2-44、団体組手三回戦、はじまる
~~~ ただ今より! 団体組手三回戦を行います! 各コート、選手、入場! ~~~
♪ パパパァーン ♪ チャララーン ♪ ジャジャジャァーン ジャンジャン ♪
ワアアアアアアアアアアアアアアーッ! ワアアアアアアアアアアアアアアアーッ!
音楽とともに、各コートに選手達が入場。
田村たちはメインアリーナに入ると、そこへ一気に観客席から大量の声援が降り注ぐ。
この感じにも、柏沼メンバーの五人はもう慣れていた。
~~~ 三回戦を開始します! 選手! 正面にぃ、礼っ! お互いに、礼っ! ~~~
「「「「「 おねがいしまぁーーーーっすっ! 」」」」」
「「「「「 よおっしゃぁ! ファイトォォォォーーッ! ファイトォォーッ! 」」」」」
「「「「「 うおおおりゃぁっ! しゃああっ! しぇああああーっ! 」」」」」
ワアアアアアアアアアアアアアアアー ワアアアアアアアアアアアアアアアー
各コートには、四つの学校がそれぞれ入っている。
トーナメントが進むと、まさに全国の精鋭部隊が生き残っていくサドンデスだと痛感させられるものだ。
田村たちの眼前では瀬田谷学堂と東北商大の先鋒戦が既に始まっており、より緊張感は増してゆく。試合の進みも、ものすごくテンポが速い。
「アアアアアーーーーイッ!」
シュパアンシュパアンッ! ババババシィッ! バババババァッ!
「ズアアアアアーーーッ!」
ドカァッ! バチバチバチンッ! シュパアンシュパアンッ
「・・・・・・止め! 赤の、勝ち!」
ワアアアアアアアアアアアアアアアーッ!
「す、すげぇテンポで試合が進むなぁ瀬田谷学堂。悠樹、おかやま白陽に勝ったら、マジで俺たちこいつらとやんのか!」
「だね。・・・・・・強い! いや、もう、強いという次元じゃない。ちょっと緊張感がこの三回戦から増したね! 中村君も、そう感じない?」
「ああ、そうだな! だが相手の東北商大もかなりの腕前だ。しかしそれを難なく封じ込めている瀬田谷学堂はすごい。この超強豪揃いの中でも、レベルが別格に近い! とんでもないところを相手に、おれたちはふっかけたもんだな。だが、それでこそ、面白い!」
「相手のおかやま白陽、体格はかなりみんな細身だが、引き締まっている。全身のバネがなかなか強そうだぞ! だははっ、こりゃ強いわ! 尚ちゃん。とりあえずは、おかやま白陽戦をクリアしなきゃな!」
「そういうことだねぇー。ま、おかやま白陽は、さっきのなにわ樫原とは見た目からして組手のタイプは違うだろうしねぇー。主将の岬行光が、どこで出てくるかだねぇー」
超強豪と名高い東北商大高校も、瀬田谷学堂に対しポイントは取るものの、まったく歯が立たない感じだ。あっという間に、大将戦まで試合が進んでゆく。
「・・・・・・瀬田谷学堂高校の、勝ち!」
大将戦は、主将の水城龍馬があっという間に一本技を三つ決め、圧勝で試合を終えていた。
~~~ Aコート第二試合を行います。選手は整列して下さい! ~~~
そして、ついに始まるおかやま白陽戦。
呼び出し係の声が響き、オーダー順が公開された。五人はそれぞれ、誰と当たるのか。
『赤 岡山県 おかやま白陽 青 栃木県 県立柏沼』
先鋒 国本億人 ー 田村尚久
次鋒 寺小路芳晴 ー 前原悠樹
中堅 稲葉智志 ー 神長道太郎
副将 橋本一德 ー 井上泰貴
大将 岬 行光 ー 中村陽二
「・・・・・・主将の岬が大将だ。こっちは田村が先鋒。相手の国本ってのも、個人戦に出てるくらいの選手だよ! 真波ー、これ、どういう試合になるんだろう!?」
