人々を救うために!(ある騎士の場合)
魔王の復活に伴い誕生した魔王軍が、人類へ一方的な侵略戦争を開始してから既に百数十年の時が過ぎていた。
無論、人類側としてはこの状況を黙って見ていた訳ではない。各地では激しい抵抗戦が行われ、当然のように我らの王国も他国と同様に度重なる脅威と戦っていた。
ただ……魔王軍との戦力差は想像以上に大きく、ボク達王国騎士団が必死になって奮闘するも一方的に疲弊するだけの悲惨な日々が続いていた。
そして、そんなある日のこと。王国上層部ではとある作戦の会議が行われようとしていた。
――――ここは王国地下室……現在、この薄暗い場所には王を筆頭に側近や騎士のボクを含めた数十人の関係者一同が集っていた。
「これより、剣の奪取作戦会議を開催する!」
側近による開会の言葉から始まる作戦会議。その内容とは、この地下室に存在する魔法陣。通称、ゲートなる転送装置を使って天空城へ赴き、“魔王を倒す剣”を奪取するというものだった。しかし、この作戦を実行するにあたり幾つかの懸念材料がある。
それは剣を手にするためには、剣を守護する守人と戦う必要があるというものだ。
また、天空城へ移動するためのゲートは一度につき一人づつしか使用が許されず、次に使用するためにはゲートを使用した者が剣を持ち帰る、もしくは使用者本人が命を落とすことが条件となっている。
つまり、剣を手にするには一人で守人へ挑まなければいけないという話だ。
よって、これらの要因を検討思案した結果、剣に挑む役目は王国随一の実力者であるボクが担うことに決まる……はずだったのだが、ここで意外な人物から横槍が入ってしまった。
「余は認めんぞ! こんな人身御供みたいなやり方は!!」
激昂するのは、何を隠そうこの国の王だ。どうやら作戦を相当に危険なものだと判断したことで立腹してるらしい。
まぁ、元々の王は人情家として有名な人物。そしてだからこそ、平和のためとはいえ誰かを犠牲にする乱暴なやり方には納得がいかないのはわかる。だけど……
「御言葉ですが王よ。今の我々には悠長に手段を選んでる余裕なんてありません。それに、こうして議論を重ねてる間でも人々は恐怖と不安に晒されているんですよ?」
「そ、それはわかっておる騎士殿。じゃが、だからといってこんな博打みたいなバカな真似を……」
「“バカな真似”ですって? 現実を見てください王よ!!」
「なにっ!!」
ボクはつい感情むき出しでに言い返す。
「いいか良く聞け! 今も言ったが、人々は日々苦しみ続けているんだ!! ならば、そんな彼等を一刻も早く救済するために責任ある我々は博打でもバカな真似でもやるしかない……違いますか!?」
「…………!!」
激しい口調で正論を捲し立てられ、王はとうとう押し黙る。
「それから言っておきますが、ボクは必ず剣を持ち帰って人々を救います! ですから……ですから、ここはボクを信じて行かせてください!!」
さすがにここまで言うと、王も折れるしかなく……
「騎士殿……スマンない」
やむを得ず、苦渋の表情で了承するしかなかったのだった。




