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ラップ付き小説 ReversCrown 元気ないやつこっちおいで  作者: egubi
単独ライブ編

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33/60

2-2-2HOMEBASEを作る夜

mcRC「この小説の歌は実際に聴けるから、聴きながら読んでみてくれよな」

聴く場合はこちら:

コピペしてブラウザに貼り付けて、、、。とぶぞ。


feel

https://youtu.be/PAmI_q-HbFU?si=FZuLbe2ZiBzmms51


keep moving

https://youtu.be/QWW73v7L1D0?si=7YEjlRgRRuQhve80


CALL ME OUT

https://youtu.be/Y161l0pX_wA?si=GZjh8_JyrDkMdkLv


READY

https://youtu.be/P2sNZMSjjdU?si=GsE110DD92sYEhr4


SHOWTIME!

https://youtu.be/RrqmZjsded4?si=kZt8W-O5sWGhMJaN


ATTACK

https://youtu.be/tRSOHKXvij8?si=xqiYugwdtS0mTWMu


SAY IT TO ME

https://youtu.be/AdAhmiHwxfM?si=BMBopJs6y9S6hLWM


ORIGIN

https://youtu.be/v7r3_l4mYQM?si=l1vPLtDcNWjW9O6H


nofake

https://youtu.be/oV7c-3TJMgM?si=WDW85lU6iqQsmqZy


決めろ!はコチラ

https://youtu.be/P_2d3hcx3Uw?si=hvvTW3RMB2adTtwN


RUN IT

https://youtu.be/ptZZJdr_2hc?si=1Fw9cRYCdJAd1so4


ORDER

https://youtu.be/AdAhmiHwxfM?si=BMBopJs6y9S6hLWM



「HOMEBASE」


白い紙の上に、その文字だけが残っていた。


CALL ME OUTの歌詞カード。

READYの歌詞カード。

配信後に拾ったコメントのメモ。

まだ冷たい水。

半分だけ食べられたおにぎり。

机の端で光るスマホ。


その全部の真ん中に、mcRCが書いた一語。


HOMEBASE


wataは、その文字をしばらく見ていた。


「……英語にしたんや」


mcRCはペンを持ったまま頷く。


「うん」


EGUIが聞く。


「家じゃなくて?」


「家だけじゃないから」


mcRCは紙から目を離さなかった。


「家でもある」


「基地でもある」


「帰る場所でもある」


「悩む場所でもある」


「味方が揃う場所でもある」


wataは、椅子の背もたれに体を預けて、天井を見た。


「HOMEBASEか」


声に出すと、少しだけ意味が変わる。


ホーム。

ベース。


家。

基礎。

土台。

野球の本塁。

戻る場所。

そこからまた出ていく場所。


EGUIが短く言った。


「戻るだけじゃないな」


mcRCが頷く。


「そう」


「帰る場所って、逃げ込むだけじゃない」


「戻って、整えて、また出る場所」


「だからHOMEBASE」


wataは少しだけ笑った。


「かっこいいやん」


「まだ曲になってない」


「でも、タイトルは強い」


EGUIが言う。


「重い」


wataがすぐ反応する。


「重いのはお前の担当や」


「違う」


「違うん?」


「飯も担当」


「そこは譲らんのか」


mcRCは笑った。


けれど、その笑いはすぐに薄くなった。


HOMEBASE。


この曲は、扱いを間違えると危ない。


親に感謝しろ。

家族を大事にしろ。

帰る場所があるだけありがたいと思え。


そう言ってしまえば簡単だ。


でも、それは違う。


それでは、届かない人がいる。


家が本当に苦しかった人。

親と同じものを見られない人。

感謝という言葉で黙らされてきた人。

「家族なんだから」という言葉で、逃げ場を奪われた人。


そういう人もいる。


