5-2-8 ReShiNaグルチャ 水の人、森の人、風の人
rena@水の人:
帰った?
shiho@森の人:
帰った。
楽器を置いた。
肩が人間に戻った。
natsu@風の人:
帰った。
耳だけ、まだ会場。
rena@水の人:
わかる。
低音がまだ胸の奥にいる。
shiho@森の人:
私は床から来た。
足裏にまだいる。
natsu@風の人:
床、強かった。
あれは床が歌ってた。
rena@水の人:
床が歌ってたは、ちょっとわかる。
shiho@森の人:
いや、わかるんだ。
natsu@風の人:
低い音は、だいたい床の担当。
rena@水の人:
今日のnatsu、最初から風の人だね。
natsu@風の人:
風の人なので。
shiho@森の人:
それ、便利すぎる。
rena@水の人:
というか、この表示名なに?
natsu@風の人:
似合うと思った。
rena@水の人:
水の人?
natsu@風の人:
うん。
shiho@森の人:
森の人。
rena@水の人:
なんでそれ?
natsu@風の人:
気に入った。
rena@水の人:
答えになってないけど、気に入ったなら仕方ない。
shiho@森の人:
私は嫌いじゃない。
natsu@風の人:
決まり。
rena@水の人:
決まった。
shiho@森の人:
水と森と風の反省会。
natsu@風の人:
反省してない。
まだ揺れてる。
rena@水の人:
揺れてたね、今日。
natsu@風の人:
見ないで。
shiho@森の人:
風なのに見られるの嫌なんだ。
natsu@風の人:
風にもプライバシーがある。
rena@水の人:
風のプライバシー、強い。
⸻
rena@水の人:
まず言っていい?
shiho@森の人:
どうぞ。
natsu@風の人:
流して。
rena@水の人:
全然、別ジャンルすぎた。
shiho@森の人:
それは本当にそう。
natsu@風の人:
森から急に高速道路。
rena@水の人:
わかる。
私たち、普段は水辺とか森とか風とか言ってるのに。
shiho@森の人:
今日は、光、低音、人、人、人、スマホ、歓声。
natsu@風の人:
人が多いと、風が曲がる。
rena@水の人:
一万一千人って、数字で聞くより怖いね。
shiho@森の人:
客席が海みたいだった。
natsu@風の人:
でも波じゃない。
人の壁。
rena@水の人:
音も大きかった。
shiho@森の人:
大きかった。
natsu@風の人:
耳が一回、会議を離脱した。
rena@水の人:
耳が会議を離脱。
shiho@森の人:
でも分かる。
途中で耳が「私はここまでです」って言ってた。
rena@水の人:
音が大きくて、耳が死ぬかと思った。
natsu@風の人:
耳、よく生きて帰った。
shiho@森の人:
次は耳栓いる。
rena@水の人:
いる。
絶対いる。
natsu@風の人:
耳栓しても、床から来そう。
shiho@森の人:
低音は足で聴くからね。
rena@水の人:
なんか今日、音楽の話してるはずなのに、身体の部位が多い。
natsu@風の人:
耳、足、胸。
ヒップホップは身体に来る。
shiho@森の人:
それは今日わかった。
⸻
shiho@森の人:
あと、楽器。
rena@水の人:
邪魔だったね。
natsu@風の人:
ふたり、入口で地形変えてた。
rena@水の人:
地形?
natsu@風の人:
アコギとバスクラで、通路が山。
shiho@森の人:
山ではない。
natsu@風の人:
森の人が山を否定してる。
rena@水の人:
ややこしい。
shiho@森の人:
でも、邪魔だったのは認める。
rena@水の人:
邪魔だけど、あると安心するんだよね。
shiho@森の人:
わかる。
持っていると、自分の重心が戻る。
natsu@風の人:
私は笛があると、逃げ道がある。
rena@水の人:
逃げ道?
