■第132話:真似
■他視点:エルドリア王国・軍議
「前例ができた」
エルドリア王国の総将、ガレスが言う。
「戦争からの離脱」
一拍。
重臣たちが頷く。
「我が国も行う」
即断。
迷いはない。
「理由は明白だ」
「戦闘は成立していない」
一拍。
「続ける意味がない」
■決定
「全軍、戦線離脱」
命令が下る。
明確に。
強制的に。
■伝達
命令は送られる。
エルドリア王国前線へ。
確実に。
■前線:エルドリア王国軍
「撤退命令だ!」
兵が叫ぶ。
一拍。
動く。
隊が後方へ下がる。
統制は保たれている。
判断も早い。
「これで終わりだ……」
誰かが呟く。
■その瞬間
止まる。
三拍。
そして。
血が出る。
「……なに?」
■失敗
後退中。
戦っていない。
それでも。
現象は発生する。
「止まらない……!」
兵が叫ぶ。
戦闘行為はしていない。
敵とも接触していない。
だが。
結果だけが出る。
■混乱
「撤退だぞ!」
「戦ってないんだぞ!」
一拍。
意味が通じない。
行動と結果が。
繋がらない。
■崩れ
「……なんでだ」
声が震える。
戦うからではない。
戦わないからでもない。
関係がない。
■理解不能
「どうすればいい!」
誰かが叫ぶ。
答えはない。
何をしても。
変わらない。
■現場崩壊
一人が膝をつく。
動かない。
別の兵が剣を落とす。
さらに。
また一人。
統制が消える。
完全に。
静かに。
■後方:エルドリア王国・軍議
「……報告は」
ガレスが問う。
「撤退は実行されています」
「しかし」
一拍。
「被害が継続しています」
「……どういうことだ」
誰も答えられない。
■結論未満
「……失敗だ」
ガレスが低く言う。
だが。
原因は不明。
対処も不明。
■観戦:ノルヴァン公国
「エルドリアが離脱を試みている」
ノルヴァン公国の観測将が言う。
「成功するか」
一拍。
「……しないな」
既に見えている。
条件が違う。
■グランヴェルド工業連邦
「再現性なし」
技術官が報告する。
「ならば無視」
即断。
「通常戦闘を継続」
だが。
通常は存在しない。
■アルカディア魔導皇国
「……やはり無理か」
観測官が言う。
「離脱では回避できない」
一拍。
「条件が違う」
■ドラグナール竜騎帝国
「逃げても無駄か」
低く笑う。
「ならば関係ない」
一拍。
「壊すだけだ」
■セラフィス神聖教国
「……無意味」
静かな声。
「現象は意志に従わない」
一拍。
「関与しない」
■ヴァルハイン
「真似したな」
レオナルトが言う。
「だが無駄だ」
一拍。
「最初の離脱とは違う」
■レグナス(上層)
「外部」
ミレアが言う。
「エルドリア王国、離脱失敗」
カイルが固まる。
「……なんで」
「選択ではない」
ヴェルドが言う。
■核心
「成立条件がある」
一拍。
「だが」
「不明だ」
■ルナたち
「……やっぱりね」
ルナが言う。
「真似は無理」
レオンが笑う。
「違うから」
エリナが小さく言う。
「……最初の国は?」
ルナは少しだけ考え。
静かに言う。
「……条件が揃ってた」
■最後
エルドリア王国は。
離脱を選んだ。
だが。
抜けられなかった。
戦争から。
現象から。
その差が。
世界をさらに壊していく。




