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軽キャンで魔王と勇者を轢いたおっさん、奥さんが大事なので異世界で国を作りましたが王様にはなりません  作者: カネキ
第11章 海へ行こうぜ!編

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第116話 人魚族との邂逅

制裁が続いている。

俺は夫で軽キャンクラブのリーダーだぞ、なのに、この扱い!

……自業自得という一面も多少あるし、俺は優しいから折れてやらないとな。

だから、殴るのをやめてください。

 ヒロシが絶賛制裁を受けている最中――


ザバァァァァッ!!


 海から半魚人が三名、勢いよく上陸してきた!


「お前らがクラーケンを倒したのか!」


 銛を構えた半魚人が叫ぶ。



「生意気な事を言ってしまい申し訳ございませんでしたぁぁぁ!!」


 俺は額が擦り切れる勢いで土下座した。


「ぷっ」


 キャスカの笑い声が聞こえた。

 見ると、口元に手をやって……目が完全に笑っていた。



ブチッ。



 俺の中で何かが切れた。


(そうかい……そうかい……

 俺が悪いなら、悪者らしくしてやるよ……!)


ガッ!


 俺はキャスカの元へ走り、ハイレグスクール水着の肩紐をつまみ上げた!


「キャッ!?

 ちょ、ちょっと!? やめなさいよ!!」


 キャスカが慌てて暴れる。


 許すか!


「ヒロシさん、キャスカに何をするんですか?!」


「ルファス、大丈夫だ」


「大丈夫じゃないわよ、私を離さないと、お兄様が許さないですわよ」


(ああ、そうですか)


「あ、そーーーれ!

 わっしょい! わっしょい!!」


 俺は肩紐を上下に揺らしながら、謎の祭りを開催した。


「ヒロシさん!?

 やめてください!!」


 ルファスが慌てて止めに入る。


「旦那様がご乱心よ!!」


 プロムも叫ぶ。


「ヒロシ!

 落ち着け、話をしよう!

 本当に意味が解らない」


 レイラが言うが――


(さっきまで話聞いてくれなかったじゃんよ!!)


「わっしょい! わっしょい!!」


 俺は泣きながら叫んだ。

 どうせ、俺一人が悪者なんだから、悪者らしくふるまってやる。


「ちょっ……や、やめっ……!

 恥ずかしいってば!!

 食い込むか……ら……」


 なんだ?

 バタバタ暴れてたのに、キャスカが顔を真っ赤にして抵抗が弱まって……

 この野郎!


「しおらしい態度したら、俺が辞めるとでも思ってるのか?!

 舐めやがって、祭りはこれからだぜぇ!

 そーれ、わっしょい、わっしょい」


「ち、ちが……あ」


 上下にゆっさゆっさしながら練り歩くヒロシ。


 そして、完全に無視されている半魚人。


「おい、俺の話を聞け!」


 半魚人の声は、ヒロシの『わっしょい』にかき消される。


「……」

「……」


 そして半魚人は、諦めて体育座りをした。


「アッ!」


 キャスカが変な声を出した。


(やりすぎた!!)


 俺は慌てて手を離し、キャスカをそっと下ろした。


 ふう。


 やりすぎた。


「みんな、些細な行き違いがあったが……水に流そう」


 俺は身なりを整え、爽やかに言った。


「……」


 みんな微妙な顔だ。


 当然か。


「雨降って地固まる! さ、飯でも食おうぜ!」


 こうして、いつもの仲良し軽キャンクラブに戻ったのだ。


 めでたし、めでたし!


 ……のはずだった。



「あ、あの、終わりました?」


 俺たちが食事に向かおうとした時、体育座りしていた半魚人が声をかけてきた。


「ヒロシ、私たち先に行ってるからね」


 レイラがそう言って、みんなを連れて行ってしまった。


(行くの?

 待ってよ、俺は?!)


「なにか用?」


 俺は不機嫌に半魚人へ言った。


(地に落ちた俺の株を回復しなければいけない大切な時なんですけど)


「クラーケン倒したの、あなたたちですよね?」


「……そうだけど?」


「助かりました。仲間も沢山やられて困っていたのです」


「あ、そう。

 それは、よかったね。

 じゃぁ」


 俺は会釈して別れようとした。


「人魚族も喜びます」


ピクッ。


 人魚……だと?


 俺は半魚人の方へ向き直る。


「あの凶悪なクラーケンを退治したことなら、気にしないでください。

 海を愛する者として当然のことをしたまでですから」


 ことさら爽やかに言った俺。

 半魚人たちは尊敬の眼差しを向けてきている。

 可愛いやつらだ。

 俺の偉大さの一端を理解したか?

 なら、大事なことがあるだろう?


ニタニタ


 おっと、にやけてしまった。


キリッ


「あー、ところで。

 人魚族……のことなのだがね。

 その、どういった感じの……」


「あっ、はい!

 そうですよね!

 本来なら人魚族も挨拶に来させるべきでした!

 礼儀がなっていなく申し訳ございません。

 でも、人魚族たちもとても感謝してましたよ!

 今回は、ありがとうございました」


「あ、そう。

 で、人魚族と会ったことが無いから、生物学的興味から聞くのだが……

 どんな見た目?」


「人魚族ですか?

 そうですね……私たちのような感じではないですが、美しい種族です。

 特に女性が。

 ……いや、英雄に対して下世話な言葉でした」


「へぇ……美しい……」


「では、我々はここで」


 半魚人たちは言うだけ言って帰ろうとした。


(いやいやいや、ちょっと)


「ちょっと待った!

 みんなの感謝の気持ち確かに受け取った。

 そんな多大な感謝をいただいて、このヒロシ、大いに感動している。

 あ、そうだ。

 俺が軽キャンクラブを代表して人魚族に会いに行こう!

 お礼のお礼をしなきゃ。

 うん、決まりね」


 俺は即決した。


「ちょっと待ってろ!

 絶対に俺が戻るまで帰るんじゃねぇぞ!」


「は?はあ」


 俺は急いでみんなの元へ走り、事情を説明した。


「知らないところに一人でって、危ないからダメよ!」


 レイラが心配してくれている。


(さっき殺しかけてきた人と同じとは思えない優しさ……ありがとう!)


 しかし――


 何度言っても一人で行くことは許されなかった。


 結局、護衛としてウィズとバンを連れていく条件で許可が出た。



 半魚人の元へ戻る。


「お待たせ!

 俺たち三人で軽キャンでついて行くから、案内してくれ!」


 軽キャンを指差すと、半魚人たちは「?」という顔をした。


 だが問題ない。

 気にしなければいいだけだ。


(いざ――

 人魚とのキャッキャウフフの世界へ!!)


 俺たち三人は軽キャンに乗り込み、半魚人の案内で海へ入っていった。

えへっ。

新たな出会いの予感。

頑張った俺へのご褒美だ。

どうしよう、モテモテだぜ、困っちゃう。

よし、回復薬は大目に持っていこう。

バンとウィズ、アイツら何もしてないのに俺のおこぼれもらいやがって。

そんな事でどうこう思わないから、みんなで楽しもうぜ!

海の中なら嫁さんもこれないし安心して遊べるぜ!


いつも読んでいただき、ありがとうございます。

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