natsu@風の人:
音に逃げられる。
shiho@森の人:
それはnatsuっぽい。
natsu@風の人:
風なので。
rena@水の人:
便利な言葉、二回目。
shiho@森の人:
でも本当に入場に時間かかった。
rena@水の人:
私たちだけ別レーンだったもんね。
natsu@風の人:
楽器持ちレーン。
ちょっと冒険者っぽかった。
shiho@森の人:
私は武器検査みたいな気持ちになった。
rena@水の人:
アコギもケースに入ってると、急に物々しい。
natsu@風の人:
shihoのは、完全に何か封印されてた。
shiho@森の人:
バスクラです。
natsu@風の人:
大きな森の筒。
shiho@森の人:
言い方。
rena@水の人:
でも、バスクラのケースって本当に大きいよね。
natsu@風の人:
ふたりは楽器。
私は棒。
shiho@森の人:
natsuはいいねぇ。
棒一本で。
natsu@風の人:
棒じゃない。
rena@水の人:
フルート。
natsu@風の人:
風の通り道。
shiho@森の人:
急に詩人。
natsu@風の人:
棒って言われたから、守った。
rena@水の人:
それは守っていい。
shiho@森の人:
ごめん。
風の通り道。
natsu@風の人:
よし。
rena@水の人:
満足してる。
⸻
rena@水の人:
で、正直な話していい?
shiho@森の人:
いい。
natsu@風の人:
水門あけて。
rena@水の人:
水門って。
natsu@風の人:
水の人だから。
rena@水の人:
今日、リバースクラウンだけ、かっこよかった。
shiho@森の人:
うん。
natsu@風の人:
あそこだけ、空気が入った。
rena@水の人:
それ。
あそこだけ息できた。
shiho@森の人:
先攻の人たちも、上手かったとは思う。
rena@水の人:
うん。
たぶんすごい。
周りも盛り上がってたし、音も揃ってたし、あれが好きな人にはめちゃくちゃ楽しいんだと思う。
natsu@風の人:
でも、風が入る隙間がなかった。
shiho@森の人:
ずっと前へ押してくる感じだった。
rena@水の人:
「ほら、乗れよ」って言われてる感じ。
natsu@風の人:
私、乗れって言われると止まる。
shiho@森の人:
それは分かる。
rena@水の人:
知らない人に急に乗れよって言われても、私は嫌だなって思った。
natsu@風の人:
うん。
知らない波に、急に乗れない。
shiho@森の人:
周りは乗ってたから、あの人たちは悪くない。
合う人には合う。
rena@水の人:
そう、否定じゃない。
ただ、私には遠かった。
natsu@風の人:
座る場所がなかった。
shiho@森の人:
聴き手の余白が少なかった、ということ?
natsu@風の人:
たぶんそれ。
でもそんな賢い言い方じゃなくて。
「ここ、私いていい?」ってなった。
rena@水の人:
わかる。
私は、すごい音の中に立ってるのに、ちょっと外にいた。
shiho@森の人:
音遊びとしては高度だった。
でも、私は人が見える方に反応する。
natsu@風の人:
先攻は、音が走ってた。
リバクラは、人が歩いてきた。
rena@水の人:
それいい。
shiho@森の人:
natsu、今日たまに核心を置くね。
natsu@風の人:
たまに落ち葉が刺さる。
rena@水の人:
落ち葉は普通刺さらない。
natsu@風の人:
乾いてたら刺さる。
shiho@森の人:
森としては否定しにくい。
⸻
rena@水の人:
でも、どっちも同じジャンルなんだよね。
shiho@森の人:
ヒップホップ。
natsu@風の人:
同じ森に見えない木。
rena@水の人:
また森。
natsu@風の人:
shihoの日だから。
shiho@森の人:
今日、私の日なの?
natsu@風の人:
大きい音で森が揺れてた。
shiho@森の人:
揺れてたね。
バスクラのケースも揺れた。
rena@水の人:
ヒップホップって、一言で言ってもこんなに違うんだね。
shiho@森の人:
先攻は、音の密度と勢い。
rena@水の人:
リバクラは、名前と景色と人。
natsu@風の人:
あと、すきま。
shiho@森の人:
すきま、大事。
rena@水の人:
そう。
一曲目で「誰がいるか」がわかった。
shiho@森の人:
mcRCさんは場面を置いていた。
natsu@風の人:
夜のコンビニ、見えた。
rena@水の人:
wataさんは、言葉が細かいのに、今日は置いていかなかった。
shiho@森の人:
韻が硬いのに、客席の足が残っていた。
natsu@風の人:
速いのに、風穴があった。
rena@水の人:
EGUIさんは、まっすぐだったね。
shiho@森の人:
まっすぐ。
でも、押しつけではなかった。
natsu@風の人:
太い線。
でも、殴ってこない。
rena@水の人:
それすごく大事。
shiho@森の人:
BEEFさんも、後ろにいるのに見えた。
natsu@風の人:
後ろの風向き係。
rena@水の人:
暴れ牛なのに?
