表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
73/207

■第73話:ズレ

 戦いは。


 


 普通に始まった。


 


 


 ベルグラード王国。


 


 対。


 


 ヴァルハイン王国。


 


 


 


 中規模国家同士の衝突。


 


 


 


 理由は単純。


 


 


 領土。


 


 


 資源。


 


 


 


 どこにでもある戦争だった。


 


 


■前線


 


「前進!」


 


 


 号令が飛ぶ。


 


 


 


 兵が動く。


 


 


 


 盾を構え。


 


 剣を握り。


 


 


 


 距離を詰める。


 


 


 


 ここまでは。


 


 


 何もおかしくない。


 


 


 


 だが。


 


 


 


 一歩。


 


 


 


 ズレた。


 


 


 


「……?」


 


 


 兵が眉をひそめる。


 


 


 


 踏み込みが浅い。


 


 


 


 あと一歩で届くはずの距離。


 


 


 


 それが。


 


 


 届かない。


 


 


■後方指揮


 


「間合いが違う?」


 


 


 ガイラスが低く呟く。


 


 


 


 


「いや」


 


 


 


 


 一拍。


 


 


 


 


 


「揃ってねぇ」


 


 


 


 


 別の隊も同じだった。


 


 


 


 突撃のタイミングが。


 


 


 微妙にズレる。


 


 


 


 誰もミスしていない。


 


 


 


 なのに。


 


 


 


 噛み合わない。


 


 


■交戦


 


「はっ!」


 


 


 剣が振られる。


 


 


 


 当たるはずだった。


 


 


 


 だが。


 


 


 


 空を切る。


 


 


 


「なっ……!?」


 


 


 


 相手も同じだった。


 


 


 


 反撃が遅れる。


 


 


 


 ほんの一瞬。


 


 


 


 それだけ。


 


 


 


 それなのに。


 


 


 


 戦いが成立しない。


 


 


■観測


 


「……おかしくないですか」


 


 


 カイルが小さく言う。


 


 


 


 


「何がだ」


 


 


 


 


 ガイラスは目を細めたまま返す。


 


 


 


 


「全員ちゃんと動いてるのに……」


 


 


 


 


 一拍。


 


 


 


 


 


「勝負になってない」


 


 


 


 

 


 


 


 


 


 その言葉。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 静かに落ちる。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 ミレアが視線を動かす。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


「被害の出方も変です」


 


 


 

 


 


 


 


 


 


「偏ってない」


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 普通なら。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 一方が押す。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 だが。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 それがない。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 均等に。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 削れている。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 ヴェルドが小さく呟く。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


「……広がらない」


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 一拍。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


「抑えられている」


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 カイルが振り向く。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


「誰が……?」


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 沈黙。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 答えは出ない。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 だが。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 ルナが。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 遠くを見たまま。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 小さく言った。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


「……まだ小さい」


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 一拍。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


「でも」


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


「これ、広がるよ」


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 レオンが笑う。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


「もう始まってんだろ」


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 エリナは何も言えない。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 ただ。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 戦場を見ていた。


 


 


■レグナス内部(短カット)


 


「北部、問題なし」


 


 


 


「流通、正常」


 


 


 


「住民の不安、軽微」


 


 


 


 


 すべて。


 


 


 


 “普通”だった。


 


 


 戦場は。


 


 ズレている。


 


 


 だが。


 


 まだ小さい。


 


 


 


 それは。


 


 


 始まりだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