第1話、プロローグ
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ここ1週間程、激しい雨が降り続き俺は窓から外を見て河が氾濫しないか各地で土砂崩れが起きないか心配している。
俺の住んでいるのはアーサー王国の北の僻地にある海に面したクラーク領のマヤ領都で俺の父親のアダモ・クラーク子爵が治めている領地だ。
クラーク領の中央を流れる大きな河は豊かな土地を作り出してくれるが、数年に1度は氾濫を繰り返している。
その度に復興に時間とお金がかかり、領主の父親はそのために貧乏子爵と呼ばれている。
俺の名はアラン・クラークと言い1カ月程前に15歳の成人を迎えたばかりだ。
俺は成人する数日前に高熱を出したがその時に前世の記憶が甦り、前世では日本という国で農業に好きな俺は農業大学を卒業して農業指導員として暮らしていた。
国際協力隊員として後進国で農業の指導にあたっている時に反政府の武装組織に身代金目的で誘拐され、武装組織と政府と交渉が上手く行かず拳銃で撃たれて35歳で殺された高尾彰の記憶だった。
何故、前世の記憶が突然、甦ったのか分からないが、この地は農業しか産業はなくこれからは前世の農業指導員だった知識を生かす事が出来るだろう。
窓から見ると雨脚は酷くなり、道路がまるで川のようになっている。
父親のアダモは領内を見回りに出ているので事故に会わないか心配だ。
母上のエリーも心配なのか。
「雨が酷くなって来たわね。アダモは大丈夫かしら。早く帰れば良いのに」
俺が何か返事をしようとしたとき、父親の側近のバロンがびしょ濡れで屋敷に飛び込んできて。
「大変です! アダモ様が土砂崩れに巻き込まれて河に流されました」
母上は突然のことで何をしたらいいのか分からないみたいで俺が。
「場所は何処だ! 」
「海の近くの河口付近です」
「バカな! 河口付近は水笠も多いので普段は近づかないはずなのに」
「用心して遠くから見ていたのですが後ろの崖が崩れて濁流に飲み込まれて河に流されてしまい助ける事が出来ませんでした」
「分かった。兎に角。現場を見に行こう」
母上が心配して。
「駄目よ! アランまで事故にあったならどうするの」
バロンも母上に同調して。
「残念ながらアダモ様は濁流に飲み込まれ河に流されたので助からないでしょう。危険なのでアラン若様は雨が止んでから見に行って下さい」
確かに母上とバロンの言う通りで今更現場に行っても何もできないだろう。
次の日も雨は止まず青空が見えたのは二日後で、マヤ領都は河が何か所も氾濫して泥水に家が浸かり、住民も沢山の人が濁流に流され亡くなり後片付けが大変だ。
領主の父上が亡くなり子供は俺1人なのでこれからは領主として領民を見なければならないが、貧乏子爵と言われるほどにお金がなく此れから復興に使うお金がないのが実情だ。
いくら考えてもどうにもならないので俺は幸い大学生の時にラノベ小説やアニメはまり、その時の知識で土魔法が使えるので前世の建築や土木工事の知識を使い、領民の先頭に立って泥だらけになりながら、土砂で埋まった道路や家の土砂を除き始めたのだ。
俺が土魔法を使えると知った時は皆に戦いに役に立たないのでバカにされたが、今は土魔法を使えて本当に良かったと思っている。
土魔法の威力は凄く一週間で街の土砂を取り除く事が出来て、壊れた家は土魔法で修復して住民が何とか暮らせるようになり感謝されたのだ。
もし土魔法が使えなかったなら復興に何年もかかって費用も莫大なお金がかかるだろう。
土魔法を使えるお陰で出費も抑える事が出来何とかこれからも領地経営が出来そうだ。
土砂ななどの後片付けも終わり落ち着き、父親の葬儀も終わらせると、俺は此れからの事を考えている。
この俺の住んでいるアーサー王国は前世の戦国時代の様で貴族同士が領地を少しでも広げようと争っているのだ。
俺の継いだクラーク子爵領の隣のモーガン・カルダ伯爵はクラーク領を狙って度々戦いを仕掛けて来ているが、今までは父親のアダモが武勇に優れていて戦力に勝るモーガン伯爵軍を部下と追い返していた。
だが武勇に優れていた父親とその大勢の部下が濁流に飲み込まれて死に、残ったのは父親の側近の年老いた60歳のバロンと少ない兵士だけだ。
今モーガン伯爵が攻めて来たなら太刀打ちできないだろう。
幸いモーガン伯爵領も大雨で土砂崩れが起き、道路は寸断されて復旧に追われて戦い所ではないので助かっている。
俺は父親がまだ38歳と若かったので領内の事や兵士の数なども父親に任せて何も知らない。
バロンは年老いてからは戦いに参加せずに執事の仕事をして領内の事に詳しいのでバロンを呼び出し色々聞いた。
それによると我が領民は1万人くらいで、殆どがマヤ領都とその近郊に住み農業に従事している。
常時の兵士は200人で、戦いになると普段は農業に従事している農民も普段から武術を訓練していてその農民兵士も合わせると500人くらいになり。
父親アダモは1人で10人の兵士と戦える強者で火魔法も使え敵を蹴散らしていたらしい。
俺は父親に似ず小さい時から剣の才能はなく、魔法は戦いに役に立つ火魔法や水魔法、風魔法を使えず戦いに役に立たない土魔法で父親の側近は、蔭では俺を父親に似ず役立たずの能無し息子と呼んでいたのだ。
突然、父親のアダモが死に能無しの俺が領主になりどうなるかと思っていた領民は思ったより実行力があり、短期間でマヤ領都を復興させたのには驚いているみたいだ。
俺は前世の近代農業の知識もあり、土魔法も使い方で戦いにも使える事を知っている。
ハッキリ言って土魔法は建築、戦い、農業、土木、その他、色んな事に使え最強の魔法と俺は思っている。
皆には言っていないが俺には土魔法の他に何にどんな魔法なの使い方も分からない初めて聞く緑魔法と神の目と言われる心眼のスキルがある。
この世界では8歳から14歳まで希望者は教会に少しのお金を寄付すると、読み書きや計算を教えて貰い前世の小学生くらいの学力着くが、教会で勉強を習うのは半分くらいで半分の人は読み書き計算が出来ない文盲だ。
15歳で成人になると教会で成人の儀が行われ、その時にどんなスキルを使えるか分かるのだ。使えるスキルは本人しかわからなく、家族などに教えるのが普通だ。
スキルには魔法の他に剣使い、槍使い、弓使いその他にも色んなスキルあり、スキルを授かるのは3分の1で俺みたいに3つもスキルを授かるのは珍しい。
俺は土魔法と緑魔法に心眼のスキルを使える事が分かったが、皆には緑魔法と心眼のスキルは言わないで土魔法だけを使えると言っておいた。
何故なら緑魔法は初めて聞く魔法で使い方がわからない、心眼のスキルは見ようと思えば相手が何を考えているのか分かるので皆が気持ちを知られると思って俺を避けると思ったからだ。
この世界は前世の中世前期のヨーロッパに似ている世界で人種は白人が多いが、日焼けしたみたいに褐色の肌色の有色人種もいる。
髪の色は色々で茶色、金髪、緑色、赤色、ピンク色、瞳の色は髪の色と同じ人が多い。
俺の髪と瞳はこの世界では珍しい黒色で髪の色が濃い程、魔力量が多く強力な魔法を使えると聞いているが本当かどうかは分からない。
今は領内を見て回り、復興に全力を挙げる毎日なのである。
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