natsu@風の人:
牛が風を読む日もある。
shiho@森の人:
今日のnatsu、自由すぎる。
natsu@風の人:
グルチャは風通しがいい。
⸻
shiho@森の人:
ROLL CALL、よかった。
rena@水の人:
うん。
あれ、普通なら内輪っぽくなりそうなのにね。
natsu@風の人:
内輪の扉を、外から開けてた。
shiho@森の人:
一曲目で名前を出していたからだと思う。
rena@水の人:
Reverse Crownで、三人の名前と役割が見えたあとに、ROLL CALLだから入れた。
natsu@風の人:
いきなり呼ばれたら、逃げる。
rena@水の人:
私も。
shiho@森の人:
でも、あの順番なら、呼ばれても怖くなかった。
natsu@風の人:
知らない名前が、ちょっと知ってる音になってた。
rena@水の人:
それいいね。
shiho@森の人:
あと、BEEFさんの紹介があったのもよかった。
rena@水の人:
あれ大事だった。
後ろで何してる人か、ちゃんとわかった。
natsu@風の人:
あの人、音をほどいてた。
shiho@森の人:
壊していたようにも見えた。
natsu@風の人:
壊して、風を通して、また結んでた。
rena@水の人:
それ、怖いけど綺麗。
shiho@森の人:
うん。
怖いけど、ちゃんと戻すから見ていられた。
natsu@風の人:
戻せない破壊は怖い。
戻す破壊は、職人。
rena@水の人:
BEEFさん、職人だったね。
shiho@森の人:
愛想はないけど。
natsu@風の人:
愛想は置いてきた。
rena@水の人:
どこに?
natsu@風の人:
ターンテーブルの下。
shiho@森の人:
拾ってあげて。
⸻
rena@水の人:
KEEP MOVINGは、正直助かった。
shiho@森の人:
分かる。
natsu@風の人:
耳は疲れてたけど、身体がほどけた。
rena@水の人:
「一分だけでいい」って、ちょうどよかった。
shiho@森の人:
大きいことを言われたら、もう受け止めきれなかったと思う。
natsu@風の人:
人生変えろって言われたら、帰る。
rena@水の人:
帰るんだ。
natsu@風の人:
風なので。
shiho@森の人:
また出た。
natsu@風の人:
でも、一分なら残る。
rena@水の人:
一分ならできる気がする。
shiho@森の人:
動くことへの圧が少なかった。
natsu@風の人:
軽い風。
押さない。
背中に触るだけ。
rena@水の人:
それがリバクラの今日の良さだったかも。
shiho@森の人:
深く入りすぎなかった。
natsu@風の人:
知らない人の心に、靴で入らなかった。
rena@水の人:
ああ、それ。
shiho@森の人:
とても大事。
natsu@風の人:
入口で靴を脱いでた。
rena@水の人:
リバクラが?
natsu@風の人:
たぶん。
shiho@森の人:
比喩が独特だけど、わかる。
⸻
rena@水の人:
あのサングラスの五人、いたよね。
shiho@森の人:
いた。
natsu@風の人:
光ってた。
rena@水の人:
光ってた?
natsu@風の人:
サングラスが、気持ちを隠せてなかった。
shiho@森の人:
あれ、たぶんリバックラインだよね。
rena@水の人:
私もそう思った。
声で分かった。
natsu@風の人:
あの大音量の中で、声だけ飛んできた。
shiho@森の人:
耳が死にかけていたのに、あそこは分かった。
rena@水の人:
音楽やってると、そういうの拾っちゃうよね。
natsu@風の人:
うん。
歓声の中に、知ってる形があった。
shiho@森の人:
サングラスで顔は隠れていた。
rena@水の人:
声が隠れてなかった。
natsu@風の人:
声は素顔。
shiho@森の人:
いい言い方。
rena@水の人:
かわいかった。
裏で支えてるのに、客席では普通にファンだった。
shiho@森の人:
支えるって、冷静でいることだけじゃないんだね。
natsu@風の人:
泣くのも支える。
叫ぶのも支える。
たぶん目立つのは事故。
rena@水の人:
最後だけ急に現実。
natsu@風の人:
五人サングラスは、風景になる。
shiho@森の人:
たしかに目立つ。
⸻
shiho@森の人:
今日のリバクラは、勝つためだけではなかった気がする。
rena@水の人:
うん。
natsu@風の人:
でも勝った。
rena@水の人:
勝ったね。
shiho@森の人:
そこも大事。
natsu@風の人:
かっこいいだけで終わらず、勝った。
rena@水の人:
私、結果発表の時ちょっと泣きそうだった。
shiho@森の人:
私は少し泣いた。
natsu@風の人:
私は笛のケースを握った。
rena@水の人:
泣く代わり?
