■第113話:外部戦線⑥
戦いは。
続いている。
だが。
途切れ方が。
変わっていた。
■前線
「前へ――」
号令が出る。
兵が動く。
その瞬間。
止まる。
三拍。
長い。
「……動け」
■完全停止
剣が上がったまま。
槍が突き出たまま。
止まる。
敵も。
同じ。
動かない。
「……なんだこれ」
■異常
距離はある。
当たる位置。
だが。
何も起きない。
攻撃も。
防御も。
発生しない。
「……やれよ」
■解除
ふっと。
動く。
剣が振り下ろされる。
槍が突き出る。
戦いが再開する。
だが。
遅れている。
「間に合わねぇ!」
■小隊全体
十人。
全員止まる。
三拍。
何もできない。
完全に。
“戦いがない”。
「……おい」
■言葉
「これ……」
兵が呟く。
一拍。
「戦いになってねぇ」
■沈黙
周囲が止まる。
違う。
言葉に。
反応する。
否定できない。
「……そんなわけ――」
■拒否
「黙れ!」
別の兵が叫ぶ。
「動いてるだろ!」
一拍。
実際に。
動いている。
だから。
否定できる。
「……気のせいだ」
■フェルス側
「押し込め!」
号令。
だが。
また止まる。
三拍。
何も起きない。
「……まただ」
■全体
戦いはある。
だが。
戦いが消える瞬間がある。
しかも。
何度も。
「……おかしいだろ」
■グラディア本陣
「停止中、攻撃発生せず」
報告。
一拍。
将が黙る。
「……なんだそれは」
「不明です」
■判断の限界
「戦闘は続いているな」
将が確認する。
「はい」
一拍。
「なら続行だ」
だが。
迷いが残る。
■観戦国
「……妙だな」
将が呟く。
「さっきから間が長い」
一拍。
「だが」
「戦いは成立している」
結論は同じ。
■レグナス(上層)
「外部戦線」
ミレアが言う。
「完全停止、確認」
一拍。
カイルが息を呑む。
「……言いましたね」
ヴェルドが答える。
「一人だけだ」
■分析
「言葉になった」
ヴェルドが続ける。
「だが」
一拍。
「広がらない」
■ルナたち
「……出たね」
ルナが言う。
「言葉」
レオンが笑う。
「でも潰される」
エリナが小さく言う。
「……なんで?」
一拍。
ルナが答える。
「認めたくないから」
■レグナス
「報告」
「外部認識、発生」
一拍。
「問題ない」
それだけ。
戦いは。
続く。
止まりながら。
消えながら。
それでも。
誰も止めない。
それが。
壊れた戦争だった。




