■第106話:再接触⑨
戦いは。
終わりに近づいていた。
形はない。
意味もない。
残っているのは。
選択だけだった。
■前線(崩壊後)
「……持たない」
誰かが呟く。
精鋭も。
崩れた。
残っているのは。
動ける者だけ。
だが。
続ければ。
同じになる。
■レオナルト
「……十分だ」
低く言う。
一拍。
「全軍、離脱」
命令。
今回は。
徹底される。
残った者は。
理解している。
これ以上は。
無意味だと。
■離脱
戦場から。
離れる。
ゆっくりと。
確実に。
追撃はない。
干渉もない。
「……終わったのか」
■確認
「戦闘終了」
副官が言う。
一拍。
レオナルトは。
何も言わない。
ただ。
見ている。
「……そうか」
■認識
分かった。
何をしても。
同じになる。
つまり。
勝てない。
だが。
説明できない。
それが。
一番重い。
■観測(レグナス側)
「離脱、完了」
ミレアが言う。
一拍。
カイルが呟く。
「……終わりましたね」
ガイラスが肩を回す。
「二回目も削れたな」
ヴェルドは。
何も言わない。
■ルナたち
「……終わったね」
エリナが言う。
ルナは頷く。
「うん」
一拍。
「でも」
レオンが笑う。
「始まるぞ」
■他国視点(中規模国家)
「また撤退か」
将が笑う。
「ヴァルハインも落ちたな」
副官が頷く。
「小国相手に二度も」
一拍。
「宰相がどうとか言ってたが」
「関係ないな」
「ただの消耗戦だ」
軽い評価。
まだ。
半分以上は。
気づいていない。
■バルザーン帝国(戦略部)
「二度の接触、共に撤退」
将が資料を見る。
「興味深いが」
一拍。
「脅威ではない」
判断。
まだ。
踏み込まない。
■レグナス
「報告」
「二度目の接触、終了」
一拍。
「問題ない」
それだけ。
戦いは終わった。
二度。
同じ結果。
だが。
世界は。
まだ理解していない。
半分以上は。
まだ。
舐めている。
だから。
次が来る。
気づくその時まで。




