たっていたならば、グレンジャーの魔力が探知出来ない説明がつく。現時点でハンデンが設定した探知範囲は、この都市ロメオ内なのだからだ。


 またクレアは、この竜騎士団の登場が一体どういうことなのか思案を巡らせていた。

 エイドス・セイルズの正体が、帝国出身の商人かつ研究者であることをクレアは知っている。素直に考えれば、事前にエイドスが本国へ救援を要請していたのでは……と取れるが、クレアはあの人狼が誰かを頼って物事を成し遂げるとは思えなかった。あの傲慢卑劣な人狼は、部下や利用できる者は使い潰すが、対等な誰かと盟約を結ぶような男ではないはずだ。


「ひとまず、エイドスの救援ではない……ように思えます。援軍なら、交戦しているエイドスのもとへ直接行くはずですから。………となればハンデンさん、ギルド長はずっと都市の外に?」


「そうさな……理由は知らんが、そうとしか思えなくなってきたよ」


 竜騎士団が次々に着地していく。街壁のせいで西の平原の様子は見えないが、そこには帝国の竜騎士団が降り立つに値する何かがあるに違いない。









 都市から1キロほど西の地点で、聖獣ウッドウルフの集団を迎え討っていたグレンジャーは、ディーセント竜騎士団が都市の南から回り込んできたところで、その接近に気づいた。


 すでにグレンジャーは、10頭を越える原種のウッドウルフを屠り去っていた。辺りには無造作に焦げた死体がいくつも転がり、中にはほぼ炭化しているものもあった。

 そもそも原種の聖獣は『はぐれ』に成り下がった個体とは違い、生命力も、知能も、身体能力も全てにおいて高い水準を持つ。凶暴な魔物とは違うため、ギルドが制定した危険度ランクは付けられていないが、純粋な強さだけでも危険度はC〜Bランクであろう。

 そんな聖獣を纏めて相手にし、こうして傷一つ負わず焼き尽くせるのも、ソル・グレンジャーという魔術師の実力が伺える。


「おや、珍しい顔ぶれだな」


 自身の炎魔術によって荒れ地となった場所に立つグレンジャーは、自分の真上で滞空している竜の集団を見上げて薄く笑った。


『翼竜だけ、か。機動力特化の1番隊のみで来たとなると、本気で戦争を仕掛けるつもりではないらしいな』


 先頭を飛んでいた竜騎士が段々と高度を下げてくる。残りの竜騎士は空に悠々と滞空しているので、まだ戦闘できる状態にしているとグレンジャーは理解した。

 やがて1人の黒衣の竜騎士がグレンジャーから10メートル離れた場所に着地すると、他の竜騎士たちも続いて降下してきた。

 揃って騎士たちは立派な槍を手にし、竜の脇腹には弓または剣などを収納するホルダーが装着されている。首には太くしなやかな手綱がつけられているが、竜が生来持つ鋭く長い牙は、その獰猛さを匂わせていた。


「お久しぶりです、ミスター・グレンジャー」


 初めに地に立った竜騎士が竜の背中から降りて、黒い兜を脱いでグレンジャーに話しかけた。ほかの竜騎士と比べて鎧や外套は黒く、手にしているのも竜の爪を象った装飾が施された『斧槍』だ。グレンジャーを呼びかけた声に緊張や恐怖はない。


「久しぶりだな、アーリマン」


 グレンジャーも挨拶を返し、竜騎士の筆頭らしき黒衣の男は嬉しそうに口角を上げた。

 男は明るい金髪を後ろに束ね、顔の彫りは深く、何人も女性を泣かせていそうなほどの美男だが、黒甲冑を着込んだ姿と仕草には全く隙がない。しかしそれに対して、口ぶりは丁寧で柔らかかった。


「これはこれは、私の名を覚えてもらっていたとはとても光栄です。一度顔を合わせてから随分経ちましたが、お元気であらせられるようで……」


 流れるように謝辞を述べる騎士アーリマンに、グレンジャーはフンと鼻を鳴らした。アーリマンの周囲やグレンジャーの少し後ろに着地した騎士たちは、自分たちの隊長の低姿勢ぶりとグレンジャーの不遜な態度に、不満げで複雑な表情をしている。