「田村と前原で先鋒、次鋒をサクッと白星取れちゃうといいんだけど、レベル的にもまぁそう簡単にはいきそうにないよねぇ・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・中村は、岬とか。・・・・・・待ち拳の中村が、岬と・・・・・・。うーむ・・・・・・」
「なによ二斗。あの岬が、どーかしたの?」
「いや・・・・・・。そもそも・・・・・・おかやま白陽全員の組手は本来・・・・・・」
オーダーを見て、うなる二斗。おかやま白陽「本来の」組手とは、何なのか。
ワアアアアアアアアッ ワアアアアアアーッ
ワアアアアアアアアアアアアアアアーッ
「よし。じゃ、まずは景気よくいこうかねぇー」
かぽん びっ びびーっ きゅっ
田村は笑顔でメンホーをつけ、道着の袂をぴしっと直して帯も締め直した。
「いけるよ田村君! 二回戦をちらっと見たけどさ、相手は普通に特徴が無い感じの学校だったと思う。ま、強いけどね!」
「二回戦までの感じだと、ほんと、特徴ねぇやつらだぜ! 岬の体格がちょっといいくらいで迫力あるが、他はたいしたことなさそうだぜ! ファイト尚久!」
「まぁ、マークするのはおれと当たる岬行光だけだろう。あとは、ワンツーや蹴りも、そこまで変則でもなければ目覚ましいほどでもなかった。強豪なんだろうが、おれたちのレベルが上がりに上がったから、楽に見えるのかもしれんな」
「尚ちゃん! まずは景気づけに先鋒戦をさくっと勝ってくれ! 名門狩りだな、こりゃ! だははっ!」
柏沼メンバーはみな、意識的にも勢いの波に乗っていた。
どんな強豪が相手でも、どんどん倒していける。そんな気分なのだろう。「誰でもかかってきなさい」といった感じで、乗りに乗っている。
相手校の先鋒は、体格的には田村とほぼ同じ。おかやま白陽は、みな髪型が同じようでわかりにくいが、先鋒の国本は名門校の選手にしては珍しく、目尻の下がった弱々しい表情の選手だ。
しかし個人戦で岡山県代表になるくらいの腕前。油断はできない相手ではあるが。
~~~選手!~~~
主審の合図と共に、先鋒の二人が開始線まで歩を進めた。ゆっくりと、しっかりと。
「勝負! 始め!」
「さああああああーっ!」
ダダッ! ダァン! ・・・・・・ダシュンッ! ダダダダダダダダッ
田村はまったく様子見する気が無いらしい。
力強く構えると、一気に床を蹴って相手へ向かって駆けていった。
「(!)」
「あああぁーいっ!」
シュバアッ! バシュッバシュウンッ!
強力な上段突きのワンツーを放つ田村。相手はまだ、両腕をしっかりと構えてすらいない。
一気に相手の虚を突いた感じで、まずは田村が放つ先制攻撃の「一の矢」が飛ぶ。
・・・・・・シュバシンッ!
「(ぷぁっ・・・・・・! な、なにぃ?)」
「止め! 赤、上段突き、有効!」
「「「「 え!? 」」」」
勢いのままに突っ込んでいった田村だった。申し分のないスピードとキレ味の突きを放ったはずだが、先制したのはなんと相手の方だった。
これには、前原たち四人も、呆気にとられた表情となった。
「た、田村君! いいよ! キレのある動きだからだいじだよ! 気にしないで行こう!!」
「尚久! 今のは、相手のまぐれだ! ガンガン押し込んじゃえ! 取りかえせぇ!」
「・・・・・・まさか」
「どした、陽ちゃん?」
「・・・・・・いや。ちょっとな」
田村へ声援を飛ばす前原と井上の横で、中村は腕組みをして静かに試合を見つめる。
「続けて、始め!」
「さああああああーっ!」
ダダダダァッ! タァン タァン バババババァッ!