だから、ただの親孝行ソングにはできない。


でも一方で、与えられてきたものを、なかったことにはしたくない。


飯がある。

電気がつく。

水が出る。

洗濯された服がある。

帰る場所がある。

誰かが待っているかもしれない。

うるさい小言がある。

その小言が、実は心配だったことにあとで気づく。


それも、確かにある。


mcRCは、紙の端に小さく書いた。


説教にしない。

でも、なかったことにしない。


wataが覗き込む。


「これ、今日のルールやな」


「うん」


EGUIが頷く。


「大事」


wataは少し黙ってから、ペンを取った。


「じゃあ最初に、やらないこと決めようぜ」


mcRCが顔を上げる。


「やらないこと?」


「うん」


wataは紙の上に、少し乱暴な字で書いた。


親に感謝しろとは言わない


EGUIがすぐ言う。


「言いたくなる」


wataが頷く。


「分かる。でも言ったら閉じる」


mcRCも頷いた。


「それはそう」


wataは続けて書く。


家族は絶対にいいもの、とも言わない


EGUIが短く言う。


「家庭による」


「そう」


wataは言った。


「ここ雑にすると、一発で嘘になる」


mcRCは、その言葉に頷いた。


リバクラが大事にしているのは、嘘をつかないことだ。


綺麗なことを言うために、人の痛みを踏まない。


感動させるために、現実を雑に丸めない。


この曲で泣かせたいなら、なおさら丁寧にしなければならない。


wataはもう一つ書いた。


思春期の子を馬鹿にしない


EGUIが少しだけ目を細めた。


「そこもいる」


「いる」


wataは言った。


「親なんて、って言いたくなる時はある」


「自分でバイトしてるし、とか」


「家の金なんて使ってないし、とか」


「飯は出てくるけど、それ親の役目でしょ、とか」


「聞いてる側からすると腹立つけどさ」


mcRCが静かに言う。


「でも、その時期の自分では見えないこともある」


「そう」


wataは頷いた。


「見えないからって、ただ殴っても意味ない」


EGUIが言う。


「見える景色にする」


mcRCは、そこに線を引いた。


見える景色にする。


それが、mcRCの仕事だった。


説明ではなく、景色。


「親に感謝しろ」ではなく、

朝の台所に立つ背中。

夜遅くの玄関の明かり。

弁当箱を洗う音。

風呂の湯気。

充電されたスマホ。

雨の日の傘。

テーブルに置かれた皿。

言いすぎたあとに閉まるドア。

それでも翌朝、炊かれている米。


そういう景色。


wataが、少しだけ目を伏せた。


「やばいな」


mcRCが見る。


「何が?」


「米」


「米?」


「翌朝、炊かれてる米」


EGUIが静かに頷く。


「強い」


wataがEGUIを見る。


「お前の飯担当、ここで本領発揮するな」


EGUIは真顔で言う。


「飯は感情」


wataが吹き出した。


「名言出た!」


mcRCも笑いながら、紙に書いた。


飯は感情


EGUIがすぐ言う。


「書くな」


「これは書く」


「やめろ」


wataは笑いながらスマホを出した。


「リバクラボ名言集に追加」


mcRCが顔を上げた。


「リバクラボ?」


wataは、今さらのように得意げな顔をした。


「ここ、リバクラボでよくない?」


EGUIが少し眉を寄せる。


「また名前増やすんか」


「便利やん」


wataは指を折る。


「曲製作所はリバクラボ」


「ライブはリバクライブ」


「依頼者はリバクライアント」


「キャラはリバクライオン」


「ファンクラブはリバクラブ」


mcRCは、笑いたいのを我慢しながら言った。


「便利すぎるやろ」


wataは胸を張る。


「リバクラ、伸縮性あります」


EGUIが短く言う。


「うるさい」


「え、今の良くなかった?」


「うるさい」


mcRCは笑った。


その笑いで、少しだけ曲の重さがほどけた。


それも必要だった。


HOMEBASEは重い。

でも、重くしすぎると閉じる。


家族の話は、笑いがあるから現実になる。


うるさい母親。

やたら説明したがる父親。

冷蔵庫に勝手に名前を書かれたプリン。

洗濯機から出てきた謎の小銭。

