表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/63

3.慌ただしい日々

フィーアと名付けられたその赤子は、スクスクと成長していった。


「フィーア!どこにいるの?」


ある日の昼下がり。母であるアリアは、まだ一歳の娘を探していた。というのも、この赤子はすぐに部屋を抜け出し、歩き回るのだ。

そのやんちゃな姿に、周囲の侍女たちもみな呆れていた。

しかも、ただ脱走するだけならまだしも、妖精に好かれているためか、しばしば瞬間移動テレポートして移動もする。

その様子にアリアは困り果てていた。


「だっ!ぷぅ!あー!」


遠くからフィーアの楽しそうな声が聞こえる。

(あ、部屋の中にいるのね。良かったわ)

母アリアは一瞬安堵するも、つかの間、「はぁ…」とため息をつく。

聞こえてきたのは、王の仕事場である執務室の方角だった。

扉の前で一度深呼吸をして、ドアをノックする。


「ルヒトー!入りますよ」


ガチャっと開けると、そこには、キャッキャッと笑いながら嬉しそうにしている一歳の赤子と、


「フィーアはほんと可愛いなぁ」


とデレデレしている夫の姿があった。

その様子に「全くもう」とアリアは思うが、フィーアが無事ルヒトーと一緒にいたことに安堵した。

フィーアは楽しげに「キャッ!ぶぅ!」と笑いながら、ルヒトーの顔をベタベタと触る。

ルヒトーも満更ではない様子だ。


「貴方…お仕事は終わったの?」


アリアは、夫が仕事をサボっているとわかった上で聞く。

案の定、ルヒトーは目を泳がせた。


「いや…え?終わった……いや、終わってないが!これは休憩だ!」


ルヒトーは堂々たる開き直りである。

アリアはそっとフィーアをルヒトーから剥がし、


「仕事が終わるまでフィーアと遊ぶのは禁止!ちゃんと書類を終わらせなさい」

と毅然とした態度で怒る。

フィーアはその様子をぽかんとした顔で見ていたが、その後「ぷぅあー」とアリアの顔を触り、嬉しそうにした。


その言葉を聞いたルヒトーは、顔面蒼白である。


「ま、待ってくれ!そんな!俺のフィーアを…」

「待ってもありません。全く、フィーアはお昼寝させますからね。ちゃんと終わらせてね」


そう言い残すと、アリアはスタスタと執務室を出ていくのだった。


「そんなぁ…」


背後で哀願するように呟いたルヒトーを無視して、アリアは子供部屋へと向かう。


「フィーア、遊ぶのはいいけれど、お父様の邪魔をしてはダメよ?」


と話しかけるが、フィーアは


「ぷぅ?」


と、なぜ?といった顔でアリアを見つめる。

「まぁ、まだ幼いのだから、わからなくて当然ね」

アリアはそう思いながらも、フィーアを抱きしめる。

(それにしても、うちの娘はなんて可愛いのでしょう)

と見つめながら思うアリアも、すっかり親バカであ

った。


「お母様とお昼寝しましょうね」


とアリア。フィーアはそれに応えるように、「ぶぅ!」とニコニコしながらこたえるのだった。

本来ならば赤子のお世話は乳母が行うのだが、フィーアは魔力が多く、また半精霊ということもあり、女神の力を受け継ぐ母であるアリアが、常にそばで自らお世話をしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