21. 4日目 商談
今更ながらに大変な過ちを犯していたことに気付きました(´;ω;`)
「14日目 一人」を15話目に投稿するつもりが14話目に投稿しており、本来の14話目となる話が投稿されていませんでした。
大変申し訳ございませんでした!先程「14日目 獲得」を割り込み投稿させて頂きました。
いや、あの、、、ほんとにすみませんでした。あまり重要な回ではなかったから良かったものの一部の読者様におかれましては話の繋がりに違和感を覚えた方もいらっしゃるかと思います。
二度とこのような事が起こらないよう投稿前の確認を怠らないようにします!!!
本当にすみませんでした!!!!!!!
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「それで、お客様…。あの獣人はどこに居るのでしょうか?あいつをオーナーの所に連れていかなければならないのですが……?」
「あぁ心配せずともきちんと連れてきている。少し待っていてくれ」
そう言って私は一旦店の外に出て、人目のつかない路地へと入る。
「闇魔法―――黒鉄の檻」
魔法陣を建物の壁に展開させて現れた黒い渦の中から、私はすでに目を覚ましたであろう彼女を引っ張り出す。
「っうぇ!!な、何だ!!!」
「闇魔法―――繋縛」
この子が混乱している内に暴れ出さないよう、細工をしないとな。
「いいか……。お前は今家族から留守番をするよう言われている。親が返ってくるほんの少しの時間だけだ。その間は大人しくして、兄である私の言うことには必ず従うようきつく言われている。もう一度伝えるぞ。お前は私の言う事に従う」
「…うん……ボク、言うことはちゃんと…聞くよ」
「よし、それじゃあお店の中に入るぞ。ついて来なさい」
闇魔法の中でも暗示作用がある『繋縛』。少しの間だけその精神を妄想に縛り付けておくことが出来る。便利な魔法に思えるが、使用条件に難が有り、対象者への精神負荷の甚大さも鑑みるとあまり使用所の無いモノだ。そもそも効果時間も一時間程度で切れてしまい、再び同じ者に魔法を掛けようにも失敗率が高すぎて、ほとんど再使用不可の状態になってしまう。
また何かあったとしても、今度はこの子に暗示を掛けることは出来ない。だから、その何かが起こらないためにも仲良くならないと…だな。
「待たせたな」
「い、いえ!!!……あの…本当にコイツでよろしいので?売る側の者が言っていい話でもありませんが…何分かなり手の掛かるモノです。調教にもかなりの時間がかかる事でしょう。それでもですか?」
「あぁ、問題はない。それにこの通り、大人しく出来ているだろう?」
「確かに…このじゃじゃ馬がここまで静かとは。……かしこまりました。オーナーのところに行きましょう」
再びドアをノックして、先程のオーナーの部屋に入る。そこにはさっきまでには無かった魔法陣が描かれた布が床に敷かれている。
「その商品でよろしいので?」
「えぇ、こちらが依頼主が仰っていたモノです」
「かしこまりました。それでは手続きに移りましょう。ですが、その前に…お前は外に出ていろ」
「はっ!それでは、失礼いたします」
男は解っていたことのように、素早く部屋から退出する。
「彼に同席させないので…?」
「えぇ。この手続きは一子相伝のようなものでしてな。各店舗のオーナーのみが出来る決まりとなっております。ですので、他の店で買い物する時も最終的にはオーナーとの商談になります。さて……お客様。そろそろお訊ねしてもよろしいでしょうか?」
「何を…でしょう?」
フフフ、と不敵な笑みを浮かべた男は椅子から立ち上がると私に近づき、そして私の背後で沈黙を貫くこの子の事だよ、と言いたげに掌を返して彼女を指す。
