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側室出身王女と正室出身王女の世界転覆  作者: 空色 蒼
第一章 貴族院編
35/43

35. 6日目 友人?

□■□



 「では、改めまして。ハリソン・クォードです。今日はよろしくお願い致します。ライリー様」


 「ステラ・シノックです。よろしくお願い致します」


 ハリソン殿は落ち着いている様子だが、ステラ嬢はかなり緊張しているな。まぁ男爵家の令嬢と王族が話をするなど本来は有り得ない事なのだから、仕方ないと言えば仕方の無い事か…。


 二人の挨拶に相槌だけを返し、他の生徒達がいまだグループ決めに揉めるのを横目にそっと溜息をつく。 


 「それでは、モンスターを捜しに行くとしよう。二人は同じ男爵家の位だが、元々知り合いなのかい?」


 「えぇ、領地も近いので幼き頃より面識はありますよ。いわゆる幼馴染というものでしょうか」


 「なるほど、羨ましい限りだ。私は王族であるが故に同年代の友人が少なくてね。もし、良ければ私を君達の友人にしてはくれないだろうか?」


 「それは…貴女様の派閥に入れ、という事でしょうか?」


 ステラ嬢の発言に間髪入れず、ハリソン殿からのお叱りの声が響くが…彼が怒るのも無理はない。貴族は言い回しに注意を払うべきと教えられるはずだが、彼女の今の言葉はあまりにも直接的すぎる。だが……


 「ステラの言い方には問題がありますが、私もお聞かせいただきたいですね。ライリー様の仰る『友達』は『派閥の者』という意味でしょうか?」


 そう解釈されるのが当然か。


 「いいや、単純に友人という意味だよ。学校生活を共に過ごす学友として君らとお近づきになりたいと思っただけだ。もちろん私と一緒に居れば、一部の貴族は君らを私の派閥の者と勘違いするだろうが、別に表立って君らに近づくような真似はしないさ。派閥入りは個人の人生を左右する―――とても重要な事だからな」


 「で、ですがそれでしたら友達と呼べる関係ではないのでは?」


 まぁ、ステラ嬢の考える友達とは違うだろうな。


 「たまに廊下ですれ違った時に話すので私は十分だよ。気軽に話せる友人が居るのと居ないのとでは、学校生活の楽しみに雲泥の差がある。私の立場では友人を作るのも一苦労なのは重々承知している事だが、それでもやはり作れることなら早めに作りたいと私は考えている。そもそも私は派閥づくりには興味がないんだ。だから、今のお誘いは友人としてのものだと受け取ってはくれないだろうか?」


 「「ですからそこまで言われると…言外に断るなと言っておりますよ」」


 あ、はい。


 「では―――」


 「えぇ、私でよければ話し相手となりましょう」


 「わ、私も!さすがにお茶会とかは周囲に勘違いされてしまうので無理ですが、偶にお話しする程度でしたら…」


 「そうか、ありがとう」


□■□


 「全員のテストが完了した事が確認できた。それでは本日の授業は以上をもって終了とする。今日の結果は後日順位表を廊下に張り出しておくから見ておくように。では、次の授業の準備でもしていたまえ」


 やれやれ、ようやく一限目が終わったか。ハリソン殿とステラ嬢のフォローをしていたせいでかなり疲れてしまった。まだ授業が残っている事を考えると思わず溜息が出てしまうな。


 「先程は素晴らしいお手並みでした。やはり王家の教育は一貴族などよりも高等なモノが行われているとお見受けします。…羨ましい限りです」


 「お褒めにあずかり光栄だな、カイル殿。しかし貴殿の家も教育にはかなり力を入れていると耳にする。あれぐらいの事は君にも出来たのではないか?」


 「滅相もございません。私程度ではもう少し時間を掛ける必要があったでしょう。下手をすれば無力化ではなく、殺す方法を強いられたぐらいに私の実力は貴女様よりも低いものですよ」


 嘘をつけ。小手先の器用さであれば私よりも遥か上なのではないか、という言葉は流石に心の内に留めるとして……わざわざ褒めるために話しかけてきたのか?

 まぁ用が無ければ話しかけるな、というのは違うが彼は他の貴族と違って、その行動の全てに裏があるように思えてならない。


 「そういえば次の授業ですが、イムラン先生が教鞭を取るようですよ。教鞭と言っても彼は魔法戦闘学の教師で教えるのは実践ですがね…」


 「イムラン……あぁ、あの褐色肌の男性か。一度教諭室で見かけたな」


 「そうですか。次の授業は魔法戦闘組手を行うと連絡が来ています。そこでどうでしょう?この私と対戦していただけないでしょうか」


 「ふむ…別に構わない。こちらこそよろしく頼むよ」


 純粋な組手の申し出かは怪しいところだが、全ての言動を警戒していたら私の身がもたない。それに、彼の実力には私も興味がある。ここで断る手はないだろう。


 「えぇ、こちらこそ。それでは後ほど―――」


 私との会話が終わり、自席に戻ったカイルの許に数人の生徒が群がり始めたが、彼らもマクシミリアン兄上の派閥に所属しているのだろうか?そうであれば、彼らと関わるのは気を付けなければならないが…その他の生徒達の立ち位置がまだ把握し切れていないのは芳しくない状況だ。


 ―――かと言って、情報収集には時間も労力も掛かることだしな。敵、味方の区別は早々につけておきたいところだが、魔技学の研究も姉上の為には進めておきたいのも事実。…やはり、ハリソンとステラは後々『派閥の者』として扱っていった方が良いのか?だがなぁ……派閥形成はメリットが大きい分、それ相応のデメリットもある。それが足枷となって今後の活動に影響が出るのは勘弁願いたいところ。


 (はぁ…難しい問題だ)



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