茶鎧之犬
我はテラ。主、クロガネ様に仕えし≪四精領≫の一領。
今、我は空を飛んでいる。されど、我は空を飛ぶ術を持っていない。
故に現状を正確に言うならば空から落下していると表現できるだろう。
何故このような事になっているのか?
その答えは至極単純である。
主に落とされたからである。
☆
『頭部顕在化:神造・巨人之鎧〈土〉』
突如、その声が聞こえたと同人に我が頭部を顕現させたかと思うと
『お前も何か探してきてくれ』
周囲の景色とこの浮遊感、そして遠ざかっていくクロガネ様の姿から察するに飛行中に放り投げられたのだろう。
遺跡で同胞達と久しぶりである外界の会話をしていたとゆうのに…。我、泣いていいだろうか?
☆
さて、短いすぎぎる空の旅が終わり、このまま地面に陥没していても話が始まらない。早めに行動を起こすとしよう。
『形態変化:塗壁』
ふむ、この姿になるたびにかつての記憶を思い出す。
…いや、それを考えるのは詮無きことだな。食材を探すとしよう。
『サテ、『土涛之振撃・進度』カラノ『隆起壁登壌』』
我を中心に三本の亀裂が森の中を広がっていき、その亀裂の中から土壁がせりあがってくる。この魔法の連撃は遺跡では使いづらいので随分と久しぶりに行使したが上手くいったようだ。
しかし、三本と少なかった割には引っかかるものだな。
ん?こいつはなんだ?
「ガフッ…グルルル…」
見た目はかつていたコヨーテに似ている。
しかし、深紅の毛皮に漆黒の爪牙、体躯はだいぶ大きく感じる。額には一対の角が生えている。なによりも全身がずぶ濡れだ。
『遺跡ニイル間ニ種ガ進化シタノカ?ソウ考エルト感慨深イモノガアルナ…』
その魔物は血反吐を吐きながら、血走った眼でこちらを睨みつけている。
「グルゥ…殺…ス…コロス…、グラァァァアアアァァァァッ!」
感傷に遣っているとコヨーテ(仮)が咆哮と共に衝撃波を放ってきた。
あとこいつ今喋らなかったか?
『『隆起壁登壌』カラノ『塔壊』』
「ギャッ!?ガァァァァァァ……」
新たに作り出した隆起壁で衝撃波を防ぎつつ、そのまま崩して魔物を押しつぶす。
『ツイ反射デヤッテシマッタガ…原型ヲトドメテルカ?』
『イヤ、ソノ魔物ハスデニ赤ガ仕留メテイル。他ノ獲物ヲ探シタ方ガ無難ダ』
声の方を向くとアクアがいた。
『ソウカ、確カニ獲物ガ被ルノハ好マシクナイナ。…成程、濡レテイタノハ先ニ手ヲ出シタノハソチラダッタカラカ』
『トハイッテモ赤ガ仕留メタノハコヨーテデアッテソイツデハナカッタガナ』
『ム?』
おかしな言い方だ。
先程イグニスがこの魔物を仕留めたと言うのに、この魔物ではないと言う。
『待テ、コヨーテダト?』
『アァ、ソイツハ赤ガ取リ逃シタコヨーテデ私ガソノ後始末ヲシテイタ。ソウシタラ急ニ魔力ガ高マリ進化ヲオコシタ』
『何?』
☆
テラ
【種族】神が創りしモノ 神造・茶鎧之犬
【ランク】S
【ステータス】
神が創りし動く鎧〈四精領〉の一領、茶鎧の分体であり写し身。
???、???、塗壁を核としている。




