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最強だった俺は、もう戦わないと決めた ―辺境小国の宰相として大陸を制す―  作者: 竜太郎


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83/442

■第83話:接触⑤

 戦いは。


 


 まだ続いている。


 


 


 終わらない。


 


 


 


 ヴァルハインは。


 


 


 戦えている。


 


 


 


 だが。


 


 


 


 勝てていない。


 


 


■前線


 


「中央、押し返した!」


 


 


 報告が飛ぶ。


 


 


 


 


「よし、そのまま維持しろ!」


 


 


 


 


 レオナルトが即座に返す。


 


 


 


 


 判断は速い。


 


 


 


 


 対応も正確。


 


 


 


 


 だが。


 


 


 


 


 長く続かない。


 


 


 


 


 一瞬。


 


 


 


 


 ズレる。


 


 


 


 


 それだけで。


 


 


 


 


 崩れる。


 


 


 


 


「……またか」


 


 


■別戦線


 


「右翼、前進成功!」


 


 


 別の声。


 


 


 


 


 押している。


 


 


 


 


 確実に。


 


 


 


 


 だが。


 


 


 


 


 中央が崩れる。


 


 


 


 


 


「なんで繋がらない……!」


 


 


■全体


 


 勝っている場所がある。


 


 


 負けている場所もある。


 


 


 


 だが。


 


 


 


 合わない。


 


 


 


 


 全体として。


 


 


 


 成立しない。


 


 


■後方


 


「損耗、増加」


 


 


 副官が報告する。


 


 


 


 


「回復、追いつかず」


 


 


 


 


「士気、低下傾向」


 


 


 


 


 一拍。


 


 


 


 


 


 レオナルトは黙る。


 


 


 


 


 


 数字は。


 


 


 


 


 


 正直だった。


 


 


■判断


 


「……まだいける」


 


 


 レオナルトが言う。


 


 


 


 


 根拠はない。


 


 


 


 


 だが。


 


 


 


 


 局地では勝っている。


 


 


 


 


 


「あと一押しで崩れる」


 


 


 


 


 


 そう思ってしまう。


 


 


 


 


 


 それが。


 


 


 


 


 


 罠だった。


 


 


■観測(レグナス側)


 


「損耗率、上昇」


 


 


 ミレアが言う。


 


 


 


 


「回復追いつかず」


 


 


 


 


 一拍。


 


 


 


 


 


「このままなら」


 


 


 

 


 


 


 


 


 ヴェルドが続ける。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


「持たない」


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 カイルが震える。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


「でも……戦えてますよ?」


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 ガイラスが笑う。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


「だから削れるんだろ」


 


 


■分析


 


「完全に止めない」


 


 


 ヴェルドが言う。


 


 


 


 


「勝たせもしない」


 


 


 


 


 一拍。


 


 


 


 


 


「消耗だけを積み上げる」


 


 


 

 


 


 


 


 


 カイルが顔を青くする。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


「それって……」


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 ミレアが静かに言う。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


「逃がさないため」


 


 


■ルナたち


 


「……判断、狂ってきてる」


 


 


 ルナが言う。


 


 


 


 


「分かってるのに」


 


 


「止まれない」


 


 


 


 


 レオンが笑う。


 


 


 


 


「人間だな」


 


 


 


 


 エリナが小さく呟く。


 


 


 


 


「……かわいそう」


 


 


■ヴァルハイン


 


「前進!」


 


 


 レオナルトが叫ぶ。


 


 


 


 


 止まらない。


 


 


 


 


 止まれない。


 


 


 


 


 


 勝てると。


 


 


 


 


 思っている。


 


 


 


 


 


 思わされている。


 


 


 


 


 


 その違いに。


 


 


 


 


 


 気づかないまま。


 


 


 


 


 


 削られていく。


 


 


■レグナス


 


「報告」


 


 


 


「ヴァルハイン、戦闘継続」


 


 


 


 


 一拍。


 


 


 


 


 


「問題ない」


 


 


 


 


 それだけ。


 


 


 戦いは。


 


 続く。


 


 


 勝てそうで。


 


 


 勝てないまま。


 


 


 


 終わらない。


 


 


 逃げられない。


 


 


 


 


 それが。


 


 


 


 


 この戦場の本質だった。



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