natsu@風の人:
風の固定。
shiho@森の人:
風にも固定が必要なんだ。
natsu@風の人:
強すぎると飛ぶ。
rena@水の人:
今日の会場は飛ばされそうだったもんね。
shiho@森の人:
でも、リバクラの時は足が残った。
natsu@風の人:
そう。
足が残る音だった。
rena@水の人:
それ、すごくいい。
⸻
rena@水の人:
次も行く?
shiho@森の人:
行く。
natsu@風の人:
行く。
耳栓を持って。
rena@水の人:
楽器は?
shiho@森の人:
持っていく。
rena@水の人:
持っていく。
natsu@風の人:
また山と森と水が入口を詰まらせる。
shiho@森の人:
森は詰まらせない。
rena@水の人:
水も詰まらせない。
natsu@風の人:
アコギは岩。
バスクラは樹。
私は風の通り道。
shiho@森の人:
自分だけ軽くした。
rena@水の人:
ずるい。
natsu@風の人:
フルートなので。
shiho@森の人:
棒なのに。
natsu@風の人:
棒じゃない。
rena@水の人:
風の通り道。
natsu@風の人:
よし。
⸻
shiho@森の人:
次は、もう少し早く行こう。
rena@水の人:
別レーン時間かかるしね。
natsu@風の人:
ふたりの引っ越しがあるから。
rena@水の人:
引っ越しじゃない。
shiho@森の人:
楽器です。
natsu@風の人:
はいはい、音の家具。
rena@水の人:
家具になった。
shiho@森の人:
家具ではない。
natsu@風の人:
でも、あると家になる。
rena@水の人:
それは、ちょっと好き。
shiho@森の人:
うん。
楽器があると、自分の居場所ができる。
natsu@風の人:
ほら、家具。
shiho@森の人:
違うけど、今日は許す。
rena@水の人:
今日、shihoが優しい。
shiho@森の人:
会場で耳を削られたから。
natsu@風の人:
角が丸くなった。
shiho@森の人:
明日戻る。
rena@水の人:
戻るんだ。
shiho@森の人:
戻る。
⸻
rena@水の人:
でも、ほんとに行ってよかった。
shiho@森の人:
うん。
natsu@風の人:
知らない森だったけど、行ってよかった。
rena@水の人:
リバースクラウン、かっこよかった。
shiho@森の人:
三人とも違うのに、同じ方向を向いていた。
natsu@風の人:
BEEFさんも、後ろから風向きを変えてた。
rena@水の人:
あれは大きいね。
shiho@森の人:
次も見たい。
natsu@風の人:
次も聴く。
耳は守る。
rena@水の人:
楽器も守る。
shiho@森の人:
通路も守る。
natsu@風の人:
それはふたりが頑張って。
rena@水の人:
はい、水の人、頑張ります。
shiho@森の人:
森の人も、枝を畳みます。
natsu@風の人:
風の人は、先に通ります。
rena@水の人:
ずるい。
natsu@風の人:
風なので。
shiho@森の人:
本日何回目。
natsu@風の人:
便利なものは、何度でも吹く。
rena@水の人:
最後ちょっとかっこいいのやめて。
natsu@風の人:
おやすみ、水の人。
shiho@森の人:
おやすみ、風の人。
rena@水の人:
おやすみ、森の人、風の人。
次は耳栓。
natsu@風の人:
次は耳栓。
shiho@森の人:
次は早め集合。
natsu@風の人:
次も、リバクラ。
rena@水の人:
うん。
次も、リバクラ。