「食べるの? 食べないの?」と毎回聞かれる夕飯。

親と同じリビングで同じ動画を見る気まずさ。

でも、ちょっと笑ってしまう瞬間。


そこに、本当の温度がある。


mcRCは、紙を新しく一枚出した。


「構成、作ろう」


wataがすぐに姿勢を変える。


「3MCの景色分けやな」


「うん」


EGUIも水を置いた。


「分けろ」


mcRCは、紙に三つの枠を作った。


mcRC

wata

EGUI


まず、自分の枠に手を置く。


「俺は、実家の景色から入る」


wataが頷く。


「Scene Makerやな」


「うん」


mcRCは、ゆっくり言葉を出す。


「まだ家にいる子」


「親にうるさいって思ってる」


「朝、勝手に電気がついてる」


「飯がある」


「洗濯物が畳まれてる」


「でも、それを“普通”と思ってる」


「自分でバイトしてるから、自分でやってるつもり」


EGUIが短く言う。


「でも全部じゃない」


「そう」


mcRCは頷いた。


「自分でやってる部分はある」


「そこは否定しない」


「でも、見えてない支えもある」


wataが言う。


「そこのバランス大事やな」


「“お前は何もしてない”にしたら違う」


「そう」


mcRCはペンで枠の中に書いた。


まだ家にいる子。

自立したつもり。

でも支えの総量は見えていない。


wataは、その文字を見ながら言った。


「フックで説教しないなら、Verse 1はかなり生活感いるな」


「いる」


「電気、水、飯、洗濯、玄関」


「うん」


EGUIが言う。


「靴」


mcRCが見る。


「靴?」


「帰ったらある」


wataが頷く。


「家族の靴が玄関にある感じか」


「そう」


EGUIは短く言った。


「誰かがいる証拠」


mcRCは、それを書いた。


玄関の靴=誰かがいる証拠


「いいな」


wataが言う。


「EGUI、今日冴えてる」


「いつもやろ」


「いつもは飯」


「飯も冴えてる」


wataは諦めたように笑った。


次にwataの枠。


wataは、自分でペンを取った。


「俺は、一人暮らしにする」


mcRCは頷く。


「それがいいと思う」


wataは言葉を出しながら書く。


「自由」


「誰にも怒られない」


「夜中に好きな音出せる」


「飯も好きなもの食える」


「でも、部屋が散らかる」


「洗濯が溜まる」


「冷蔵庫が空」


「病気した時に、急に静かすぎる」


EGUIが頷く。


「分かる」


wataは少し笑った。


「お前、風邪引いても黙って寝てそう」


「寝る」


「誰にも言わんの?」


「言わん」


mcRCが言う。


「それは言え」


EGUIは少しだけ視線を逸らした。


「……言う」


wataがすぐ反応する。


「今、CALL ME OUT効いた」


「効いてない」


「効いてた」


「うるさい」


笑いながらも、wataは紙に書き続けた。


一人暮らし。

自由と空白。

住む場所と帰る場所の違い。


wataはその下に、少しリズムをつけて言った。


「住んでる場所ならある」


「でも、帰れる場所とは違う」


mcRCが顔を上げる。


「それ、強い」


EGUIが頷く。


「残せ」


wataはすぐ書いた。


住む場所と、帰る場所は違う


wataは小さく笑った。


「これ、俺のVerseの芯やな」


「うん」


mcRCは言った。


「一人で生きてるつもりになって、初めて家の支えが見える」


wataが頷く。


「でも、感動だけにしない」


「家賃の痛みも入れる」


EGUIが言う。


「家賃は強い」


wataが吹いた。


「家賃は強い、やめろ」


mcRCが笑いながら書いた。


家賃は強い


EGUIがまた言う。


「書くな」


「いや、これはwataのVerseで使える」


wataがペンを回す。


「家賃、光熱、水道、Wi-Fi」


「全部名前持って殴ってくる」


「親の小言より、請求書の方が無言で怖い」


mcRCが笑いながら頷く。


「それいい」


wataはすぐにリズムを取り始めた。


「rent, light, water, Wi-Fi」


「全部 monthly に来る punchline」


mcRCが頷く。


