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第19遭遇

 穏やかな春の朝の陽射しを浴びたはちみつ色の髪って、すっごく、すっごく綺麗なんですね。



 ・・・・・・現実逃避をしていると言うなら言ってください!!

 だって、だって、ありえないじゃないですか!!

 昨日まで全く顔見知りではなかった人と、どうして私は学校に向かってるんでしょうか?

 しかもその相手が、学校認定「王子様」なんですよ!

 私の通っている学校まで、実は家から徒歩15分なんです。

 いつもならその15分は決して長い時間ではなく、ある意味程よいウォーキングタイムなわけです。

 けれど、けれど今日は


「・・・・・・」

「・・・・・・」


 沈黙が痛いです(涙)

 まだ歩き出して数分なんですが、学校までがこんなに遠く感じるのは初めてです。


 けれど!!


 そう、家を出た時に決心したじゃありませんか!

 王子様を見つけて謝ろうと!

 今がチャンスです!


「あの、王子様!」


 意を決して掛けた私の声に、チラリと王子様は視線を投げかけてきました。

 な、流し眼というヤツですか!?

 なんだか頭がクラクラするのは気のせいですか!?

 これが「ふぇろもん」と言われるヤツですか!?


 ま、負けられません!!


 私は立ち止り、地についた足にグッと力を入れて王子様と目線を合わせました。


「あ、あの」


 琥珀色の瞳なんて、初めて見ました。

 自身の黒い瞳とは全然違う淡い色味はなんとも不思議な色に見えます。

 引き込まれそうな透き通った瞳。


 なのに


「昨日はすいませんでした!!」


 ガバリと頭を下げて私は謝りました。


 綺麗な、きっと誰もが見つめられたら惹きつけられて止まない瞳をされているのに。

 じっと見つめたその瞳の奥は、とても、とても冷たい色をしているように感じました。

 それが怖くて私は頭を下げることで王子様と合わしていた目線を逸らすことにしました。


 私、なにかしましたか?


 そう聞くことさえも、怖い。

 それに思い出して見れば、昨日呼び出された際にも同じような目をされていたと思います。


 絶対零度の瞳。

 

 正直そんな温度の瞳に見つめられるぐらいなら、土下座でもなんでもして逃げ出してしまいたいです。

 理由もわからないのにそんな瞳で見つめられる言われもありません!!

 ・・・・・・怖くてそんなこと言えませんが。


 ただただ頭を下げたままそんなことを考えていると


 ザッ、ザッ


 足音が遠ざかっていきます。


 あ、あれ? 目を合わした時に立ち止っていてくれたと思ったんですが?

 慌てて顔を上げれば足音と共に遠ざかっていく王子様の姿。


 えーーーと、えーーーと


 追いかけるべきなのでしょうか?

 それともこれ幸いと、距離をあけて歩くべきなのでしょうか?


 ただただ見つめることしか出来ない私に。

 10m、いやいや、20m程離れたところで王子様は立ち止り


「早く来い」


 決して大きな声を出しているわけじゃないと思うのに、その声ははっきりと私の鼓膜を震わせました。


「は、はい!」


 思わず返事をしてしまい、私の意志とは別に駈け出した私の足。



 とりあえず、とりあえず



 アルちゃん、王子様ってヘタレじゃないんですか!?

ここまで読んでくださって、感謝多謝vv

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