 アーリマン以外の竜騎士は、このファルス王国への遠征の目的が『エイドス・セイルズ』という帝国の研究者を始末すること、と事前に知らされている。

 竜騎士団はそもそも帝国でも、有事の際でしか動かない組織だ。そのため竜騎士である彼らは、与えられた任務を遅滞なくこなすことに強い誇りを持っている。

 だからこそ、アーリマンが1人の魔術師に世間話しを始め、その魔術師もアーリマンの言葉を適当に聞き流しているこの状況に、苛立ちや戸惑いを抱いている。


「なあ、アーリマン」


 雨の中、笑顔を絶やさず和やかに話し続けているアーリマンに、グレンジャーが低い声で言葉を遮った。

 明らかにグレンジャーの雰囲気が変わったことで、取り囲んでいる竜騎士たちも僅かに身構える。ただ1人、アーリマンだけは笑顔のまま首を傾げて「なんでしょうか?」と訊いてきた。


「君は俺とお喋りするためにここにきたのか?」


 冷徹な声色で問うグレンジャーに、竜騎士たちは警戒を強める。長柄な銀槍を静かに構え、竜の首に装備された手綱を握り直す。

 アーリマンは手を挙げて部下たちを制し、首を小さく振ってから答える。


「いえ、ちゃんと仕事があってこの都市にお邪魔しにきたので……ここに来たのは、あなたに一度挨拶に向かうためです」


「挨拶、ねぇ……ならば俺とはもう用がないな。俺も暇じゃないんだ」


 グレンジャーはアーリマンにそう告げると、都市ロメオの方に歩き出す。しかし、周囲にいた竜騎士が互いの翼竜の体を寄せて、グレンジャーの進行方向を塞いだ。

 半ば予想通りの対応にグレンジャーはため息を吐く。どうやらこの食えない性格の金髪の騎士は、武力を行使せずに、穏便なままでグレンジャーを足止めするつもりらしい。


「アーリマン、これはなんの真似だ……?」


「はは……実はですね、そこの都市ロメオに帝国出身の犯罪者が逃げ延びていたそうで、私たちはその犯罪者を捕えるべく出動したのです。人狼種のその男は相当暴れん坊らしいので、私たちも気を引き締めてここに来ました」


「ふうん、それで?……それはそちらの事情だろう。俺には知ったことじゃないな。都市ロメオのギルド長として、都市の安全を脅かす奴がいれば即刻焼き払うのみだ」


 素っ気ない態度のままで過激な言葉を使うグレンジャーは、周りを取り囲む竜騎士------いや、竜たちの目を順繰りに睨め付け、思わず後ずさってしまう圧迫感を醸し出している。それでも騎士と翼竜はその場に踏みとどまろうとする。


 口を真一文字に結んだグレンジャーが、一歩踏み出した。


 ギァアアアーース!!


「くっ!なっ、何だあ!?」


 都市へ近づこうとしたグレンジャーの先を塞いでいた翼竜たちの中で、奥にいた一匹の翼竜が突如暴れ出した。乗っていた騎士が狼狽しながら手綱をめいっぱい引きつけるが、グレンジャーの圧に耐えきれなかったのか、暴れる竜は顎をガチガチと噛み鳴らし体を振り回す。


「おっ、落ち着けぇッ!」


 驚き叫ぶ騎士が槍の柄で翼竜の脇腹を叩いて、強引に制そうとした。しかしそれは逆効果だったようで、竜はさらに激しく抵抗した。それを見た周りの竜騎士たちにも動揺が広がり始めたが、刹那、これまで物腰柔らかだったアーリマンが斧槍を振った。

 

 斧槍の刃先は虚空を一閃しただけだったが、10メートル以上斜め後方にいた暴れる竜がバランスを崩して転倒した。


  あっという間の出来事に一同は固まった。竜騎士たちは慎重なアーリマンが『斧槍』を使ったことに畏怖しているようだ。その間にグレンジャーは、竜たちどうしの体の合間から倒れて身もだえする竜を観察する。


 『後ろ足の付け根が斬れている。出血具合から見て深い傷ではないが切断面が綺麗すぎる……頑丈な竜の鱗をああもたやすく斬るとはな』


 アーリマンの早業によって、ひとまず竜は地面をばたつくだけになった。乗っていた竜騎士は下敷きになりかけたが、苦労してようやく立ち上がってきた。

 振り切った体勢になっていたアーリマンは槍を下ろし、また礼儀正しい直立不動に戻る。


「これは見苦しいところをお見せしました。ですがミスター・グレンジャー、あなたは私たちが追う人狼に手を出さないでいただきたい。こちらとしても、人狼を捕えることに躍起になって、都市ロメオの方々にいらぬ危害を加えたくないのですから……」


 兜の中に入った雨水を払いながら、アーリマンは慇懃にグレンジャーにそう言った。その言葉はグレンジャーが攻撃すれば、竜騎士で都市を攻撃するという意の脅しを含んでいた。

