■第114話:外部戦線⑦
戦いは。
続いている。
止まりながら。
そして。
初めて。
“噛み合わない被害”が出た。
■前線
「前へ――」
号令。
兵が動く。
その瞬間。
止まる。
三拍。
完全停止。
■停止中
剣は上がっている。
槍も構えている。
距離もある。
だが。
動かない。
「……またか」
■異常
その中で。
一人の兵の腕が。
揺れる。
次の瞬間。
血が飛ぶ。
「……え?」
■理解不能
誰も動いていない。
攻撃もしていない。
だが。
斬られている。
「なんで……!」
■解除
動き出す。
遅れて。
剣が振られる。
槍が突き出る。
だが。
タイミングがズレている。
「遅い……!」
■混乱
「今の何だ!」
兵が叫ぶ。
「誰も動いてなかったぞ!」
一拍。
答えはない。
■別地点
フェルス側でも。
同じ。
止まる。
そして。
血が出る。
「……おい」
■恐怖の芽
「これ……」
兵が震える。
一拍。
「おかしい」
■否定
「落ち着け!」
別の兵が叫ぶ。
「見間違いだ!」
一拍。
「遅れて見えただけだ!」
説明。
無理がある。
だが。
受け入れる。
■現場
「……そうか?」
兵が呟く。
「そうだ」
一拍。
「そうに決まってる」
自分に言い聞かせる。
■グラディア本陣
「停止中に被害発生?」
報告が入る。
一拍。
将が眉をひそめる。
「……錯覚だ」
■判断
「時間差です」
参謀が言う。
「視認のズレ」
一拍。
「問題ありません」
結論。
強引。
だが。
採用される。
■観戦国
「少し荒れてきたな」
将が言う。
「だが異常ではない」
一拍。
「戦場だ」
片付けられる。
■レグナス(上層)
「外部戦線」
ミレアが言う。
「停止中被害、確認」
一拍。
カイルが息を呑む。
「……危ないですね」
ヴェルドが答える。
「まだ弱い」
■分析
「認識が追いつかない」
ヴェルドが続ける。
「だから恐怖にならない」
一拍。
「まだな」
■ルナたち
「……出たね」
ルナが言う。
「ズレた被害」
レオンが笑う。
「一番キツいとこだ」
エリナが震える。
「……怖いよ」
一拍。
ルナは静かに言う。
「まだ大丈夫」
■レグナス
「報告」
「外部被害、発生」
一拍。
「問題ない」
それだけ。
戦いは。
続く。
止まりながら。
傷つきながら。
それでも。
誰も止めない。
それが。
理解されない崩壊だった。