「ご冗談を。なぜその商品を買い取りたいのか…それのみです。随分とうちの従業員を脅してくれたようですね。―――いけませんなぁ、彼はすぐ顔に出る性質です。何かがあったと察するまでにそう時間は掛かりません」
「おやおや。そうでしたか…これはしくじりましたかね。これでは素直に買い物をさせてくれなさそうだ」
「えぇ、ですからお伝えしたではないですか。最終的にはオーナーとの商談になりますよ、と――――――」
男は私にソファに座るよう促し、素直にそれに応じる。獣人娘にも後ろに立つようにと声を掛け、目の前の男と視線を合わせる。
「では商談を始めましょう―――と言いたいところですが、まずそのモノに掛けた魔法が何かをお訊きしましょうか。ソイツは私の部下達が散々手をこまねていた商品のはず。そこまで大人しいのは報告と違いますね」
「お察しの通り…一種の闇魔法を使わせてもらった。こうでもしないと、コレはすぐにでも私を殺そうとするものでね。ただ安心してほしい。掛けた魔法は一時間程度で解けるモノだ」
「なるほど。では次に。―――何故売却の手続きをしていない奴隷を貴方がすでに保有しているのか、ですかねぇ」
「……先日の火災については?」
どうやらこの男は大方の事は把握済みのようだ。ここは嘘だけでなく、真実も織り交ぜてなんとかやり過ごさなければならないな。
「部下達から既に」
「私はその火災で取り残されたコレを回収したのです。そして、貴方の部下達がここに居ると耳にして来た次第です」
「なるほど。つまりあの馬鹿共は私の許可無く勝手にソレを処分しようとした…と云う事ですね?ハァ…まったく。使えない部下を持つ上司は苦労しますな」
言葉の雰囲気とは裏腹に彼の眼には怒気が込められており、この後部下である彼らがどう処分されるか何となく解ってしまう。
「それで?貴方は何故ソレを買おうとお決めに?正直に申し上げますと、ソレを買うことで得られる利点があるとは思えないのですが…」
「いえ……なに単純な話ですよ」
「……単純、ですか?」
「えぇ。先日コレを回収した後、目が覚めたコイツにですね―――私の大切な娘が傷つけられてね。あの子はその傷が一生残ってしまうと聞いてふさぎ込んでしまいまして。………私はね。コイツを娘が受けた傷よりも酷い目に遭わせてやらないと気が済まないのですよ」
私は立ち上がって後ろに控えていた獣人娘の頭を乱暴に掴むと、そのままソファへと何度も何度もその顔を打ちつけた。衝撃で鼻血が出ようと、額から血が流れようと、その手をとめない。
「ハハハハハハ!私の趣味は、コイツのような小娘を拷問にかけることでして!!!あぁ今でも目を瞑れば思い出す。以前にコワレテしまったモノがあげた―――悲鳴、叫喚、絶叫、泣き声、命乞い。フフフ。アハハハ!!!あぁ昂ってしまうなぁ!」
恍惚とした表情を浮かべつつ、私は床に倒れた娘の頭を靴裏でグリグリと踏みつける。その様子に男は一つ溜息を吐くと、立ち上がって魔法陣の側に行く。
「理由は十分わかりました。貴方様がこれ以上此処を汚す前に手続きをしてしまいましょう。さぁ、ソレをこの魔法陣の真ん中に置いてください」
男は諦めたように魔法陣を指差し、準備のためか魔法陣に魔力を流し込んでいく。
「おぉ!理解してもらえたようで良かった!よろしく頼む!!!」
えぇ、とオーナーが返事をし、娘の髪を引っ張って魔法陣の上に連れていく。そして中心に寝っ転がされた獣人奴隷に向かって彼は手を翳す。
「名モ無キ風ノ精ヨ、喪ワレシ火ノ精ヨ、渇キヲ求メル水ノ精ヨ、姿ナキ闇ノ精ヨ、希望ナキ光ノ精ヨ。我、自身ノ魔二オイテ此処二命ズル者。コノ者ノ身体ト血ト魂ヲ、白銀ノ鎖ヲモッテ縛リツケル。虚空魔法―――隷属の契り」