「wataっぽい」


EGUIが言う。


「意味も通る」


wataは少し得意げに笑った。


「来たね」


次に、EGUIの枠。


EGUIは、少しだけ黙った。


wataもmcRCも待った。


EGUIは、言葉を急がない。


出す時は短い。

でも、その前にかなり見ている。


しばらくして、EGUIが言った。


「同じテーブル」


mcRCがペンを止める。


「同じテーブル?」


「うん」


EGUIは続ける。


「親でも子でも」


「喧嘩してても」


「気まずくても」


「同じテーブルで飯食ったら、少しだけ戻る」


wataは、少しだけ茶化そうとして、やめた。


これは、茶化すところではなかった。


EGUIは続ける。


「ありがとうって言えない日もある」


「言いたくない日もある」


「でも、皿を置く」


「箸を出す」


「水を注ぐ」


「それも言葉」


mcRCは、静かに紙へ書いた。


同じテーブル。

言えないありがとう。

皿、箸、水。

行動も言葉。


wataが小さく言った。


「EGUI、今日のVerseヤバいかもな」


EGUIは何も返さなかった。


ただ、続けた。


「最後は責めない」


「帰れ、でもない」


「帰る場所を持て、でもない」


「ただ、気づけ」


mcRCが見る。


EGUIは、少しだけ目を細めた。


「当たり前にしてるものの中に、誰かの時間がある」


「それに気づけ」


wataは、ゆっくり頷いた。


「強い」


mcRCは、その言葉を大きく書いた。


当たり前の中に、誰かの時間がある。


部屋が静かになった。


HOMEBASEの輪郭が、少しずつ見えてきた。


mcRC:まだ家にいる子の景色。

wata:一人暮らしの自由と空白。

EGUI:同じテーブルに戻る意味。


三つの景色。


一つのテーマ。


帰る場所。


でも、そこからもう一つ必要だった。


フック。


wataが言った。


「フック、難しいぞ」


mcRCも頷く。


「難しい」


「看板ワードはHOMEBASEやろ」


「うん」


「でも、“ありがとう家族”みたいにした瞬間終わる」


EGUIが短く言う。


「終わる」


wataはペンをくるくる回した。


「HOMEBASE」


「戻る場所」


「灯り」


「靴」


「飯」


「うるさい声」


「味方」


「Base」


「Place」


「Faith」


「……韻は踏める」


mcRCが言う。


「でも分かりやすさ優先」


「うん」


wataは頷いた。


「フックは簡単でいい」


「リバクルーが口ずさめるやつ」


EGUIが言う。


「重くしすぎるな」


「そう」


mcRCは、別の紙に大きく書いた。


HOMEBASE

帰れる場所がある

HOMEBASE

言えない日もある


wataが首を傾げる。


「悪くないけど、ちょっと説明っぽい」


「うん」


mcRCも頷いた。


「もう少し歌える方がいい」


wataがリズムを取りながら言う。


「HOMEBASE, HOMEBASE」


「灯りがまだ there」


「HOMEBASE, HOMEBASE」


「言えない thanks, but I know」


mcRCが少し考える。


「英語混ぜすぎると軽くなるかも」


「たしかに」


EGUIが言う。


「ありがとうは言わん方がいい」


wataが見る。


「言わん?」


「最後まで言えない方がリアル」


mcRCが頷いた。


「それ分かる」


「言えないけど、気づいてる」


「言えないけど、次は皿を下げる」


wataが指を鳴らした。


「それや」


「ありがとうって言うより、皿を下げる」


EGUIが頷く。


「行動」


mcRCは書いた。


言えないなら、皿を下げろ。


wataが吹き出した。


「急に生活指導!」


EGUIが真顔で言う。


「大事」


「大事やけど、フックにするなよ」


mcRCも笑った。


「フックにはしない」


でも、その考えは残した。


感謝は、言葉だけではない。


言えない時は、行動で返す。


自分の茶碗を洗う。

洗濯物を出す。

扉を強く閉めない。

「飯いる?」に「いる」とだけでも返す。

たまには「うまい」と言う。

それだけでも、何かが変わる。


