第14話 孤児院
本日2話目です
アルベルトは、聖地へ足を踏み入れた瞬間、その香りに体が震えた。
これだ・・・・!!
この麦の香りだ!!
ああ、癒される・・・・・・。
「ちょっとアル?」
「大丈夫?」
「ああ・・・・・大丈夫だ・・・・・」
少し感動しただけだ。
涙が出そうになるが、全力で耐える。
「いらっしゃい」
店主が、表に出てきた。
「お姉さん。これを定期的に売ってくれない?」
「どうやって?」
食材を買い付けているように皮袋の説明をして、契約をした。
「しかし、物好きだね〜」
「え?」
「これは、殻の匂いが苦手な人とか、パサつくのが苦手な人が多いんだが・・・・・」
「もしかして、炊き方を知らない?」
「炊き方?これに決まった調理法があるのか?」
朝は、炊かれた状態で出てきたが、そういえば玄米だったな。
もしかして、精米の文化もない?
「炊き方は、アイナに教えてもらうとして・・・・・」
精米だけでも教えれば全てが変わる。
でも、機械がないしなー。
あれって確か、玄米同士を風力で運んで玄米同士の接触で白米にしてるんだったな。
なら、専用の袋を作れば・・・・・。
「なあ、少し実験していい?」
「おお、いいぞ。教えてくれるのなら」
融通の効く人でよかった。
まずは、玄米を投入する袋のなかに風の魔力で渦巻くようにし、殻が取れたものを移す袋と繋ぐ。
お、なかなかいい出来栄えだな。
その中に、玄米を入れると、中で勢いよく周り、ぶつかり合っているのがわかった。
少し待つともう一つの袋に白い米が運ばれてきた。
「よしっ、完成!!」
できた分を手に取り、みんなに見せる。
「これは?」
店主が尋ねてくる。
「これが白米だ。一番美味しい食べ方だよ」
「この白いのが?」
「うん。厨房借りていいかな」
アイナにお願いし、米を炊いてもらった。
「「おおー」」
みんな初めて見る白米の美しさに感動していた。
いいだろ?この輝き!!
「食べてみていいか?」
店主が聞いてきた。
「いいですよ」
アリスとアイナも器によそい口に運んだ。
「「「・・・・・・・・!!」」」
普段、大食いではないアイナも米の魔力の前にはなす術がなかった。
俺は、そこにさらなる脅威を投下した。
そう、ソースいや、タレ焼きした肉だ。
「「「ごくっ」」」
俺は、一枚の肉を米の上にのせ、肉で米を包んだ。
口に含んだ瞬間、身体中が満たされるのがわかった。
ひと噛みするごとに、旨味が身体中を走っていく。
「はふぅ・・・・・・」
吐く息からも美味しさが伝わってくる。
それを見た三人は、一心不乱に肉に向かっていった。
「ああ〜、おいしかった!!」
アリスは、いつも以上に満足した顔でお腹をさすっている。
「確かにこれは、美味しいわね」
「ええ、これは売れるわ」
よし、流石白米だ。
一発で心を掴むとは。
「では、殻付きの方をこっちに入れて、白くなったのをこの袋に・・・・・」
「ええ、了解したわ」
商談成立だ。
米に加えて、この精米方法を提供することで、特許のようなものが取れるらしい。
その申請は任せ、特許料の半分を店主にあげることで、米の料金を減らしてもらうことにした。
これで、食卓が賑わうな。
「そうだ。あなたたち、この後の大会にはでるの?」
「はい、俺とアリスだけですが」
「なら、アイナさんに出店の調理を手伝ってもらえないかしら」
「出店?」
「ええ、毎年の祭りのようなものだから会場には、出店を出すの」
「アイナ、どうする?」
「私は、いいわよ」
なら、問題ないな。
アイナには、肉の調理等をお願いするらしく、今食べたものを販売するそうだ。
これは、ぼろ儲け確定だな。
その後、アイナは残り、アリスと二人で受付に来ていた。
「ようこそ、闘技場へ。どのようなご用件ですか?」
「参加の受付を・・・・・」
「・・・・・あの、失礼ですが年齢の方は・・・・・」
「二人とも十一歳です」
年齢制限があるのか?
「規定では、大丈夫ですが・・・・・」
「では、お願いします」
「はい。気をつけてくださいね」
渋々、受付を完了させた受付嬢は、二人を闘技場の中に入れた。
「大丈夫かしら、あの子たち・・・・・」
その心配は、杞憂だったと思い知ることになるが、今はまだ知らない。
◆◆
「おい、セナ!次はあっちだ!!」
「セナさん!早く行きましょう!」
セナは、大食らい二人に振り回されていた。
「ちょっと待ってくださいよ・・・・・」
会計をしながら返事をした。
二人とも胃袋どうなってるんだろう。
もうかれこれ6軒目なんだけど・・・・・。
「おお〜、セリスよ、これはいいな」
「ですね。前はなかったものですね!」
確かに、ここにいる三人は、混沌の時代を生きてきた三人だ。
いた環境は違うといえども、あの時代の世界を見てきたため、現代のもの全てが新鮮に見えるのだ。
「やっときたかセナよ」
「セナさん、これ食べてみてください!」
ラキナは、両手に持ちすでに食べていた。
セリカから、それを受け取ったセナはその不思議食べ物を凝視した。
これは、一体・・・・・・。
それは、小麦で作った平べったい生地で肉や野菜が巻かれていた。
「・・・・・・・・あむ」
うまい。
これは、いろんな具材が一度に楽しめていいな。
今度アイナに頼んでみよう。
その後も、5、6軒周り、ようやく二人の腹が満たされた。
一息つき安心していると、ふと路地裏が目に入った。
あれって・・・・・・・
「孤児院?」
王都でも何度か目にしたが、聖教国の孤児院はあまりにも劣悪な環境だった。
「ん?どうしたのじゃ?」
「あれを・・・・・」
ラキナ様が戻ってきて私が見ている方を見た。
「あれは、孤児院じゃな」
「はい」
「じゃが、なんか嫌な感じがするの」
「嫌な感じですか?」
なにか、この人にしかわからないものがあるのか?
「セリカよ。この国の孤児たちはどうなっておるのじゃ?」
「確か、一度教会を通してスキルなどを確認してから、それぞれの孤児院に預けられるはずです」
「ならば、めぼしい者以外は大して恩恵は受けられんということじゃな」
「はい・・・・・、変えようとしていたのですが・・・・・」
後悔が残っているのだろうか、顔を俯かせていた。
「ん?あれは・・・・・」
「どうしたのですか?」
「ふふ、いいのを見つけたぞ」
ラキナ様は、そういうと孤児院の方へと歩いて行った。
孤児院に入ると、子供たちは怯え切っていた。
体は痩せ細り、所々に傷があり、服もまともになかった。
思ったよりもひどい。
「あの、ラキナ様この子達をどうするのですか?」
「アル坊に面倒を見させよう」
そこは丸投げ!?
「しかし、この子達のスキルは・・・・・」
「ん?スキルなど関係ないさ。なにせ・・・・・」
「マル坊もスキルなど持っておらんかったからな」
歴史家がひっくり返りそうな事実を育ての親が言い放った。
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