表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強だった俺は、もう戦わないと決めた ―辺境小国の宰相として大陸を制す―  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
426/442

第428話「地方役人の杭」

レグナス王国東部の辺境の街。役所の窓口に勤めるカミルは、夕刻の執務室で、新しく届いた「国境沿いの私有地登記に関する法改正」の公報を整理していた。


「カミルさん、また中央から細かい書類が来ましたよ。土地の境界線を示す杭を、今後は木製ではなく石製に統一せよという命令です。費用は国が持つそうですが、何の意味があるんでしょう」


同僚のフィアスが、分厚い書類の束を机に置きながら呆れたように言った。


「石の方が長持ちするからだろ。お上の考えることはいつも型通りさ」


カミルは事務的に答え、申請書の処理を始めた。普通の役人なら、また中央の無駄な形式主義だと吐き捨てるだろう。


しかし、カミルがその指定された杭の設置場所を詳細な地図に落とし込んでみたとき、その真意に気づいて息を呑んだ。


その国境沿いの私有地は、隣国ドラグナール帝国の重騎兵部隊が、もし侵攻してきた際に突撃の足場として最も利用しやすい平原地帯だった。そこに、等間隔で頑丈な石の杭が地中深く打ち込まれるのだ。


それは農民にとってはただの境界線だが、他国の騎兵にとっては、馬の蹄を引っ掛けて転倒を誘発する、最悪の見えない障害物へと変貌する。


「私たちはただ、規則通りに石工へ発注するだけだ」


カミルは次の書類を手にとった。


兵を動かして防壁を築くのではない。ただ杭の材質を変えるという、あまりにも地味な行政の規則を一つ通すだけで、大国の最強の兵科の進軍を、戦う前に完璧に封じ込めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