HOMEBASEは、壮大な家族愛の歌ではない。


そういう小さい行動の歌だ。


wataは少しずつ、フックを口にし始めた。


「HOMEBASE, HOMEBASE」


「まだ灯ってる light」


「HOMEBASE, HOMEBASE」


「言葉にならない night」


mcRCが頷く。


「いい」


EGUIが言う。


「nightは使える」


wataは続ける。


「HOMEBASE, HOMEBASE」


「帰るだけじゃない」


「HOMEBASE, HOMEBASE」


「また出ていくための place」


mcRCが顔を上げた。


「それ」


wataも止まる。


「どれ?」


「帰るだけじゃない」


EGUIも頷く。


「それが芯」


mcRCは、紙に大きく書いた。


帰るだけじゃない

また出ていくための場所


wataは、その言葉を見てゆっくり頷いた。


「いいな」


「家に戻って終わりじゃなくて」


「そこからまた外へ出る」


「自立と矛盾しない」


mcRCは言った。


「そう」


「HOMEBASEは、自立を否定しない」


「むしろ、自立するために帰る場所がいる」


EGUIが短く言う。


「整える場所」


「うん」


mcRCは頷いた。


「整える場所」


wataは、フックをもう一度作り直す。


「HOMEBASE, HOMEBASE」


「帰るだけじゃない」


「HOMEBASE, HOMEBASE」


「また出ていくための場所」


mcRCは口の中で繰り返す。


歌いやすい。


意味も分かる。


説教ではない。


EGUIが少しだけ頷いた。


「いい」


wataが笑う。


「採用?」


mcRCは頷いた。


「仮採用」


「よし」


wataは紙の上に線を引いて、Hook案として囲った。


HOMEBASE, HOMEBASE

帰るだけじゃない

HOMEBASE, HOMEBASE

また出ていくための場所


ただ、まだ足りない。


フックにはもう少し、温度がいる。


mcRCは考えながら言った。


「灯り、入れたい」


wataが頷く。


「HOMEBASE, HOMEBASE

まだ灯ってる light」


EGUIが言う。


「lightはいい」


mcRCは、そこに加える。


HOMEBASE, HOMEBASE

まだ灯ってる light

HOMEBASE, HOMEBASE

帰るだけじゃない


wataがリズムを取る。


「いいけど、ちょっと英語が浮くかも」


「じゃあ“灯り”でいい」


EGUIが言った。


「灯りでいい」


wataは頷いた。


「HOMEBASE, HOMEBASE

まだ灯ってる灯り」


「灯ってる灯り、重なるな」


mcRCが笑う。


「たしかに」


wataは少し考える。


「HOMEBASE, HOMEBASE

消えない灯り」


EGUIが頷く。


「いい」


mcRCも頷く。


「いい」


フックが少し見えてきた。


HOMEBASE, HOMEBASE

消えない灯り

HOMEBASE, HOMEBASE

帰るだけじゃない


wataが続ける。


「言えないままでも」


「皿を下げた日」


EGUIが真顔で頷く。


「いい」


mcRCは笑った。


「皿、入るんか」


wataも笑う。


「でも、これめっちゃHOMEBASEやん」


「確かに」


EGUIが言う。


「皿は強い」


wataが肩を震わせた。


「今日、飯と皿が強すぎる」


でも、確かに強かった。


ありがとうと言えない子が、翌朝、黙って自分の皿を流しに持っていく。


親は何も言わない。


でも、少しだけ分かる。


そういう変化。


それは、曲にしたい景色だった。


mcRCは、Hookの横に小さく書いた。


言葉より先に、皿を下げる。


「これ、Bridgeかな」


wataが頷く。


「Bridgeでいい」


EGUIも頷く。


「いい」


次に、Verse 1。


mcRCはペンを握った。


「俺のVerseは、朝から入る」


「朝?」


「うん」


「目覚まし」


「台所」


「親の声」


「まだ眠い子」


「反抗期」


「でも、そこに全部ある」


wataが言う。