真っ正面から入り、途中で左右に大きくステップのフェイントを入れる田村。
相手の目がそちらへ惑わされたところを、高速の中段回し蹴りで仕掛けていった。
・・・・・・スパアアァァァァンッ!
「(・・・・・・ぐっ! ・・・・・・なっ?)」
「止め! 赤、上段突き、有効!」
またもや、田村はあとわずかで蹴りが決まろうと思ったところを、相手に上段突きを返されてしまった。
「(な、なんだぁこいつ? 二回戦まではこんな動きじゃなかったが、別人かぁ?)」
「気にするなーっ。だいじだよ田村君! そのままそのままーっ」
「やはり、これは・・・・・・。田村! おかやま白陽は、二回戦までとまったく動きが違うぞ!」
「ど、どういうことだ陽ちゃん。確かに、もっとオーソドックスな攻めでどんどん来るイメージの学校だったはずだが・・・・・・」
「きっと、二回戦までは、おかやま白陽の選手はまったく本来のスタイルを見せていなかったのかもしれん!」
「な、なんだってぇ? じゃあ、尚ちゃんが立て続けに取られてるのは・・・・・・」
「ああ。相手は、本来のスタイルを開放したのだろう」
中村は眼鏡をくいっと指で上げ、こめかみに一滴の汗をつつりと流す。
「続けて、始め!」
ワアアアアアアアアアアアーッ ワアアアアアアアアアアーッ
「(・・・・・・攻めてくる気配が、ない? なんだぁ? ・・・・・・ふざけやがってぇー)」
「(柏沼高校。なにわ樫原を破るような相手にゃ、ちいと慎重にならにゃいかんじゃろ)」
相手は、構えて小刻みなステップを踏んでいるだけで、一向に攻めてこない。まったく攻めてくる気配を出さない。
それに対して、既に2ポイント奪われた田村は、どう崩してゆくのか。
「相手はおれと同じ待ち拳なんだ。しかし、田村のワンツーの合間に突きを決めるなんて、相当に熟れたカウンターだ。一朝一夕の技じゃないぞあれは!」
「中村君。おかやま白陽は、ここまでの試合はほとんど攻め型だったけど、この先鋒は元々は待ち拳主体ってことだったの!? いきなりスタイルを変えるなんて・・・・・・」
「恐らく、今のを見る限りそうだろう。もしかすると、相手校のレベルやスタイルに応じて、組手を変化させられるタイプなのかもしれない」
「かぁーっ、厄介だなそりゃ! 尚久! 相手は待ち拳だ! 誘い出して返そうぜ!」
「尚ちゃんファイト! 丁寧に取り返していこう! 待ち拳の攻略法で、いこうぜー!」
じっと田村を見つめ、何かを狙っている雰囲気を明らかに見せる相手。
ここまで、一度も攻めてくる気配を見せていない。
「(待ち拳ねぇ・・・・・・。このまま時間が来たら、俺は負けちまう。先鋒戦は落とすわけにはいかないからねぇー。ちょいと工夫が必要か、さすがに・・・・・・)」
タタァン タンタンタン タタタッ タタァン
リズムを微妙に変えながらステップを踏む田村。
その場で動いたり、前後に動いたり、時々斜めに動いたり。相手に読まれないようにしながら、一瞬の隙を狙って仕掛けるつもりだ。
「(無駄じゃー。そんなことしょーても、無駄じゃけぇ!)」
「ああああぁーいっ!」
シュンッ ドシュンッ!
「ておりゃぁっ!」
シュパアアンッ!
