表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第2部完結】エレ レジストル〜最強悪魔と旅する生き残り少女の冒険録〜  作者: 月森 かれん
第2部 敗北者達の復讐編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
85/103

第84録 静かな援護

 「どこで待機していればいいのかしら……」


 エリスは作成したポーション箱を抱えたまま、宿泊部屋の前で立ち尽くしていた。

 ジョルジュから具体的なことは何も言われていなかったからだ。


 「でもこのまま動かないわけには……。どうしよう」


 エリスが追われていた頃は、不安から何でもベルゼブブに確認を取っていた。しかし、そのベルゼブブも今は不在。

 エリスは顔を上げると、自分に言い聞かせるように呟く。


 「とりあえず城の外に出よう」


 大きく息を吐くと1階の城門を目指して歩き出した。

城内は先ほどまでの賑やかさが嘘のように静まり返っている。

 結局、エリスは誰とも会わずに城門に辿り着いた。

付近を見回してから小さくため息をつく。


 「誰もいないのね……」


 陽気なオレールですら不在だった。

そのかわり、城下町の方で点々と灯りが灯っていて、ザワザワと声が飛び交っている。


 「町の人達に知らせてるのかしら?」  


 エリスが首を傾げていると、背後から声がかかる。


 「テオドールさん!?こんな所にいたのですか!?」


 振り返ると、若い魔法使いの男が立っていた。


 「はい。何をすればいいのかわからないので、とりあえず外に出たところだったんです。

 迷惑でしたか?」


 「いいえ!とんでもないです!」 

 

 「それで、私は何をしたらいいのでしょうか?町の守護、とは言われましたが、今はまだ大丈夫みたいですし」


 エリスが空を見ながら言う。

視線の先には、町全体を覆っている薄い水色のバリアが張られていた。

 魔法使いの男は唸りながら答える。


 「そう言われますと、少し困りますね。

モンスターはすでに迎撃部隊が対処していますし、実際我々も何割かは手持ち無沙汰でして……」


 「すみません、1つお尋ねしても?」


 「はい!何なりと」


 「町では何が行われているのですか?深夜なのに賑やかだと思ってしまって」


 男は横目で町の方をチラリと見てから話を続ける。


 「ああ。町の方では国民達の避難活動が行われています。

万が一、モンスターの侵入を許すことがあれば命を脅かしますので」


 「そうなんですね。ありがとうございます」


 それからエリスは再び空を見上げた。

バリアの少し下に城の小塔が迫っている。

 エリスは少し考えたあと、男に向き直った。


 「あのバリアは内側からの魔法には耐えられますか?」


 「え?ええ。迎撃部隊では処理が追いつかない時に、グラド様やジョルジュ様が後援をしてくださるので、ある程度は。

 いったい何をお考えで?」


 「城の小塔から周囲を見渡して、モンスターの軍勢のみに攻撃しようかと。

そうしたら、少しは国民の不安も取り除かれるのではないかと思って」


 エリスの言葉に男がたじろぎながら言う。


 「よ、よろしいのですか?テオドールさんに支援していただけるなんて……」


 「はい。先に相手を倒しておくのも守ることに繋がると思いますので」


 「で、では、よろしくお願いします。

それと……手に持たれている物は?」


 男が不安そうに木箱を指さした。

エリスは一瞬それに視線を向けてから、すこしはにかんだ。


 「昨日、調合室をお借りして作成したポーションです。

今まで渡す人が見つからなくて……。あなたに預けてもいいですか?」


 「もちろんです!有効に活用させていただきます!」


 男は笑顔で言うと木箱を受け取る。

エリスは安心したように口元を緩めてから、すぐに真剣な表情になった。


 「では、私はモンスターの軍勢を攻撃してきます。

1回だけですから、すぐに終わると思います」


 「よろしくお願いします。

俺は念のためここで待機していますので」


 エリスは頷いて返事をすると、魔法で宙を上り始めた。

 

 『空中散歩(スカイウォーク)』。

難易度は低いものの、空中でバランスを取るのが難しいため個人差の出る魔法だった。


 エリスは城の小塔だけをまっすぐ見つめながら、フラつきもせずグングン上ってゆく。

 やがて、エリスは小塔の頂点に足をつけた。

それからゆっくりと周囲を見回し、小競り合いが起きている位置を確認する。


 「北と南西に1つ、西に3つ。

アモンが西にいるからか、そっちからの軍が多い。

 わかってはいたことだけど、ここからだと高すぎて、どっちが敵でどっちが味方なのか判別できないわね」


 エリスは1度両目を閉じると、短く呟いた。


 『《梟の目(シュエットアイ)》!!』


 開かれたエリスの右目は、通常よりも瞳が大きくなっている。

小競り合いの位置に目を移して、敵味方の判別をした。 


 「北と南西ははっきり分かれているけど、西の3つは混ざっている。

なら、今のうちに分かれている方角を片付けないと……」 


 エリスはそれらの方向に手のひらを向けると、意識を集中させる。


 「《雷針(ライトニングニードル)》!!」


 虚空から現れた2本の雷を帯びた針は、それぞれのモンスターの軍勢に落下した。

砂煙が上がり、オレンジ色の電気がバチバチと走る。

視界が晴れると、モンスター達は跡形もなく消滅していた。


 「とりあえずは大丈夫みたいね」


 エリスは強化されたままの右目で状況を確かめる。

味方と思われる集団は何が起こったのかわからず、棒立ちになっていた。


 「被害も出てないみたい。

あとは……」


 エリスは西に目を向ける。 

3つの小競り合い場所よりもさらに先。


 「本当に大丈夫よね……?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