3.7.5 竜の襲撃が終わり
「ああ。
竜が鱗を使った魔道具にも違和感がある。
闇属性の武器についてはダンジョン産だと確定できるだろう。
恐らく、そのキングはダンジョンマスターだろう。
ダンジョンマスターはダンジョン内の魔力で武器や防具を作れるのだ。
闇属性の武器はダンジョン産だ。
同じように、竜の鱗も材料として入手しダンジョンの魔力で加工しただけかもしれぬ」
「そこについてはグランスラム帝国は関係ないと」
「いや、オリジナルとして最初の一つは加工したのではないだろうか。
ミスリル製の闇属性武器ならダンジョンの能力でできるはずだ。
だが、竜の鱗を使ったダンジョン以外の物質から武器を作る場合、オリジナルは外で作られているはずだ。ダンジョンの外で作られた素材についてはそういう制約があるのだ」
「ふむ、ダンジョンという特性があまり知られてないので判断できぬが、ティアマト殿の知識が間違っていることはないだろう。
すると、やはり人の影響を受けていると考えるのが妥当か」
「まあ、今回の襲撃でわかったことは操られた場合、知能が落ちる、少なくとも重力魔法を使ったり、回復魔法を使ったりという高度なことはできないということか。
次の竜が攻めてきたときに改良されている可能性もあるが」
「改良の可能性はあるだろう。だが、重力魔法は封じられている可能性が高い。
次に出ても今回の作戦は有効だろう」
「先日のティアマトとの戦いを考えると有効と思えないのだけど」
「弱点をさらすようであまり言えないのだが、高位竜には高位竜の弱点がある。
今回、一緒にいるので、ジルベールには気が付かれる可能性が高いので先に言っておこう。我ら高位竜は100歳前後なら総魔力量が5万と非常に高い数値だ。
高位な魔術師が50人から100人分の魔力を持っている。
いざ戦えば、100人分なのだ、単純に倒すのは大変だが、時間さえかければ大丈夫なのだ。
そして、竜の魔力は一度使い切るとすべてため込むの数か月から最大で1年もかかってしまう。
人間の作った魔力回復薬も効かないのだ」
「じゃあ、長時間戦えば人間が有利になると。
あれ、じゃあティアマトとの戦いは?」
「まだ、ブレスを2回ほど撃てた。だがそれで終わりだっただろう」
2回なら受けきれた。
「もしかして、攻撃が通じなくて限界だと思っていたのは僕らだけではなかったと」
「狂化状態であったので、正確には覚えていないが、われのブレスが通じずに焦っていたのは確かだった」
「イシスが出てこなくても大丈夫だった?」
「イシス様が主の危機を唱える呼びかけに応え、出てこられたのは我のためだったのかも知れぬ」
そうか、そういう考え方もあるのか。
「では、魔力がある程度回復するのに時間がかかるのならこの冬は家で過ごしてください」
「いいのか?」
「そのかわり、僕らの指導をお願いできればと」
「ふむ、良かろう。
剣の技術も魔法の技術も我の方が上であろう」
そうして僕らは和解し、彼女は冬の間この家で静養することになった。
イシスはティアマトがここにいる間、妖精体のままフワフワと浮いていた。
偶にふたりで話しているようだが内緒話らしく教えてくれない。
イシスは僕の召喚獣だと言ったけど、僕にはあまり話しかけてくることは無い。
どうやら自分のことを思い出すまではあまり親しく接する気が無いようだ。
僕が悪いらしい。
そんなことを言われても、僅か数年の人生で何かした記憶は無いし、前世と言われてもあちらの世界で聖獣に会うことは絶対にないはずだ。
なんのことを言っているのかさっぱりわからない。