「(あっぶねぇなぁ。やっぱりカウンター狙って来やがったな! ・・・・・・このやろおっ!)」
シュバババッ! バチンッ ・・・・・・シュパアンッ! ドパァン
「(くっそぉ。・・・・・・こいつ、なかなか受けがうめぇじゃんか!)」
相手のカウンターを読んでいた田村。返し技を避けて、さらにそこへ中段回し蹴りを返すも、それも相手に掌で弾き落とされた。
さらに相手のカウンターが飛んでくるが、なんとか田村は肩口を使って防御。
一瞬たりとも気が抜けない、神経が磨り減る攻防だ。
「「「「「 国本ファイトォーっ! 先鋒勝てそうじゃけぇ! そのまま行けー 」」」」」
「「「「「 おかやま白陽ぉーーーーーっ! 日本一ぃーーーーっ! 」」」」」
ワアアアアアアアアアアアアアアア ワアアアアアアアアアアアアアアア
「(さて、どーすっかな。2ポイント差か。・・・・・・いよぉし!)」
タタァン・・・ タタァン・・・ シュタッ シュタタッ タタァン
「なんだ? 田村はまたリズム変えたね。・・・・・・アタシだったら、あの相手をどう崩すかな。待ち拳で防御力も高いとなると、迂闊には入れないよねぇ・・・・・・」
「私も、もし自分だったらどう戦うかなぁ? きっと1ポイントが勝敗を左右するね」
「菜美なら、そうだろうねー。同じ待ち拳型だもんねー」
「リズムがどうこうじゃなく、待ち拳型の選手って、直感タイプと目で見て反応しているタイプと、距離感で返してるタイプの三種類がいると思うのよね。でも、田村が戦ってるあのタイプは、真波も私も苦戦するなぁ・・・・・・」
川田と森畑の会話を聞き、阿部は「こりゃ大変だ」と言って大声を張り上げた。
「田村先輩、どんどん時間過ぎちゃいますよー。がんばってーっ!」
「「「「 田村先輩ファイトでーーーーすっ! 」」」」
柏沼陣営からの声を受け、田村は「まかせろ」という表情で相手に仕掛けてゆく。
「ああああああーーーいっ!」
ヒュルッ! ・・・・・・ピタッ!
「(ぬぅ! ・・・・・・フェイント!)」
ドンッッ!
田村の突っ込むフェイントに反応し、相手は射程距離内に誘い出された。そこを逃さずに田村は細かく短く強力な中段逆突きを返した。
「止め! 青、中段突き、有効!」
「(うっしゃ! どぉだこのやろう。そっちが待ち拳なら、こっちは誘い出し拳だねぇー!)」
「(気に食わん! なんじゃそん目は! まだこっちが勝っとんじゃ!)」
「「「「「 田村先輩! ナイス中段でーーーーーすっ! 」」」」」
「「「「「 栃木県ファイトォォォォ! ファイ! ファイ! ファイ! 」」」」」
「続けて、始め!」
「あああぁーいっ! ああああいっ!」
タタァン・・・・・・ ダダダダァッ! ヒュルッ! シュバアッ!
サアッ パァン パァン ・・・・・・シュバババッ! バチンッ
ダダッ ヒュルッ! ・・・・・・ピタッ!
「(・・・・・・ぐっ!)」
「ああああーいっ!」
パアンッッ!
「止め! 青、上段突き、有効!」
「「「「「 ナイス上段だーっ! いいぞぉ田村ーーーっ! 」」」」」
見事なほどに気迫の乗った攻めと、その合間に織り交ぜたフェイント。
相手は田村の攻撃の合間に返し技を見せるが、フェイントに誘い出されていつの間にか田村の間合いの中へ入っていた。
そこを田村は、待ってましたとばかりに短く鋭い突きで確実に取り返す。
「・・・・・・田村・・・・・・。そういうことか・・・・・・。・・・・・・あの短く鋭い突きならば、あそこまで踏み込んだ相手は、避けきるのは困難だ・・・・・・」
「くすっ。うまく距離感を惑わせてるねぇッ、田村センパイ! 突っ込むときは伸び伸びとした突きや蹴りでも、相手を目の前に誘い出したら、短く鋭く打つなんてネ。頭いいねー」
「すごいなー。こーゆーときは田村、頭良いんだよなぁ。アタシも、ちょっとそこは見習おうかな」
二斗、小笹、川田は田村の作戦に感心した様子で試合を見つめている。
ワアアアアアアアアアアアアアアアーッ!