「一人の少年だけにはしないって話やったよな」


「うん」


mcRCは頷いた。


「主人公っぽい一人は出してもいいけど、その子だけの話にはしない」


「似たような子がたくさんいる感じにする」


EGUIが言う。


「群れ」


wataが笑う。


「思春期ボーイズ集合体」


「言い方」


mcRCは苦笑した。


「でも、そう」


「一人を吊るすんじゃなくて、多くの人が通る見えなさとして描く」


wataは真面目に頷いた。


「そこ大事」


mcRCは最初のラインを考えた。


「朝七時」


「台所の音」


「母親の声」


「うるさいなって布団で返す」


「でも、炊飯器はもう鳴ってる」


wataが頷く。


「映像ある」


EGUIが言う。


「いい」


mcRCは、ゆっくり書き出した。


朝七時 台所の音

「起きなさい」って声に返す低い文句

うるさいな 分かってるって

その横で炊飯器はもう湯気を立ててる


wataがすぐ言った。


「長いけど、景色はいい」


「あとで削る」


EGUIが言う。


「湯気いい」


mcRCは頷いた。


「湯気は残す」


次。


自分でバイトしてるし

俺は俺でやってるし

そう言いながら

洗われたシャツに袖を通してる


wataが少し声を漏らした。


「あー」


EGUIが頷く。


「刺さる」


wataは言った。


「これはいい」


「“自分でやってるし”の横に“洗われたシャツ”がある」


「説明してないけど、見える」


mcRCは頷いた。


「そこ」


説教ではなく、矛盾を見せる。


自分でやっている部分はある。

でも、全部ではない。


その全部ではない部分を、静かに見せる。


Verse 1の方向が固まった。


次にwata。


wataは、少し前のめりになった。


「俺は一人暮らしな」


「うん」


「自由で最高」


「でも、空っぽ」


「まずそこから入る」


wataは、リズムを取りながら言った。


ワンルーム 誰にも言われないルール

夜中のカップ麺 自由ってやつを食う


mcRCが笑う。


「いい」


EGUIが言う。


「体に悪い」


wataが振り向く。


「今は歌詞!」


「でも悪い」


「分かってる!」


wataは続ける。


rent, light, water, Wi-Fi

毎月きっちり来る無言のreply

親の小言より静かな請求

そこで初めて分かる生活の重量


mcRCが手を叩いた。


「いい」


EGUIも頷く。


「重量いい」


wataは少し得意げに笑った。


「来たやろ」


「来た」


「ここで韻を踏みながら生活に落とす」


mcRCは頷いた。


「wataのVerse、これかなり大事」


「親のありがたみを語るんじゃなくて、請求書で気づく」


「それ」


EGUIが言う。


「現実は強い」


wataは頷いた。


「現実は韻より硬い」


mcRCが笑って書く。


現実は韻より硬い


wataがすぐ言う。


「それは書くな!」


「書く」


「名言扱いすな!」


EGUIが静かに言う。


「売れる」


「物販にするな!」


また笑いが戻る。


次にEGUI。


EGUIは、紙を見ながらゆっくり言った。


「俺は、帰った後」


mcRCが聞く。


「帰った後?」


「うん」


「大人になってからでもいい」


「一人暮らしして、久しぶりに帰る」


「親が年取ってる」


部屋が少し静かになる。


EGUIは続ける。


「前より背中が小さい」


「でも、出てくる飯の量は多い」


wataが小さく笑った。


「それ、分かる」


mcRCも頷く。


EGUIは言う。


「うるさいと思ってた声が、少し弱くなってる」


「その時に、言えなかったありがとうが来る」


wataは、茶化さなかった。


EGUIは紙に短く書いた。


久しぶりに帰った夜

前より小さく見えた背中

それでも皿だけ多い

何も言わずに置かれる飯


mcRCは、そのラインを見て、しばらく黙った。


wataも、何も言わなかった。


EGUIは続けた。


ごめんもありがとうも

言えないまま箸を持つ

でも今日は

自分の皿くらい流しに持つ


wataが、ゆっくり息を吐いた。


「……強い」


mcRCは頷いた。


「これは強い」


