剣の守人
完結までは、毎日数話ずつ投稿していきますのでよろしくお願いいたします!
―――いつなのか、どこなのか定かでない遠い昔にあった世界。
その世界には“魔王”なる悪しき者が存在していた。人々に多大なる恐怖と絶望をもたらす魔王。かの者を倒さんがため、人々は必死になって抵抗する……しかし悲しいかな、その全ては悉く圧倒的な力によって蹂躙されて崩壊。結果、このまま人の歴史は儚くも終わる……そう誰もが思いかけた時、何と彼等に救いの手を差し伸べる者が現れた!
手を差し伸べたのは神。天の世界から全てを司る全能の存在は人々に希望を与え、同時に、それを得るための過酷な試練も与える。
―――ここは地上より遥か上空に浮かぶ天空城。外見は石壁で覆われる一方、内部全体は強固な大理石の柱や壁によって支えられる構造になっており、中心部に位置する場所には正六角形になる大広間が存在している。
また六角形の辺にあたるそれぞれの壁には扉が備え付けられ、長い通路を経て様々な部屋や場所へと繋がる。
また、片方の突き当たりにある扉は六角形の大広間があり、中央には二十センチくらいの段差がある円柱形の台座には『好きに抜いてくれ』と言わんばかりの光り輝く剣が堂々と突き立てられて佇むが、実際に好きに抜けるかというと、答えは限りなく“否”に近い。
何故なら、剣は決して無防備に晒されている訳ではなかったからだ。
剣の傍らには一人の少女が立っている。
見た目は人間に例えるなら十六、十七歳程度の少女。うなじが隠れるくらいの銀髪、額から禍々しい一本角を生やして眼光は赤く鋭い。
さらに手には自作した槍がしっかりと握られており、如何にも只者ではないオーラを醸し出していた。
尚、彼女の装備は簡易的な白い胸当と、膝下までが隠れるくらいの黒くて丈夫な布を適当に腰で巻いているだけの粗末なもので、両足は裸足だった。
さて、ここまで説明した少女が何者かというと……その正体は直ぐにでも明かされることになる。
「―――また“侵入者”が現れたみたいね」
城の中に自分以外の気配を感じ取った少女。“また”というセリフからは、こういった事態が初めてでないことを窺わせた。
「ふぅ~」
深く息を吐いて気分を落ち着かせる少女。やがてどこからか足音が聞こえてくる。
タッタッタッ……!
どうやら足音の主はこの広間へ向かって来てるようで……
バタァーーーーーーーンッッ!!
勢い良く扉を開いて現れたのは、長い髪を後ろに結んだ冒険者風の中年男。背中には如何にも大物ぶった大刀を担いでいた。
「あれが“魔王を倒す”といわれる剣だな……」
一人言のようなものを呟やいた男は、迷うことなく剣が突き立てられた台座の手前へ移動。そして……
「……思ったよりも普通の形をした剣だな」
一瞥した後、物怖じすることなく手を伸ばす。
「待ちなさい!」
少女の制止に男の手がピタリと止まった。
「何だ小娘? もしやとは思うが、お前が“剣の守人”なのか?」
疑い気味に訊ねる男の問いに対し、小娘と呼ばれた少女は持っていた槍の穂先を向けて淡々と言う。
「それ以外に何がある?」




