君と私を繋ぐくま。
あれから時は流れて…
『お母さん行ってきます!』
『いってらっしゃい。』
今日は入学式、
歩いて5分の場所にある精蓮学園。
『あっ、おばあちゃんおはよう、今日も会いに行くの?』
『私は寂しがり屋だから毎日行かないと…』
『そうだ、見てみて!精蓮学園の制服。憧れのひよりカラーだよ!』
『似合ってるよ。』
『ありがとう。』
『私が今お付き合いしてる先輩はね、麗奈カラーでお揃いなんだ!あっ、ほら。いつもおばあちゃんが大切にしてるくまのぬいぐるみ。私も先輩に白いくまもらえたんだよ。』
『大切にしなきゃね。』
『うん。』
精蓮学園の伝説と同じ制服を着て、同じマスコットをポケットに入れて…
『おばあちゃん、知ってる?下駄箱の先にある廊下にね、でっかい写真があってね。その2人がこの制服のモチーフになった生徒会長でね。』
『うん。』
『私もいつかあんな風に先輩と愛し合いたいな〜って!』
『あと他にも2人の伝説がいっぱいあってね。』
『今日屋上の扉に書いてあるメッセージを見に行く約束してるんだ〜』
『そう、楽しみね。』
『あっ、おばあちゃんじゃあね。』
そう言って私はおばあちゃんに手を振って校舎に入った。
満開に咲く大きな桜…
『おはよう、麗奈ちゃん。』
私は桜の木の隣で眠る麗奈ちゃんにいつものように挨拶をして、何をするでもなく、その桜を背に腰掛け麗奈ちゃんが好きだったあの歌を聴きながら瞳を閉じた。
『麗奈ちゃん…やっぱりこの歌…私だよ…』
そして私は夢を見ていた…
『麗奈ちゃん…私…寂しがり屋だから…』
『知ってる。』
『これだけは約束して。』
『ずっと、ずーっと一緒に居てね。』
『私も、隣にはひよりちゃんがずっと一緒に居て欲しい。』
『約束ね。』
『うん、約束。』
プロポーズされたあの日の約束…
『もうすぐ…会えるからね……』
短いような…長いような時を過ごし、いつしか下校のチャイムが鳴り響いていた…
帰路につく生徒を見送りながら私はまだそこに居た…
『あっ。あの2人もしかして…』
『シーッそっとしてあげよ。』
『先輩、お待たせしました…』
『いや…待ってないよ。』
『その…』
『うん…』
『このくま…受け取ってください。』
『黒いくま…ふふっ…ここに呼んでおいて友達で良いの?』
『えっ?あれ?』
『私は…君のポケットにある白いくまがもらえると思って来たのに…』
『黒じゃないんですか?』
『友達にあげるのが黒いくま、恋人にあげるのが白いくま。だよ?』
『あっ!ごめんなさい。こっちの白いくまもらってください。』
『もちろん。』
『やった!』
『(これで何人目かな?ここで恋人ができるのは…)』
『あっ!ひよりおばあちゃん居た!』
『お母さーん!ひよりおばあちゃん居たよー』
『本当?良かった〜また麗奈お母さんに会いに来てたのね?みんなひよりママが居なくなって心配したんだから…もう夕方だから帰ろ。』
『ママ?ひよりママ!!ーーー
ーーそこで私の意識は途切れて目の前には大好きな麗奈ちゃんが居た。
『ひよりちゃん、久しぶり。待ってたよ。』
『麗奈ちゃん…遅くなってごめんね。』
『何言ってるの?毎日私に会いに来てくれたじゃない。』
『うん。私…麗奈ちゃんが居なくなってずっと寂しくて…』
『私は、ずっとそこに居たんだよ。』
そう言って私の胸ポケットにしまってあった白いくまを取り上げると、麗奈ちゃんは自分の胸ポケットにしまった。
『ひよりちゃんはもう、離さないからね。』
『ずっと一緒だよ。』
『うん…ずっと一緒に居ようね。』
………Fin。