EGUIは紙から目を離さない。


「感謝は言葉だけじゃない」


「でも、言葉にもした方がいい」


wataが少し笑った。


「どっちやねん」


EGUIは短く言う。


「両方」


mcRCは頷いた。


「両方やな」


言えない日もある。

でも、ずっと言わないでいいわけではない。


行動で返す日もある。

いつか言葉にする日もある。


HOMEBASEは、そこまで行ける曲にしたかった。


wataが、ふと画面を見た。


「これ、泣く人いるな」


mcRCは頷いた。


「いると思う」


EGUIが言う。


「泣かせにいくな」


mcRCはすぐ頷いた。


「泣かせにいかない」


「景色を置く」


「泣くかどうかは、その人の中で決まる」


wataが言う。


「いい」


「リバクラボ、真面目やな今日」


EGUIが言う。


「いつも真面目」


wataが笑う。


「だいたい飯で崩れるけどな」


「飯は真面目」


「はいはい」


曲の骨格は見えた。


でも、まだ足りない。


Bridge。


三人の景色をどう合流させるか。


mcRCは、紙の真ん中に線を引いた。


「Bridgeは、家族だけに閉じない方がいい」


wataが頷く。


「HOMEBASEは、家族の曲だけど、それだけじゃない」


「そう」


「仲間にも広げられる」


EGUIが言う。


「帰れる場所は、人でできる」


mcRCは、はっとしたように顔を上げた。


「それ」


wataもすぐ反応する。


「それ、Bridgeの芯やな」


EGUIは短く言う。


「場所じゃなくて、人」


mcRCは書いた。


帰れる場所は、人でできる。


wataが静かに言った。


「家がなくても、HOMEBASEは作れる」


mcRCは頷いた。


「うん」


「ここを入れないと、家族関係がしんどい人を置いていく」


EGUIが頷く。


「置いていくな」


mcRCは続けた。


「実家がHOMEBASEの人もいる」


「仲間がHOMEBASEの人もいる」


「ライブがHOMEBASEになる人もいる」


「自分で作っていく人もいる」


wataが言う。


「それ、かなり大事」


「家族を肯定しながら、家族に閉じない」


「そう」


mcRCはBridge案を書いた。


帰れる場所は 住所じゃない

誰かの声が まだ消えない場所

血のつながりだけじゃなく

戻っていいよって言える人


wataが頷く。


「いい」


EGUIが言う。


「説教じゃない」


「うん」


mcRCは安心したように息を吐いた。


この曲の危なさが、少しだけ越えられた気がした。


家族で見ている人へ。

親と共有できる人へ。

それを羨ましいと思う人へ。

家族と共有できない人へ。

与えられた資源にまだ気づけない人へ。

気づいているけど、ありがとうが言えない人へ。

帰る場所がある人へ。

帰る場所を作りたい人へ。


全員を一つの答えに押し込めない。


それでも、HOMEBASEという言葉でつなぐ。


wataが、フックをもう一度歌うように口ずさんだ。


「HOMEBASE, HOMEBASE」


「消えない灯り」


「HOMEBASE, HOMEBASE」


「帰るだけじゃない」


「HOMEBASE, HOMEBASE」


「また出ていくための場所」


EGUIが、少しだけ低い声で続けた。


「言えない日もある」


mcRCが続ける。


「でも、見えてるものはある」


wataが言う。


「皿を下げた日から」


EGUIが締める。


「少しだけ変わる」


三人は、同時に黙った。


今の一連の流れは、まだ荒い。


でも、曲になりそうだった。


mcRCは、ゆっくり頷いた。


「これでいこう」


wataが息を吐く。


「逆オーダー、一発目、重いわ」


EGUIが言う。


「でも必要」


「それ昨日も言ってた」


「必要やからな」


mcRCは笑った。


そして、HOMEBASEと書かれた紙を見た。


この曲は、リスナーから「作ってください」と言われた曲ではない。


コメント欄の端にあった。

親子で見ている声。

羨ましい声。

反発する声。

分かっていない声。

分かっているけど言えない声。


その全部を見て、mcRCが拾った。


そして、自分から二人に投げた。