 グレンジャーは濡れた髪をかきあげ、アーリマンに笑顔を見せて質問した。


「俺の手出しは無用、ね。それはお前のところの宰相に言われたのかい?それとも将軍か?……よっぽどエイドスを俺たちに(・・・・)始末させたくないらしい」


 自国の重要人物のことをグレンジャーが話題に出したことで、アーリマンの涼しい顔がすこし曇った。グレンジャーとアーリマンを囲む竜騎士たちは、じっと武器を構えているが、まるで宰相や将軍と面識があるといったようなグレンジャーの口ぶりに、グレンジャーとアーリマンの会話を次第に聞き入っていた。


「まあまあ、下手な勘繰り合いはよしましょう。意地悪な探り合いは気持ちを昂ぶらせるだけで不毛ですし……私のような部隊長ごときに宰相や将軍は雲の上の存在です。大して権力のない直属の上司に命じられて来ただけです」


「そうは言っても大掛かりだよな。そうそう竜騎士団なんて動かないじゃないか」


「相手が凶悪な人狼らしいので、念のため大人数で出動することになったんですよ。まぁ……恥ずかしながらそれも上司の建前で、好き勝手やっている帝国の犯罪者を野放しにしておくと、さすがにこちらとしても面子が立たないと言ってましたよ……」


「そのよく回る舌なら、大抵のやつはお前に悪意は無いと信じそうだな」


「随分と手厳しい人ですね」


「……そっちの宰相は俺と同郷だから話には聞いているんだろう? もっと教えてやろうか?…………ソル・グレンジャーという男は、こういう性格だッ!」


 ぎらりとグレンジャーの目が光った直後に、アーリマンは竜に飛び乗って槍を構えたが直接の攻撃は来なかった。


 グレンジャーが指を上にクイッと上げると、グレンジャーの半径40メートルを炎の壁が覆ったのだ。さらに壁はみるみる立ち昇り、翼竜といえどもすぐには越えられない高さまで達する。


「まったく……総員ッ!戦闘体勢!!」


 竜を飛び上がらせつつアーリマンはため息をついたが、兜を被ると鋭い声で部下を指示した。

 先ほどアーリマンに大人しくされた竜を除いて、ほとんどの竜騎士が無駄のない動きで飛翔した。百戦錬磨である竜騎士団員は、地に立つグレンジャーをそっくり見下ろせる陣形を組むことにしたのだ。


「……さて、最初から俺はこうするつもりだったが、そちらはどうだったのかな? もう手遅れだがな」


 そう呟いて唇を歪めたグレンジャーの顔は、いつも後輩の冒険者や住民に慕われている、ギルド長としてのグレンジャーとはまるで違っている。それは竜や巨人すら灰塵に帰す大魔術師の顔つきだった。


 飛んでいる竜騎士は主な武器は槍だが、長弓による一斉射撃の練度も高い。そして、全員が魔力を武器に流すことができる精鋭だ。

 弓を取って矢をつがえ、鐙に足をしっかり掛けて、視界の下にいるグレンジャーに魔力を纏う矢を浴びせる。


 しかしグレンジャーは後ろの炎壁に背をつけ、そのまま後退する。グレンジャーの体が燃え盛る炎にズブズブと埋まっていき、全ての矢は壁に当たって焼け落ちた。


「なっ、隠れ……いや逃げたのかッ?!」

 

「上だ!上に……っ」


 1人の竜騎士がそう叫び、もう1人が壁が途切れた上空へ逃げるように促す。残りの者たちも必死になって竜に上昇させようとしたが、追い討ちをかけるように壁の上端が内へ内へと閉じていき、ドーム状になった炎に竜騎士団は閉じ込められた。


 まんまとしてやられたと竜騎士たちは歯ぎしりしたが、アーリマンが竜の首の方向を切り返し都市ロメオ側の壁に向かって斧槍を一薙ぎした。斧槍を振ったアーリマンの前方の炎が引き裂かれた布のように穴が開き、アーリマンはそこから炎のドームを脱出した。


 ひとたびアーリマンが抜け出すと、部下も続々とその穴から急いで抜け出していく。


 都市ロメオへ歩いていたグレンジャーが振り返って、自らが作った牢獄を脱した竜騎士たちに指を突きつける。炎のドームはただちに分散したが、その散らされた炎はすべてグレンジャーのもとへ戻っていく。術者グレンジャーが死なない限り、彼の炎は半ば無尽蔵なのだ。


『次に俺の行く手を遮れば一人残らず焼き払う』


『あなたを絶対に都市へは戻らせない。エイドスの身柄はこちらで始末をつける』


 空飛ぶアーリマンたちとそれを見上げるグレンジャーの視線がぶつかり、どちらもそれを、とことん戦い抜く宣戦布告と受け取った。


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