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第13話 都市計画vol.1

「トゥケーさん!今お時間いいですか?村の建築などについて伺いたいのですが」


食器をワゴンに片しているトゥケーさんは手を止めて、俺に向き合った


「もちろん大丈夫でございます。カナデさんようにと、執務室をご用意しておりますので、そちらにご案内します」


おー!執務室!出来る大人感してきたぞー

トゥケーさんはクロエちゃんに指示をだしたようだ

クロエちゃんとの話が終わると俺を2階の執務室に案内してくれた


寝室の隣に執務室はあった。

中には重そうな両袖机があり、机とは反対の壁一面に本棚がズラリとならんだ重厚な部屋だった

雰囲気はバッチリだが、オフィスチェアーが微妙に好みから外れていた

部屋の中央には応接セットがあり、そこに腰掛けると、トゥケーさんも腰掛けるように促した


「色々と分からない事だらけでして、沢山質問させて下さい!」


俺の変な応答にも、トゥケーさんは常に紳士で答えてくれた


「私でお答えできる範囲でしたら、何なりと。領主様からカナデさんが遠い異国からこちらにお出でになったと聞いておりますので、ご遠慮なさらないで下さい」

「はっ!はい、まだこの国にきて浅いもので」

「そうでなかったら、カナデさんをお雇いするのは叶わなかったでしょう。運命の女神に感謝を」


異国から来た何も知らない男、アシュリーが言ったのか。

定番だが、わかり易くていい。

トゥケーさんは話しながら、ゆったりとした上品な動きで紅茶と、草団子みたいな茶菓子を用意してくれた


「では先ず、紙が何枚かほしいのですが、ありますか?」

「ございます。現在は領主様の手元にしかございませんが、数枚でしたらすぐにでも」

「紙は値段が高くて一般庶民には買えない代物なのでは?おいそれとあげていいのですか?」

「いえ、この『コンソラータ王国』ではさほど貴重ではありません、紙だけを作っている生産ギルドが沢山ありますので、現在は資金がなく買いづらい状況ではありますが」


トゥケーさんは少し悲しそうに微笑んだ。

確かに資金はないと、とってよさそうだ。


だが、この中世のような世界で紙が貴重ではないのが以外だ。

量産できる技術があるのだろうか


「分かりました。では後で紙を下さい」

「畏まりました。」



「で。本題ですが」


「街並み全体を作り替えたいと思っています。」



「全体を・・・ですか?」


コクリと俺は首を縦に振った。

トゥケーさんは不思議そうな面持ちだ


「数件ではありますが、建物に被害がないものもごいましょう、それなのに。ですか?」

「はい。被害がないといっても外壁が傷んでいたりしますし、住めるような家の殆どは高級住宅街に集中しています。人工の少ないエリアですので、手を加えても問題ないかと」

「ですが・・」


「一番の理由は・・次にくる災厄に備えてです。」


「次に・・ しかし、くると決まったわけではないでしょう」

「来ないとも思えません」


トゥケーさんは黙り、顎に手を当て考え始めた。

確かに来る来ないの話は、押し問答になってしまう


「カナデさん、領主様をお呼びしても?」

「構いません。まだまだ相談程度の話しですが」

「いえ、カナデさんからは領民を思ってお話をして、おられるのが分かります。お恥ずかしながら、私では全ての質問にお答えできるかどうか」


トゥケーさんは、アシュリーを連れてくると向かいのソファーに座らせて、お茶を出すとアシュリーの横に控えた


「話は聞いたよー、街並みを作り替えたいの?」

「ああ」

「理由は理解できるし、気持ちも分かるわ、だけど正気?何年かける気なの?」

「これだけの被害が出たのに、何も学ばず、何も手を加えず、同じような作りで領民を住まわせるのか?そっちのほうが理解できない」


アシュリーはグッと奥歯を噛み締めたようだ


「でもね、家があるとないでは違うのよ、せめても前のように過ごせるように早くしてあげたいわ」

「それも分かる。だが被害にあうのは俺達じゃない、力のない子供と年寄りが一番に被る。そんな街に住みたいか?」


アシュリーは、はぁーっと大きな溜息をついた

俺は至って真剣だ。日本はそうやって成長してきた、実績と信頼がある


「埒が明かないわね、いいわ、兎に角計画の全てを教えて頂戴」

「全て?」

「そこまで考えているのなら、他も考えているのでしょ?洗いざらい吐いて!」

「ああ」



両袖机 = ワゴンとデスクの天板が繋がって、一体になっているもの。両脇に引き出しがついているのが両袖机で片側についているのが片袖机


応接セット = 3人掛けソファーとローテーブル、向いに3人掛けソファーが一般的な応接セット、他にも3人掛けソファーとローテーブル、向いに1人掛けソファーを二つ並べるなど

バブル時代はかなり流行った金持ちの象徴、敷地の狭い日本で、応接室を持ってゆったりとソファーを置くのがステータスだった。


現在は死語になりつつある。応接セット

あっ!死語も死語か



死語も死語か!

死語も・・・


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