第2話、災害の後で
大雨、崖崩れ、河の氾濫などで領地を見回っていた父親アダモが崖崩れの濁流に巻き込まれて亡くなってから半年がすぎた。
15歳の若さで領主になった俺は父親と濁流に巻き込まれ多くの家臣や領民を失い、頼りになる家臣は老人の執事バロンだけだ。
俺は土魔法で前世の土木、建築の知識を使い決壊して濁流が街に流れ出した河や支流は、2度と氾濫しないように河の両側に頑丈な石垣の堤防を2重に設置したのでこれで氾濫は起きないだろう。
次にしたのは街の住民の住まいだ。
土魔法を使えば2時間くらいで3LDKの丈夫なコンクリート作の家を建てられるので、家を失った人達の家を建てて無償で提供したがその数は住民の半数にあたる5千戸だ。
最後に俺の得意な分野の農業で農地を整地し、河から流れ出した泥は栄養豊富なのでそれを使い農地を改良しておいた。
それと、ついでに今まで荒地だった場所を土魔法で開墾して改良して街に溢れた泥を新しい農地に使い、街の泥をなくし一石二鳥で荒地を農地に変え農民に無償で分け与えたのだ。
次々と街が短期間で復興すると、此れには住民が驚き。
「アラン様は無能な息子と言われていたが凄いお方だ」
と言い俺の株が上がって領民たちの人気が出て仕事がやりやすくなった。
特に農民は農作地が綺麗に整備されたうえ無償で農地を分け与えられ、流されていた家や壊れた家も無償で建ててもらい災害の前より良くなったと言い、俺を神様のように思っていて俺の為なら何でもすると言っているらしい。
母上のエリーも俺を見直して少しは頼りがいがあると認めたみたいで最近は何をするにも先に相談するようになった。
可笑しいのはバロンで。
「わしはアラン若様が只者でないと信じておりました」
全くどの口で言うのだ。父親が生きている時は能無しのバカ息子と先頭に立って言っていたくせに今では掌を返して俺を褒めている。
この半年で領民の俺を見る目が変わったみたいで領主としての仕事がやりやすくなった。
話は変わるが、隣のモーガン・カルダ伯爵は、今は大雨の災害の復旧で戦いない状態だが、復旧が終われば武術に優れた父親と側近が亡くなったので好機とみて攻めて来るだろう。
今の我が子爵家の正規の兵は災害で亡くなり、少なくなって災害前の半分の100人、戦いの時に兵士になる農民の準兵士も少なくなって300人でモーガン伯爵の軍は正規の兵士だけでも500人以上、農民の農兵を合わせると千人はいるので勝てるはずがないのだ。
俺は、復興は土魔法を使い半年で終わらせたが、モーガン伯爵領の復興は手作業なので俺の予想では完全に復興するには2年以上はかかるとみている。
この2年を有効に使い戦力を整え俺はモーガン伯爵を追い返すつもりだ。
その為には人材を集めるのが第一で前世の知識を使い失業者の為に職業紹介所を開設した。
職員は俺の小さいころから知っている、幼馴染のこの間の災害で亡くなった父親の側近だった兵士の娘で同じ15歳のキャシーというお転婆な娘だ。
キャシーを呼び出すと相変わらずで。
「アラン様、何のご用ですか? 側室ならお断りいたしますが、正室なら考えますが」
「バカな事や冗談を言うな。お前を正室にも側室にする気は毛ほどもない。仕事の話だ。ちゃんと給料も払う」
「給料を貰えるならどんな仕事でも頑張ります」
キャシーに職業紹介所の仕事の内容を話、やはり仕事を探していた15歳と16歳の女性を部下につけて職業紹介所を開設した。
災害の後なので失業者が多く農民は農地が増えて人手不足で農民の家で働く人が増えたみたいだが、領地では食料が不足しているので農民が増えて食料が増えるのは良い事だ。
勿論、我が子爵家でも兵士と使用人の募集をして出来れば俺の側近になれる人材を探しているが果たして良い人材が来るだろうか。
キャシーはお転婆でああ見えても頭が良く、仕事を真面目にして職業紹介所を軌道に乗せるのに成功している。
この職業紹介所がこの世界で初めて商業ギルドと呼ばれ後の冒険者ギルドなどの各種ギルドの先駆けになったのだ。
ある晩、エリー母上が俺に袋を見せながら。
「アラン貴方を見直したわ。こんなに早く領地を復興させてアダモもあの世で喜んでいるでしょう。これはいざという時の為に用意していたお金よ。今度の災害で使おうと思ったけれどリオンのお陰で使わないで済んだのでリオンに渡しておくわ。白金貨50枚と大金貨など5億3千ルピーが入っているのよ。自由に使いなさい」
この世界のお金は硬貨だけで単位はルピーで硬貨の種類は。
鉄貨 1ルピー
小銅貨 10ルピー
大銅貨 100ルピー
小銀貨 1,000ルピー
大銀貨 1万ルピー
小金貨 10万ルピー
大金貨 100万ルピー
白金貨 1,000万ルピー
平民の子供2人の平均家庭で1カ月暮らすには大銀貨5枚、5万ルピーがあれば充分で前世に比べれば物価は5分の1で、母上が俺に渡したお金は円にすると26億円と大金だ。
今回の災害でもしも俺が土魔法を使えなかったなら復興に5年以上かかり、母上が俺に渡したお金では足りなくクラーク子爵領は領民から見放され破滅していただろう。
俺は土魔法を授けてくれた神様に感謝したのだ。
バロンが管理していた税金の内容とお金の流れも知り、子爵領の全権を握った俺はお金も自由に使えるようになり、暇なときは領内を見て回りながら領民の話を聞いて領地を改革するつもりでいる。
今日は応募して来た人たちの面接をする日で応募して来たのは50人でどんな人がいるか楽しみだ。
俺は神の目と言われる相手の考えが分かる心眼で応募者を見るので良い人材を見つける事が出来るだろう。
初日は50人の面接をして終わって採用不採用の通知は1週間後にした。
出来れば面接に来た全員を採用したいが、心眼で見て相手の見たいのを見ると、例えば今日面接した俺の側近にしたい人物をこんな風に見られる。
名前 デニス
性別 男
年齢 24歳
総合能力 80
忠誠心 80
悪心 10
武術 60
知力 80
向上心 80
あくまでも俺の知りたいのを100点満点で数字化したものでこれが俺の採用の基準になる。
悪心が20以上、忠誠心が50以下の人は不採用にすると今日面接した50人の不採用は5人で45人は採用とした。
内訳はデニスを含めて俺の側近に3名を採用、事務官に2名、屋敷の使用人2名、残りの38人は兵士として採用した。
給料は、最初は平均より高い大銀貨7枚7万ルピー、円にすると35万円くらいだ。
この国の労働者の給料は平均5万ルピーなので7万ルピーと知った採用者は喜んでいる。