「これを曲にしたい」と。


逆オーダー。


言葉だけなら少しふざけている。


でも、やっていることは本気だった。


wataが言った。


「次、歌詞固める?」


mcRCは時計を見た。


夜はもう遅い。


いつもの悪い癖なら、ここからさらに二時間話してしまう。


でも、READYで歌った。


睡眠も準備だ。

体も資本だ。

言ったことには責任が生まれる。


mcRCは、少し悔しそうに言った。


「今日はここまで」


wataが驚く。


「え、今いいところやん」


「だから止める」


EGUIが頷く。


「寝ろ」


wataが頭を抱えた。


「また睡眠に負けた」


mcRCは笑った。


「負けじゃない。準備」


wataは悔しそうにしながらも、紙を丁寧にまとめた。


「じゃあ、HOMEBASEは次回リバクラボで」


EGUIが言う。


「リバクラボ、採用なんか」


wataは真顔で頷いた。


「採用です」


mcRCも笑って頷いた。


「まあ、便利やしな」


EGUIは少しだけ諦めたように水を飲んだ。


「名前増えすぎや」


wataがすぐ言う。


「リバクラは伸縮性あります」


「それ二回目」


「大事なことは二回言う」


mcRCは、最後にHOMEBASEの紙の下へ一行だけ書き足した。


帰る場所は、もらうだけじゃない。

気づいて、守って、作っていく。


三人は、それをしばらく見ていた。


外の夜は静かだった。


誰かの家では、まだ台所の電気がついているかもしれない。

誰かの部屋では、親子が同じ曲を聴いているかもしれない。

誰かは親に見せられず、イヤホンでひとり聞いているかもしれない。

誰かは「親なんて」と言いながら、洗われた服に袖を通しているかもしれない。

誰かは、もう帰る家がなくて、それでも自分のHOMEBASEを探しているかもしれない。


その全部を、曲にする。


できるかは分からない。


でも、作る。


mcRCは紙を折らずに、クリアファイルへ入れた。


wataはスマホの画面を閉じた。


EGUIはコンビニ袋を片付けた。


そして三人は、少しだけ静かに制作部屋を出た。


HOMEBASEは、まだ完成していない。


でも、もうただのタイトルではなかった。

mcRC「この小説の歌は実際に聴けるから、聴きながら読んでみてくれよな」

聴く場合はこちら:

コピペしてブラウザに貼り付けて、、、。とぶぞ。


feel

https://youtu.be/PAmI_q-HbFU?si=FZuLbe2ZiBzmms51


keep moving

https://youtu.be/QWW73v7L1D0?si=7YEjlRgRRuQhve80


CALL ME OUT

https://youtu.be/Y161l0pX_wA?si=GZjh8_JyrDkMdkLv


READY

https://youtu.be/P2sNZMSjjdU?si=GsE110DD92sYEhr4


SHOWTIME!

https://youtu.be/RrqmZjsded4?si=kZt8W-O5sWGhMJaN


ATTACK

https://youtu.be/tRSOHKXvij8?si=xqiYugwdtS0mTWMu


SAY IT TO ME

https://youtu.be/AdAhmiHwxfM?si=BMBopJs6y9S6hLWM


ORIGIN

https://youtu.be/v7r3_l4mYQM?si=l1vPLtDcNWjW9O6H


nofake

https://youtu.be/oV7c-3TJMgM?si=WDW85lU6iqQsmqZy


決めろ!はコチラ

https://youtu.be/P_2d3hcx3Uw?si=hvvTW3RMB2adTtwN


RUN IT

https://youtu.be/ptZZJdr_2hc?si=1Fw9cRYCdJAd1so4


ORDER

https://youtu.be/AdAhmiHwxfM?si=BMBopJs6y9S6hLWM

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この物語のために制作したイメージ楽曲です。

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