「(・・・・・・フェイントがたいぎぃのぉ! こいつ、作戦変えよったんじゃ!)」
「続けて、始め!」
ササッ タタァン タタタッ タンタンタン タタタッ
「(さぁて、これで元通りだねぇ! 迂闊には攻めらんないけど、できれば先鋒戦は白星にしときたいしねぇ)」
グッ・・・・・・ ・・・・・・ドンッ!
「(え! ・・・・・・なにっ!)」
シュパアンシュパアンッ! シュパアンシュパアンッ!
「(待ち拳だけじゃ無かったか! こいつ、攻めて来やがったねぇー!)」
ヒュウンッ バチッ シュバアアアァァッ・・・・・・
メンホーの耳元を相手の突きが掠め、風切り音をたてて抜けていった。
紙一重で田村は頭一つ分横に避け、相手の高速ワンツーをもらわずに済んだのだ。
シュッ パアアンッ! ・・・・・・ぐらあっ ダアアアンッ
「(うおっ! やっべぇ!)」
「ておりゃぁーっ!」
シュバアッ
「(やべぇ! くっそぉーっ!)」
ごろんっ ごろんごろん ごろんごろん
「ぬ! ておおおあっ! ておりゃりゃりゃりゃぁ!」
ドオンッ! ドンッ! ドオンッ!
突きが抜けても間を置かずに、相手は田村の前足首を強く払い、床に転がした。
すぐさま真上から、田村の顔面めがけて突きが振り下ろされた。焦った田村は、そのまま真横に身体を捻ってどんどん転がる。それを相手は追いかけながら突きを叩き落とすが、床を次々と揺らすだけ。
咄嗟の判断で取った回避方法で、何とか田村は場外まで転がって難を逃れた。
「止め! 青、場外、忠告!」
「(ちっ! チャンスじゃったとに! そんなことしょーても、どーならんじゃけぇ!)」
「(容赦ねぇなぁ、こいつ! 転がってもそれを追いかけてくるとは・・・・・・)」
~~~ ピー ピピーッ ~~~
「・・・・・・引き分けっ!」
「「「「「 あああぁぁーーーーっ・・・・・・ 」」」」」
先鋒戦は、引き分け。
最後は危なかったものの、時間いっぱいまで田村は戦い、ポイントも追いついて何とか引き分けに持ち込んだ。
しかし、田村がここまで苦戦するとは柏沼メンバーの誰もが思わなかった。さすがに三回戦ともなると、楽な試合はないということか。
パンッ
「わりぃ、前原。白星で繋げらんなかったぁ。思ったよりやりやがるねぇー、おかやま白陽は!」
「だいじだよ田村君。黒星じゃないんだから。お疲れ! 次は、僕が次鋒戦で頑張るよ!」
メンホーをはずして戻ってきた田村は、前原の肩をパンッと叩き、ちょっと不満そうな表情だ。
思ってた以上に、試合運びがうまくいかなかったらしい。
「前ちゃん! おかやま白陽はまだまだ得体が知れない組手スタイルだ。気をつけてな!」
「悠樹! 尚久が引き分けで戻ってきてくれたんだ! こっから波にまた乗ろうぜ!」
「頼むぞぉ前原。おかやま白陽に勝てば、明日はみんなで瀬田谷学堂と戦えるからねぇー!」
「前原! ファイト! 不用意に行かず、思い切って技を出そう! おれは信じてるぞ」
「・・・・・・うん! じゃあ、思いっきりやってくるから!!」
四人が、前原の背中を押して気合いを注入。
帯を締め直し、脛ガードや拳サポーターの弛みも直し、前原は気合いを入れて次鋒戦の準備を終えた。