第33話、新しい国興し2
レオナ宰相が貴族たちの様子を調べた結果を報告して。
「王都より北の貴族は知っているので省きますが、王都より南側の半分は直接領地で代官が管理しています。貴族は30人いて今回の召集には全員が出席すると返事がありました」
「そうか、安心した」
「安心するのは早いでしょう。バーカビに従っていた貴族が半分の15人もいますので用心するべきです。参加を表明した貴族の中にはまだ貴族同士の戦いをしている者もいるので参加できなくなる者も出て来るでしょう」
「バーカビに協力していた者たちは俺が国王になるのを反対しているのか」
「表向きは処罰されると思っているので賛成するでしょうが、本当の事は分かりません」
俺が心眼で見ればどの貴族が何を考えているのか分かるので心配はしていないが、なるべく争いは避けたいものだ。
いよいよ貴族たちが王宮に集まる日で俺が国王になる事を宣言するつもりだ。
王宮に集まったのはこの国の貴族全員が集まると返事があったが、まだ貴族同士の戦いが続いて参加出来ない者やこの間の戦争で亡くなった貴族もいるので参加した貴族は少なく40人だけだった。
以前は100人以上いたが、貴族同士の戦いで敗れて亡くなり領地を取られた貴族もいる。
会議は大広間でして俺は1段高い壇上の椅子に隣にはオーロラさんが座っている。
司会はレオナ宰相がして、レオナ宰相が居並ぶ貴族たちを氷の公爵と呼ばれる冷たい目で見ながら。
「私は司会を務めるレオナ・サムソン公爵だ。 今日の貴族の全体会議に参加してくれて礼をいう。先ず前王カーシ・アーサー陛下の娘のオーロラ王女さまが挨拶をする」
レオナが言い終わるとオーロラさんが死んだと思っていた貴族たちがザワつきレオナが貴族たちを睨み。
「静粛にしなさい」
レオナの睨みに一瞬で静かになりオーロラさんが椅子から立ちあがり。
「皆さん今日はこの国の将来を決める会議に参加ご苦労様です。私は血筋から言えば正式なアーサー王国の後継者ですが、後継者の権利を放棄します。何故なら皆さんも知っている通り今は戦国時代で弱い者は淘汰される時代です。そんな時代に何の力のない私が女王になっても益々国が乱れて国民に迷惑を掛けるだけです。つぎの国王になるにはこの戦乱を治める力と指導力のある、前国王を毒殺したあの邪悪なバーカビを倒したアラン・クラーク様が相応しいと思います。彼ならこの国を新しい国に作り替え国民を幸せにしてくれることでしょう。皆様もアラン様に協力して付いて行くことを願います」
オーロラさんの挨拶が終わるとレオナ公爵が。
「オーロラ王女様の言葉を聞いただろう。私もオーロラ王女さまに賛成する。この乱れた国を新しい国に作り替えて平和に出来るのはアラン様以外だれも出来ないだろう。アーサー王家の血筋が絶えるのを心配している者もいるだろうが、オーロラ王女様とアラン様が婚約していて近じか結婚するので心配はない。アラン様より優秀で我こそが新しい国王に相応しいと思う者がいたなら名乗り出なさい」
暫く待ったが名乗り出る者はいなくレオナ公爵が。
「誰もいないようだな。全員がアラン様を新しい国王になることに承認したとみなす。アラン様、新しい国王として挨拶をお願い致します」
昨夜から国王になった時の挨拶を練習させられたが、レオナから何回もやり直しをさせられて何とか合格をもらった挨拶を始めて。
「皆の者! 大変な時に集まって頂き礼を言う。初めてお目にかかる者も多いが、余が邪悪なバーカビを成敗したアラン・クラークだ。前国王を毒殺した毒婦のドクフナー親子は捕らえて牢に入れているが、近日中に公開処刑する予定だ。新しく起こす国の名前はイナホ王国とする。余は戦国時代を終わらすためには武力で抑え込む事も辞さないつもりだ。皆も戦いのない平和な国を作るのに余に協力してくれる事を願う。新しい国の理念は自由と平等だ。奴隷制度は廃止し犯罪者奴隷を除いて解放する。これは反対する者が多いだろうが、貴族が軍隊を持つことを禁止する。軍を維持する費用を領地の開発に回せば豊かになるはずだ。貴族同士の戦いも禁止する。もし争いを起こせば国が制裁する。余からは以上だ。質問があれば手をあげてくれれば答える。」
恐る恐る手を上げた貴族をレオナが指名すると。
「アラン様は国王の印の王印をお持ちなのでしょうか」
前もってオーロラさんから渡された王印を懐か出して見せて。
「先日、正式な後継者であるオーロラ王女様からこの通り譲り受けているので教会でも余を新しい国王と認定したので問題あるまい」
質問した貴族は納得して。
「教会が認めたのなら、本物の王印なので私はアラン様を新しい国王と認めて協力いたします。無礼な事を申し上げてすみませんでした」
その後、何人かの貴族が手を上げたが手を挙げた者はバーカビに協力していた貴族でその中の1人がまだ発言を許していないのに勝手に発言して。
「軍隊を持つのを禁止するのは横暴だ。わしは反対だ」
レオナが怒り。
「貴様! 発言を許していないのに勝手に発言するとは許さん。貴族の身分を剥奪して領地を取り上げるがいいのか。お前が抵抗してもアラン様なら1時間もあれば潰せるだろう」
発言した貴族は伯爵で兵力も少なく俺が本気になればレオナは1時間と言ったが半日で潰せるだろう。
発言した伯爵はまさか貴族の身分を剥奪して領地を取り上げるなどと言われると思っていなかったので慌てて謝罪した。
「申し訳ございません。どうかお許し下さい」
他の貴族もレオナの言葉に震い上がり上げていた手を降ろしている。
貴族たちが震い上がったのも俺たちが正攻法でバーカビと戦い破って力を見せたお陰だろう。
やはり今は強引だが力で貴族たちを抑えるのが正解みたいだ。
その後の話し合いと言うよりは命令で貴族たちの軍は王都の軍に合流させることにした。
新しい王国軍は10万になるはずだ。これで貴族同士の争いはなくなるだろう。
朝から始めた会議と言うか俺が国王になった事を知らせてその後は食事を出して懇談したが、会議が俺たちの思い通りになって大成功だった。




