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側室出身王女と正室出身王女の世界転覆  作者: 空色 蒼
第一章 貴族院編
13/43

13. 2日目 本来の目的

□■□



 「こ、これはこれはライリー王女。ようこそいらっしゃいました」


 急な来訪だからこの反応は仕方の無いことだが、部屋の外まで聞こえてきていた談笑が私を視界に入れた途端に聞こえなくなってしまったな。この男性はなんとか口を開いて言葉を発せられたようだが、他の者達は椅子から立ち上がった姿勢で固まってしまっている。だが、…それにしても、ここの部屋は先程の実験室に比べると随分狭くて暗い。貴族院にこのような部屋があったとは少し驚きだ。


 「事前の連絡も無しでの訪問、申し訳ありません」


 王族だから頭を下げることはしないが、謝意を示しておくのはたとえ相手が下の身分の者であっても大切だ。…まぁ、兄上達に言わせれば王族の来訪は喜ばしいものであって、その来訪に伴う隠された苦労をすすんで行うのが下々の勤め、らしい。何とも相容れない考え方だが今更な話だな。ここには兄上達もいらっしゃらないのだし、私は私のやりたい様にやるとしよう。


 「クラウス先生から先程オークションの話を聞きまして、こちらに出品リストがあるとの事でしたので見させていただこうと参った次第です」


 「そ、そうでしたか…。え~おい!早くリストを持ってこないか!」


 髭を生やした少しふくよかな男性が、硬直し続けていた男性に向かって声を荒げる。


 「こちらになります」


 リストを部下の手からひったくった男は私に差し出してくる。


 「想定していたより多くの品が出品されるみたいですね。この横に書かれている数字は出品される順番ですか?」


 「えぇ、その通りです。基本的に出品が申し込まれた順に数字が割り振られているだけですので、あまり気にする必要はないものです」


 「基本的に―――ということは、勿論例外も?」


 その言葉に今まで私の後ろで沈黙を貫いていたクラウスが前に出てきた。


 「有り体に言えば客引きのために順番が前後する。狩人組合からしたらオークションは最大の収入源だからな。目玉商品は後半にもってこられるし、需要の高い商品は多くの客に競わせるために中盤に置かれる」


 「なるほど。確かにあまり気にする必要はないみたいですね。それで、先生方はどの品を狙っているのですか?」


 男はクラウスに話しても良いか?という許可を求める視線をやると、クラウスは静かに頷いた。


 「えー、私どもとしましてはこの三種を買おうかと…」


 男が不慣れな敬語でそう伝えると、私が持っているリストを指差してくるので、その指の動きに従って商品の名前を目で追っていく。


 『≪闇≫黒炎熊(こくえんぐま)、≪光≫輝爪鳥(きそうどり)、≪水≫バブルフィッシュ』


 後ろ二つに関しては聞いたことのない名だが、黒炎熊は王国外の洞窟で冒険者達がよく被害に遭うモンスターとして耳にしたことがある。


 (しかし、そんなモノをこの院内で飼おうというのか?)


 「この…黒炎熊ですが、もし買い付けに成功したとして誰が面倒を見るのですか?かなり凶暴なモンスターとして冒険者組合が注意喚起の対象としていますよね?」


 「あぁ、そうだ。しかし、それに関しては心配無用だ。その黒炎熊はまだ幼体で私一人でも十分対処可能だし、成体となるまでには調教も一通り終わっているだろうから問題は無い」


 そういうものなのか。まぁ、私が関わることでもないし、これ以上この話をしても仕方が無い。それよりも何か面白い商品はないだろうか。


 「うん?これは……」


 「どうした?」


 「あぁ、いえ。この≪闇≫黒鳥(コクチョウ)だけやたらと出品数が多いのが気になって―――」


 この商品だけ十五羽も出品されていて、なおかつ一匹ずつの売却ではないと注意事項が記載されている。しかも、相場の値段は知らないがかなり安く設定されているように思える。


 「―――それは、ソイツが簡単に入手できるモンスターだからだ。理由としてはとにかく弱い、その一言に尽きる。他のモンスターに比べて突出した能力も見られず、強いて特徴を挙げるとするなら体色が漆黒な事ぐらいだ。目までも黒いのはこの生物以外には居なかったはずだ」


 「そんな利用価値の低そうなものが何故出品されているのですか?しかもセット売却のみという条件を付けてまで…」


 「他のモンスターへの餌として使われるからだな。理由は未だに解明されていないが、黒鳥を囮にすると他のモンスターの集まる確率が格段に上昇するため、万が一の逃走手段として欲しがる冒険者や商人がいる。…けれど、単体では効果が弱く一度に多くの黒鳥を使う必要があるため手間がかかるのが難点だ」


 (理由が解明されていない……か)


 思わぬところで興味がそそられる商品に出会ったものだ。購入出来そうなら、狙ってみるのも良さそうだな。


 ―――さて、ここまで話が脱線してしまったが本来の目的を忘れる訳にはいかない。元々実験棟に足を運んだのは、魔法研究の進捗状況を知るためというのと、もう一つ。


 「興味深い話をありがとうございます。それで……話は変わるのですが先生方は今の実験室はどのようにして院から使用許可を頂いたのでしょうか?」


 「「……実験室?」」


 私専用の実験室を手に入れるためだ。




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