第26話、戦いの後で
戦場での戦いは我が軍の完全な勝利で終わり、砦に帰る途中で側近たちや兵士は喜んでいるが、目の前でバーカビ国王が倒されたのを見ていたのに王国軍に勝った実感が湧かなかったのは何故だろう。
砦に戻ると砦に残っていた兵士が歓声を上げて出向かえている、その中にオーロラさんの姿もあり、俺の傍に来て。
「アラン様の無事な姿を見て安心しました」
オーロラさんは勝利の祝いの言葉は言わずに俺の無事な姿に安心したと言ったがどうしてだろう。
その日は日も暮れて疲れているので側近たちと兵士には早く休むように言い、俺も部屋に行くとオーロラさんも一緒に部屋に付いてきて部屋に入ると俺に抱き着き。
「無事で良かった。もう1人は嫌」
俺に何かあるとオーロラさんは親兄弟もバーカビに殺されているので1人になるのを恐れていたのだろう。
俺はそんなオーロラさんが愛おしく、抱きしめてキスをした後で。
「大丈夫だ! 俺は簡単に死なないよ」
「うん、もう私を1人にしないでね」
オーロラさんは勝敗よりも俺に何かあって1人になるのを恐れていたみたいで。
俺は良い事を思いつき。
「そうだ! 結婚して子供を沢山作れば家族が増えて賑やかになるから結婚しよう」
「え? それって、もしかしてプロポーズなの?・・・・」
「ん? ・・・・可笑しいか?・・・・」
「プロポーズはもっとロマンティックな方が良いわ。やり直しね」
俺は時と場所を考えて再度プロポーズのやり直しをすることになったのだ。
次の日に戦場では敵味方だった兵士に一緒に戦場の跡片付けするように命じて死骸は火魔法で火葬して石碑を建てた。
何故バーカビを倒したのに勝利した実感がないのは、これからしなければいけない面倒な事を考えていたからみたいなのだ。
最初にしたことは、降伏した貴族たちと兵士たちの処遇をどうするかでデニスに聞くと。
「今までは貴族なら、賠償金を支払えば領地に帰しますが賠償金を払いない時は奴隷商人に売るのが普通です。兵士は味方の兵士にするのが習わしです」
デニスの話を聞いて驚いた。当たり前かも知れないがまるで人権などこの国にはないみたいだ。
降伏した貴族たちと会って面談して心眼で見たが、戦いに参加したのは子爵と男爵の下級貴族が多く伯爵は1人だけだ。
弱小貴族は家族を人質に取られて仕方なく戦いに参加して途中で離脱も出来ないでバーカビの命令に従っていたみたいなのだ
事情を知った俺は貴族たちを領地に帰し、出来たなら人質になっている家族を取り戻す努力はすると言っておいたが、俺と同じ弱小貴族たちは何度も礼を言いながら領地に帰って行った。
兵士は個人の判断に任せて故郷に帰る者には帰らせて我が軍に入りたいものは入らせた。
問題はナル王都にいる貴族たちをどうするかで、特に今回の首謀者のノウタリ公爵とドクフナー親子をこのまま処罰せずに置いてはこの国を立て直せないだろう。
その為に諜報部にナル王都の状況を調べる為に早急にナル王都に向かわせた。
砦から屋敷に帰り、王都に詳しいドリスさんと王宮に詳しいオーロラさんも加えて側近たちとこれからの話し会いをするとデニスが。
「兵を連れて王都にいるバーカビ派の貴族たちを処罰しなければ何もできませんので早急に王都に向かうべきです」
バニーが反対して。
「ナル王都を制圧するのは当然ですが、制圧した後はこの国をどうするのですか。それを決めてから王都に行くべきです」
アニーも続けて。
「私はオーロラさんが正式なアーサー王国の後継者なので女王になって国を治めれば良いと思います。私たちが助ければ可能だと思います」
俺は黙って皆の考えを聞いているのは、此れから一丸となって国作りをしていくのに不平不満を残したくないので思っていることを吐き出させたいのだ。
アニーの意見に対してオーロラさんがハッキリと。
「確かに私は、血筋は正式な後継者ですが女王になる気はありません。何故ならこの乱れた国を私は血筋が良いだけで立て直す力はありません。無理です」
その後も皆は1時間程、色んな事を言いそれまで黙っていた行政官のブラッドが口を開き。
「皆さんは、色々言いましたが私は子爵から国王の座に就いた前例が無いのなら力で今の貴族たちを罷免して、新しい国を興して新しい秩序のある国作りに協力した人を新しい貴族に登用すれば良いのではないですか。勿論新しい国王にはアラン様が就くべきです」
ドリスさんが最後に。
「誰が考えてもブラッドさんの言うのが正しいと思うわ。この乱れた国を立て直すのを今の貴族たちに任せられると皆さんは思うの? アラン様以上の適任者がいるの? それにアラン様とオーロラさんが結婚すれば子供は正式な王家の血筋で誰も文句を言えないでしょう。文句を言う貴族がいたならそんな貴族には私が何も取引をして上げずに潰してみせるわ」
俺がそれでも黙っているとデニスが。
「アラン様、皆が勝手なことを言って申し訳ございません。アラン様の意見をお聞かせください」
「皆の意見を聞けて良かった。俺は新しい国を興すつもりだ。新しい国は、奴隷制度は犯罪者奴隷を残し禁止する。国民には差別をなくし平等で自由な国にするつもりだと発表する。細かい事はこの国の全ての貴族を鎮圧してから決める。ナル王都には1週間後に遠征する。連れて行く兵士は5千人以内にする予定だ」
バニーが。
「5千人は多すぎます。弓部隊100、騎馬部隊100,土魔法隊100、兵士千人もいれば十分です。それにクエン伯爵とカーク男爵も絶対、付いてくるでしょうから」
確かにバーカビの国王軍を破ったクーラク子爵軍に歯向かう貴族はいないだろうが、用心をするに越した事はないだろう。
案の定クエン伯爵とカーク男爵も今では俺の同盟者なのに家臣みたいで王都に着いていくと言い張り、護衛の兵士を50人だけを連れて同行するのを許した。
ナル王都にはオーロラさんとドリスさんも馬車で同行する事になったが、兵士たちの食料の用意はドリスさんのアリス商会が全てしてくれて助かったのだ。
勿論アリス商会は商売なのでお金を払っている。




