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5.燃える城と暴走

襲撃は突然だった。

城は寝静まった夜で静まり返り、侍女も秘書も全員眠りについていた深夜。

ガサッと城の一部から音が聞こえる。

見張りが「なんだ?」と近づくと、次の瞬間、胸を切られていた。


「なっ!!」と気づくも遅い。



次々と見張りが殺され、城に簡単に入られる。

その数、優に百人を超えていた。

一人の衛兵が「敵襲!」と叫ぶも、すぐに絶命する。


侍女達は外の様子に気づき、急いで王妃と子供たちが眠る部屋へと急いだ。



部屋ではアリアとフィーアが眠っていた。

ルヒトーとタイルがミリアル王国に視察に行っていたため、フィーアが駄々をこね、この夜も一緒に眠っていたのだった。




そして。この日はまだバルザード国からの護衛はまだ来ていなかった。




ドアがだんだんだん!と激しく叩かれる。

「王妃様!姫様!」


侍女が二人を起こすべく、強く扉をたたく。

アリアは(こんな真夜中に何かあったのかしら)と異変に気づき、侍女の元へ行く。



侍女から襲撃があったことを知り、フィーアと共に隠し通路から逃げようとフィーアを起こす。



が、フィーアはまだ五歳。

眠い目を擦りながら、なぜお母様はそんなに怖い顔をしているのだろうと呑気に考えていた。

一体何が起きたのかなとふと窓の外を見てみると。


街が燃えていた。


「えっ…」


あまりの光景に、一気に目が覚める。



「お母様…街が燃えてる!」

「フィーア、よく聞きなさい。今、悪い人たちに襲われているの。だから、いそいで逃げないと」


とアリア。

しかし、その言葉が終わるよりも早く。


「ごフッ…」


起こしに来た侍女が血を吐いて倒れていく。胸から剣が刺さっていた。


「え…」


とアリア。状況を読み込むことができなかった。

「王妃たちの部屋を見つけた。これより確保する」


黒装束で、顔の見えない男がそう発した。


後ろには何十人もの黒装束。アリアは一瞬にして悟った。これは、私たち、つまりアリアとフィーアの女神の力を欲する何者かの侵略だと。


「娘がいるのか。だが確保命令は王妃のみだったな。殺すか」と、一人の男が無感情に言った。


(この人たちは娘が力を持っていることを知らない…!?)


アリアは確信した。フィーアが強い魔力を持ち、女神の力を受け継ぎ、半精霊であるということは、アリアとルヒトー、そして一部の侍女たちしか知らない、極秘の情報だった。


それならば状況はまずい。アリアが助かってもフィーアは殺される。何としてでも避けたい事実だった。


フィーアはどうすればいいのか分からなかった。


(お母様と一緒に殺されるの…?なんで?)


幼い思考では、どうしてこのような事が起きているのかも理解できなかった。


「死ね」


一瞬にして男がフィーアの目の前にくる。

殺される!と思い目を瞑った瞬間。




「ザシュッ…」




血飛沫があがった。

目を開けると、目の前には見慣れた金髪。

母、アリアだった。


「ぁああ…!!!」


フィーアの顔に血がかかる。ゆっくりと母アリアが倒れていく。



まるで時間がとまったように。ゆっくりと母の体は倒れていく。


(え?)


ドサッ

「おい!!何してるんだ!!女王は生かしたままじゃないと意味が無いだろう!!本来の目的を無視するな!」



「だってこいつが…!!」



言い争う男たちの声など、どうでも良かった。

フィーアは目の前の現実を受け入れられなかった。


「フィー…」


かすかに母の手が、自分の手を握る。すると。


小さく煌めく黄金の光が、アリアの体からフィーアの手に、全て流れ込んだ。

そして。

静かに。母の手は力尽きた。


「あ、....あああああああああぁぁぁああああああぁぁぁ!!!!」


フィーアの叫びが、城に響き渡る。


「どうして。!!!!!嫌だあああああああああぁぁぁ!!!!!」


フィーアの身体から、今まで見たこともないほどの黄金の光が放たれ、そして、世界を揺らす。



ピシャアアアアン!!!!!ゴロゴロ!!!!!!

雷が呻き、外に暴風が呻く。


フィーアの抑え込まれていた全ての感情が、受け継いだ全ての女神の力となって、暴走したのだ。

「な、なんだ!!??」

男たちは動揺し、パニックになり。




そして、

「ああああああぁぁぁああああああぁぁぁああああああぁぁぁああああああぁぁぁ」




フィーアの慟哭と共に、城が内側から大爆発を起こした。

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